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青色のノスタルジア

京都旅行最終日。旅の最後に訪れたのは高瀬川のほとりに佇む喫茶店、ソワレ。
以前から気になっていたので今回念願叶って訪問できて嬉しかった。

河原町の駅から程なくして現れる行列が良い目印となる。メニューに眺めて心を躍らせているうちに、物腰が柔らかくて素敵な髪型をした店員さんが案内して下さった。

店に一歩入ると忽ち青の世界に包まれる。昼間の世界に突如現れた夜の世界。深海のような深く幻想的な空間に、私の心はすっかり魅せられてしまう。
そして、ステンドグラスランプ、東郷青児の女性画、ブドウの彫刻…店内の一つ一つの装飾がどれも凝っていて美しい。
今回注文したのはこのお店の顔であるゼリーポンチ。このメニューは約50年もの間、多くの人々を魅了してきたよう。
程なくして運ばれてきたゼリーポンチは、青色の光に照らされて宝石のようにキラキラと輝いていた。
そっと一口食べてみると、ゼリーの優しい甘さとサイダーの爽やかな香りが広がる。決して派手な味ではないが、上品な風味を堪能できる逸品である。色とりどりのゼリーを光に透かして眺めてみるのもなかなか楽しい。
一つ、また一つと口に運んでいるうちに、あっという間に食べ終わってしまった。
それからしばし美しい空間に浸った後、名残惜しさを感じつつ青色の世界に別れを告げる。

眼前には春めく京の町が広がっていた。

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