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千住仲町町会の餅つきをお手伝いしてきた

お神輿に引き続き、先日、千住仲町町会でお餅つきをしてきました。

餅つきってファンタジーよね。もち米を叩いて餅にする。そうやって美味しいものを作る。それを住人に体験してもらう。なんて粋な町会なんだ。

いやね、実は餅つきの経験ってあんまりなくて。田舎出身なのに?って思うかもしれないけど、田舎にはもう既に餅つき機というものがありまして。なんでもかんでも効率化の時代。それだってもう何年も前の話よ。
餅はカビに弱い。せっかくついて丸めて乾燥させてもカビで駄目になってしまうこともある。米農家を営む祖母の家でももう餅は作っていない。趣味がてら餅を作る親戚からもらうことも多いし、足りなければ買えば良い。

もう餅つきをする町会も減った。だって大変だもの。餅つきという行為も大変だけど、米を蒸す釜を用意し、あの重い重い臼と杵を運び、臼にこびりついた餅を洗い、灰で汚れた床の掃除をする。住民のためにそんな重労働をこなす仲町町会の皆さんは偉大だと思う。
ちなみに私は仲町住人ではない。でもお神輿でもお世話になった恩もあって、少しでも力になれたらと思って参加した。

眠い目をこすりながら朝10時に氷川神社に向かう。境内では4つほど並んだかまどで米を蒸していた。寒い中、神社では静かな時間が流れていた。パチパチという墨が燃える音と町会の人の話し声だけ聞こえる。

youtuber・北千住の達人を始めとして、知った顔も何人かいて挨拶をした。神輿の時にお世話になった方々もいた。しかし、一番会いたかった棟梁が見当たらない。聞けばひと仕事こなして、寿町の餅つきに行ったという。なるほど、下町の人は餅つきを梯子するのか。

蒸し上がったもち米を摘んで食べ、芯が残っていないか様子を見る。芯が残っていたらまだまだ、柔らかければつき頃。餅米を布巾ごと掴んで「熱い熱い」といいながら臼に放り込む。
さて餅つきの始まり、と言いたいところだが、これではまだ餅はつけない。いきなりついても米が飛び散るだけなので杵で米を練り潰さないといけない。実に地味な作業だ。

11時を回って人が並び始めた。

米が潰れてくっつき合ってきたら餅の原型となる。さあ、子供たちに餅つき体験を、といいたいが子供たちの非力な力でついても餅はいつまでも馴染まない。大人が力強く木下を振り下ろすことにより、餅はどんどん粘り、柔らかくなっていく。そこで我らがつき手の力が必要になる。

出番だ。とは言ってもいきなりの実践は無理がある。杵を振り下ろすたびに「腰がひけてるぞ」「そんなんじゃいつまでも餅はできねえなあ」とヤジが飛んでくる始末。

河原町のマドンナことりえちゃんも参戦。きゃあきゃあと言いながら杵を振り下ろしていたが、二人で「何が正解かわらなくない?」と言いあってはしゃいでしまった。

それでも餅つきの順番は容赦なく回ってくる。こなせばこなす程コツが掴めてくる。「どうなるかと思ったけど、大分上手くなったなぁ」と褒められて嬉しかった。

ある程度、形ができたら子供達の番だ。「いーち!にーい!さあん!」と数えながら楽しそうに子供用の杵を振り下ろす。

餅をこねるのは私の役目だか、餅をこねたのも初めてだった。ついた餅を回そうとするが、ベタっと臼にくっついていて回らない。手指についた餅も取れない。これはこれで大変な作業だった。見兼ねた町会のおばちゃんが「どれ貸してみ」と変わってくれたが、するんと餅を捏ね回してしまう。その手つきも実に鮮やか。どれだけ餅を捏ねたらあの域に届くのだろうかと憧れさえ覚えた。

ついた餅はトレイに乗せられ、固まらないうちにテントに運ばれていく。町会のお姉さん方が用意してくれたのはきな粉、小豆、ごま。私も頂いたけど、つきたてのお餅は柔くて甘くてとても美味しい。シンプルな海苔醤油も試したけど本当に美味しくていくらでも食べれてしまう。

飲み友達のかこちゃんにこそっと「こんなに柔らかいとあれよね、老人を殺す餅よね」と言ったら笑ってむせてしまい、「餅を詰まらせるところだった」と言われた。淑女も殺す餅かもしれない。


町会の方々に今回何キロ炊いたの?と聞いたら60キロだと教えてくれた。ひぃ、あと何キロついたら良いのだろう。普段、力仕事はしている方だが使う筋肉が違う。無理矢理に腕を動かしながら餅をついた。
町会が餅つきをやめてしまう理由の一つが「つき手不足」だ。だから地区外の私もお手伝いをしているんだけど、なんともせつない話だ。なので今回は子供と一緒に餅つき体験の列に並んでいたお父さんに声をかけて餅をついてもらった。特に若いお父さんたちは頑張ってくれる。お母さんと一緒に「パパがんばれー」と応援する子供達もいた。

餅をもらう列も長いこと続いていたが、お昼を過ぎたら落ち着いてきた。60キロでちょうど良かったね、なんて話をしているうちに餅を配り終えて終了。しかし今度は片付けがある。

これもまた大変だった。臼に熱湯を注ぎ、餅をふやかしながらタワシで擦る。ヘリにこびりついた餅はなかなか取れないが根気よく擦ると落ちてくる。臼が終わったら今度は杵。取手もベタベタでこちらも大変。臼を傾けてお湯を捨てたら、二人で軽トラの荷台に乗せる。
テントを畳み、骨組みをバラしてビニール紐で結び、使った長テーブルを綺麗に拭き、こちらも荷台へ運ぶ。使った調理器具もよく洗って乾かす。乾かしたらこちらは町会の倉庫に。軽トラで近くの倉庫に向かい、降ろして仕舞う。

「お疲れ様」と言っておばちゃんが用意してくれたのは団子汁と甘酒。そして我らがフードパークから海鮮丼を出前してくれた。缶ビールで乾杯。



鳥や牛をまぜた団子と野菜のけんちんは出汁が効いていて美味しかった。海鮮丼はかんぱちにとびこにマグロ。市場が近いからネタも良い。ビールによく合うんだわ。

今回も楽しかった。他所者な上、違う町会の自分にも本当によくしてもらった。何よりもつきたてのお餅は柔くて美味しかったし、子供達もとても楽しそうにしていて良かったな。来年もまた神輿と餅つきができたらと思う。


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