先日、熱海に行ってきた。その日は朝からすごい雨と風で、果たして熱海まで辿り着けるかひどく不安だった。実際、途中で東海道線が強風のせいで止まってしまい、先へ進めなくなってしまった。ぼんやりとした気持ちで駅の電光掲示板を眺めていたが、一向に動き出す気配はない。でも、一緒にいた恋人とまあこういうこともあるよねぇ、とのんびり待っていた。 一時間もしないうちに、列車が動き出した。徐々に雨音が和らいでいく。 ゆらゆらと揺られているうちに、眼前にやや灰色がかった青い海が現れた。ああずっとこ
京都旅行最終日。旅の最後に訪れたのは高瀬川のほとりに佇む喫茶店、ソワレ。 以前から気になっていたので今回念願叶って訪問できて嬉しかった。 河原町の駅から程なくして現れる行列が良い目印となる。メニューに眺めて心を躍らせているうちに、物腰が柔らかくて素敵な髪型をした店員さんが案内して下さった。 店に一歩入ると忽ち青の世界に包まれる。昼間の世界に突如現れた夜の世界。深海のような深く幻想的な空間に、私の心はすっかり魅せられてしまう。 そして、ステンドグラスランプ、東郷青児の女性画
大都会の中にひっそりと佇む美しい喫茶店。 扉を一枚隔てたその先には、街中の喧騒とは無縁の空間が広がる。中をそっと覗くと、風格のあるウェイターが颯爽と席まで案内してくれた。店内をぐるりと見渡すと、数々の愛らしい調度品が目に入る。それらの中に混じって向日葵がしゃんと活けられていたのが印象的。古めかしい雰囲気の店内であるのにも関わらず、どこか溌剌とした空気が感じられるのはきっと向日葵のお陰なのだろう。 ふとメニューに目を移すと趣のある書体で綴られた品目が心を捉えて離さない。こう