Notion の全社導入で組織カルチャーと業務効率を両ドリした話。
こんにちは!株式会社アトラエで広報を担当している南です。
アトラエは、メンバーが100名強の上場企業で、ヒトの生きがいや働きがいを創造すべく”People Tech事業”を運営している企業です。そんなアトラエには、全社横断で活躍するスペシャルチームがあります。
それは、急速に進む組織拡大を情報資産という側面から阻害させず、いかに組織カルチャーと業務効率化の両ドリを実現させるかを考え抜く、Notion導入をリードしたチーム。今日は、そんなNotion導入を起点にアトラエの思想・カルチャーをご紹介します。
ー導入ー
企業にとって、事業の成長スピードは命と言っても過言ではありません。しかし、事業の急成長に伴い、組織は複雑化し、これまで当たり前のように機能していた情報共有の仕組みが、いつしかボトルネックになってしまうこともーー。アトラエも、そんな課題に直面した企業の一つ。
アトラエでは、IT・Web業界に強い転職メディア「Green(グリーン)」や、組織力向上プラットフォーム「Wevox(ウィボックス)」など、複数事業を展開しています。ヒトの生きがいや働きがいを創造すべく事業内容にもこだわりが強いアトラエですが、組織カルチャーにも並々ならぬこだわりが存在します。
このお話の前提として、アトラエでは「意欲あるメンバーが無駄なストレスなく活き活きと働き続けられる」会社であるべく、様々な取り組みを実施しています。組織形態も、上司・部下や出世という概念は存在せず、全員がフラットな自律的分散型組織で組織運営しています。
そんなアトラエの組織づくりに関するこだわりがいくつかある中で、今回のお話に関連する部分だけ抜粋してお伝えすると、徹底した「情報のオープン化」があります。これは、情報格差をなくし全員がフラットかつ建設的に議論できるよう、そして経営者視点であらゆる判断が迅速に行えるようにしたいという想いで創業時から大切にしている考え方の1つです。
そんなアトラエには、アトラエの掲げるビジョン「世界中の人々を魅了する会社を創る」を実現すべく、一人ひとり成し遂げたいこと、やりたいことがある意欲的なメンバーが集まっています。そんなみんなに対し、全社横断で生産性の高い仕組みづくりを考える必要があったので、今回ご紹介するNotion導入チームの2人には、立場や役割でタッチできる情報を制限する(情報格差をつくる)などといった選択肢は存在しませんでした。
なぜなら、アトラエのみんなが、やりたいと思ったことをやりたいタイミングで適切に行動に移せるよう、もっというと、行動に移すべきかを適切に判断できるよう、必要な情報はできる限りオープンにするのがカルチャーの根源だったからです。
また別の側面では、情シスのみが情報システムの管理をするような体制ではなく、推進者が責任を負った上で現場主導で導入できる環境ゆえの課題もありました。それは、チームごとに最適なツールを導入する慣性が働きがちで、リスクマネジメントの観点ではクリアしていても、全体最適での利便性では課題があった点です。
特にここ数年は、事業拡大に伴い社内で利用するツールも増加し、コミュニケーションツール、タスク管理ツール、情報共有ツールなど、同じ目的でもチームや事業部ごとに異なるツールを採用していたり、ツールの役割が重複したものが複数導入されていたりしていました。
まとめると、組織拡大に伴い、組織カルチャーの強化と生産性向上の難易度がともに高まり続ける中、徹底した情報のオープン性を維持しつつも、業務効率やコミュニケーションの円滑化を実現するという、世の中の情シスが直面するであろう課題を全部解決!両ドリしちゃいましょう!を目指したチームにスポットライトを当てた物語です。
エンジニア2人が立ち上げた新生プロジェクト
組織拡大に伴い、新たな情報共有の形を模索しはじめたNotion導入チーム。組織カルチャーを守りつつ課題解決するために、様々なツールを検討した結果、本プロジェクトをリードする2人が最終的に選んだのは、オールインワンワークスペースとして注目を集める「Notion」でした。
