自宅で簡単、100円温泉
つい最近、『東京・都市部のホテルが天然温泉を売りにしていて、その温泉水を運んでくる経費がかなり掛かっているが、お客さまサービスとして続けていきたい…』みたいなTV番組を観た。「天然温泉=そこにある源泉」みたいなイメージで凝り固まっていたのだが、他所から運んで来れるものなんだと思考に爪を立ててみた。
こういう時、この15年くらい、スマホの本格普及が始まった2008年くらいから本当に便利な世の中になったもんだなと思う。それまでの最もこなれた探索・調査ツールとしてパソコンはあったが、いつも手近にあって瞬時に起動できるものでは無かったし、それ以前は雑誌や書籍、新聞などを伝って調べるくらいしか方法は無かった。だから一部の人しか手に入らない幸せや嗜好があったり、テレビや雑誌などのメディアに「知る」という権益を独占されていたように思う。
話しが脱線したけれど、「○○市 温泉水販売」と居住地で検索してみた。何か所ものスーパー銭湯や健康ランドの謳い文句に混じって、隣の市の名前と「温泉スタンド」なる結果が表示され、吸い寄せられるようにポチ… なんと、普段よく通っている自宅から20分ほどの国道沿いにヒッソリと市営の温泉水販売スタンドがあるらしい。そもそも温泉スタンドという言葉すら初めて聞いたのだが、ガソリンスタンドのようにお金を入れるとホースから温泉水が出てくるらしい。
善は急げじゃないけれど、直ぐに温泉スタンドへ向かう。独り身になってからこの辺の動きはとても身軽になった。それこそスマホのナビが無かったら絶対に気付かないような場所にそれはあった。スタンド設備はそう新しいものでは無かったが、「販売中」のランプはシッカリ点いているので大丈夫そう。スタンドに貼られたプレート類に書いてある、温泉の泉質、効能、自宅での使い方なども熟読し、最後に買い方を読んでビックリ!
「100円で100リットルの温泉水が出ます」
えーーー???温泉水ってそんなに安いの???
と言うより、100リットルってどうやって何で運ぶの???
すぐさま相方に相談。ホームセンターへ行って18リットルの灯油用ポリタンクを探すと、あったあった。
え?1缶798円・・・
20リットルのタイプもあったけどコチラは980円。100リットル分を買おうと思ったら5千円! 100円の温泉水を運ぶ容器に50倍のお金を支払うの???という強い強い疑問を持ちつつも、これが温泉スタンドで売られている容器なら詐欺のようで諦めそうだけど、ここまで来たら引くに引けない。だいぶ重いであろうことも考えて、取り敢えず18リットルタンクを3つ購入し、温泉スタンドへ引き返す。
すっかり暗くなっていたけれど、車のヘッドライトで照らしながら100円玉を入れてタンクに温泉水をジャバジャバと注ぎ、自宅に持ち帰った。源泉そのままだと皮膚がかぶれたり、追い炊き機能を使うと風呂釜やパイプの故障に繋がることから、水道水のお風呂を熱めに炊いて1割~2割の温泉水を混ぜるのがお勧めとあったので、その通りにやってみた。タンクの冷たい源泉をドボドボ注ぐと浴槽内はかなり真っ茶色。熱めに炊いたせいもあってか、ひとしきり温まってから上がってると物凄い温泉効果。とにかく延々と汗が止まらない。荒れていた皮膚や痛かった腰が癒されている気がするし、何と言っても個室でのびのび入れることでのリラクセーション効果も素敵!その夜の寝付きも良かったし、翌日の睡眠満足度も非常に高かった。
今回は惜しくも60円分だけ持って帰った訳だけど、100円分を運べるタンクを買い揃えれば、週2回入っても1ヶ月くらいは楽しめそうな気がするなぁ。温泉水の消費期限が気になるところではあるけれど…
お終い
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