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あるA君の苦悩

 A君は早朝、コンビニに買い物をするために、外を歩きながら考えていた。

 「うーむ、おれは考えているな、それはわかる。おれは考えている、それはわかる。だがほかの人は考えているのだろうか。おれには他人は、何も考えていないように見える。本当に、みんな考えているのだろうか」

 A君は横断歩道をわたり、さらに10メートルほど歩き、なじみのコンビニに入る。

 「いらしゃいませ~」

 外国人の男性店員が言う。

 新顔か、とA君は思う。このコンビニは、外国人の店員を多く雇っている。

 今朝の店員は初めて見る顔だ。

 A君は、缶コーヒーと雑誌とパンを手に取り、レジに向かう。

 店員の胸の名札を見る。

 ‘‘まー‘‘と書いてある。

 A君は金を支払い、品物の入ったポリ袋をうけとる。

 店を出ようとして、A君はふとふりかえる。

 そして店員に言う。

 「なあ、まーさん、あなたは、いつも何を考えている?」

 店員は当惑した表情をする。

 だが、やがて、やさしい笑顔となる。

 「そうですねー、家族のこととか、仕事のこととか、自分のことですねー」

 A君は、詰め寄るような表情となり、言う。

 「どれを真っ先に考えるのだ⁈」

 「それはやっぱり家族でしょう。遠くはなれていますからねー、それから仕事のことですねー、仕事は大事ですからねー、それから自分、のことですねー、自分は大切ですからねー」

 「!」

 A君は、ポリ袋を床に落とす。そして頭を抱える。

 A君は、床に膝を落とす。

 「そうだった、おれは一人暮らしが長く、,いつのまにか家族のことを忘れていた。

 おれは仕事をしていない、いつのまにか仕事をすることを考えなくなっていた。

 おれは自分のことしか考えていなかった。

だから苦しいんだ!」

だから苦しいんだ!

だから苦しいんだ!





 











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