「Notionを選んだ理由は、その柔軟性の高さにあります。ドキュメント作成、タスク管理、データベース構築など、様々な機能を一つのプラットフォーム上で実現できるため、情報の一元管理に最適だと考えました。」(小倉)
「Notion導入を決めた時、最初にその構想を話したのは情シスでも、同期でもなんでもない他チームの彼でした。」(小倉)
「オフィスで仕事してたら、小倉さんがふらっと寄ってきて、『Notion導入しようと思ってるんだけど、一緒にやんない?』と、ほんとカジュアルに誘われたんです。その時はなんかよくわかんないけど『やりましょう!』と答えました。」と、丸山氏は当時を振り返ります。
こうして、小倉氏と丸山氏によるNotion導入プロジェクトが立ち上がったのが2023年冬のこと。
「別に彼と特別仲が良かったとか、世の中でいうところの情シスの仕事に彼が就いていたとか、そういった理由ではなく。ただ僕は、本人の適性や興味関心に基づいて声をかけただけです。自律分散型組織であるアトラエにおいて、会社にとって必要なことと本人がやりたいことの重なりってとても重要だと思っているので、今回のプロジェクトでも、所属や年次で決めるというよりは、その業務の遂行に最適なメンバーを適宜アサインするというアトラエならではのやり方で始動したと思っています。」(小倉)
本プロジェクトの目的は、今後の事業・組織両面の拡大を見据え、社内の情報共有を効率化し、大切にしたい組織カルチャーの1つでもある徹底した情報のオープン化(誰もが必要な情報に簡単にかつセキュアにアクセスできる環境)を構築すること。
そのために、まずは既存のツールで管理していた情報をNotionに集約し、最終的にはNotionを社内情報共有のハブとなるプラットフォームに進化させることを目標にスタートしました。
組織拡大に伴う情報共有のニーズの変化
以前のアトラエは、全社の情報共有にDocBaseを採用していました。
DocBaseを導入した2016年当時は、アトラエの社員数は30名前後。人数規模もコンパクト、かつ文書作成する文化自体が強くなかったため、まずは文書作成の習慣を根付かせるべく、一番使いやすい DocBase を選択しました。
アトラエでは「意欲あるメンバーが無駄なストレスなく活き活きと働き続けられる」会社であるべく、「全員が当事者意識を持ち、適切な意思決定ができる」環境を目指し、「徹底した情報のオープン化」を維持しています。そのため、入社1年目のメンバーであっても、経営層と同じ量および質の情報にアクセスできる情報共有の仕組みを重視。
その点から、2016年当時は「DocBaseのようにトップ画面にアクセスすれば、『全員の』『すべての投稿』にアクセスできるインターフェースは、とても有意義な体験だったはずです。」(小倉)
一方で、社員数が100名を超えてきたあたりから、受動的に全ての情報を取得するニーズよりも、ストック情報とフロー情報を区別することや階層化することに関するニーズが強くなってきました。
例えば、引越しをしたメンバーが、必要な社内申請を調べる時「転居」と検索すると、表記の揺らぎもあり正確な「引越し手続き」ページがヒットしません。それだけならまだ良いのですが(他の人に聞いたりできるので)、人事でもコーポレート担当でもない別のメンバーが、良かれと思って執筆していた「転居手続きリスト」や、自分の備忘録のつもりで書き残していた数年前の「転居手続きのフローチャート」など不正確で情報も古い記事がヒットしたりしていました。
再掲します。
そうです、アトラエには「意欲あるメンバー」が集まっており、「全員が当事者意識を持ち、適切な意思決定ができる」環境があり、「徹底した情報のオープン化」が根付いています。
なので、みながみな当事者として、良かれと思って様々な粒度で様々な情報をまとめ社内向けに公開してくれていました。これがアトラエならでは良さでもあり課題でもありました。
表記の揺らぎも去ることながら、玉石混淆とは言わないまでも、どれが最新で正しい情報なのか初見では判断できない状態になっていたのです。もちろん DocBase だけでなく、 Slack や Google Drive 含め各ツールで同じことが発生しており、画一的な情報管理自体が当時のアトラエの経営課題の1つであったのは間違いありません。
「ここでお伝えしたいことは、決して DocBase が劣っているというわけではなく、組織の変化とともにフィットするサービスが変わっていったという点です。アトラエのここ数年の課題にはマッチしなかったというだけで、 DocBase 自体はとても素晴らしいサービスです。」(小倉)
やりたいこと・やるべきことに向き合える環境を
また、開発現場では別の課題もありました。それはツールの乱立問題です。(一定の社内決裁はありつつ)アトラエでは、現場で必要だと判断したツールはボトムアップで導入できる環境ゆえに、チームごとにあらゆるツールが導入されていました。
アトラエでは、自由にチームを横断できる環境ゆえに、必然的に活用するツールも増えていきます。
「プロダクト開発をしたいだけなのに、チケット管理のためにそのツールの使い方や思想を学んで最新機能を継続的にキャッチアップして、しかもそれをマニュアル作成、顧客管理、チャットツールで…といったように、それぞれのサービスでやっていくのが大変だなとある日ふと思いました。それらをまとめて効率化してくれるのがNotionの思想であり、今のアトラエのフェーズには合うだろうと思いました。」(小倉)
「最初はいきなり本番環境に手をいれるのではなく、でも皆が興味をもってNotionに集まってくる社員名鑑の移行をやってみました。ただ、社員名鑑のデータをNotionに移行する作業は想像以上に大変で。社員一人ひとりの趣味や特技など、自由記述の項目が多くデータの成形には少々苦労しましたが、その過程でNotionのベストプラクティスを学べました。」(丸山)
その後は、事業に関する部分の移行にも着手していった2人。
「通常の会社であれば、情シスが担うであろう分野を事業部に所属する1エンジニアが、『なんかよくわかんないけど楽しそうだからやってみる』という完全なるノリと勢いでやっちゃえるのがアトラエの良さでもあります。
が、
まるちゃんはNotionが好きすぎて、むしろそっちが本業なんじゃないかというくらい一時はのめり込んでいましたね。」(小倉)
そんな2人のおかげで、多種多様なツールに分散していた社内の情報も Notionをハブに一挙に管理・共有できるようになっていきました。
カルチャーも大切にしつつスピードも落とさない組織へ
Notion導入プロジェクトの始動から1年。今では、社内の情報共有のあり方も変わり、生産性向上や業務効率の向上など多くの成果を上げています。しかし、小倉氏と丸山氏は、Notion導入をゴールとは考えていません。
「Notionはあくまでもツールに過ぎません。重要なのは、Notionを使って、私たちがどのような組織を創っていきたいのか、ということです」と、小倉氏。
「Notion導入をきっかけに、元々表現力の豊かだったアトラエメンバーが自由自在に表現したい内容をアウトプットすることができるようになり、コミュニケーションも滑らかになったと思います。これからも、アトラエメンバーの能力を最大限に活かしながら、組織カルチャーの強化・生産性の向上の両ドリに向けて、挑戦を続けていきたいです。」と、小倉氏と丸山氏は、力強く語りました。
最後に
本プロジェクトは、小倉氏が丸山氏をふらっと誘ってみたことで突如始まったプロジェクト。想いがあり価値ある取り組みであれば、アトラエでは、誰にも止められませんし、誰の許可も必要ありません。
また、本業がどうとか、目の前のタスクがどうとか、各プロジェクトとのバランスも本人の裁量で自由に設定できるため、今回の丸山氏のように、一時的にワーキンググループやタスクフォースの稼働を増やすことも容易です。
そんな自律を大切にするアトラエでは一緒に働く仲間を募集しております。
「自分ならもっとイケてる環境にできる」という方も是非お待ちしております(そうではない方も、もちろんお待ちしています!)