ひそやかに歴史が沈む街、波止浜-四国ロードトリップday3-
朝から降り続ける大雨の中、たどり着いた波止浜港は、背の高いクレーンが林立し、大きな船が何隻も停泊する、要塞のような場所だった。
今治駅から車で約15分北上したところにある、波止浜(はしはま)港。
四国ロードトリップ3日目。この日の予定は、その波止浜港から出発するフェリーに乗って、しまなみ街道に浮かぶ島・小島に行くはずだった。
しかし、この日は朝から生憎の大雨。この大雨の中、フェリーは出るのか。フェリーが出ていたとして、島に渡っていったい何ができるのか。
前日の宿泊地から、今治に向かう車の中は、この後の予定をどうするのかというLINEが行き交っていた。
今治に到着。
相変わらずの大雨。
さて、どうするか。
ひとまず、この日から参加する予定だったメンバーと、今治駅で合流し、ランチに繰り出す。Googleマップで見つけたお店に向かう間も、お昼ご飯を食べている間も、食事を終えて駅に戻る道すがらも、ひたすら
雨
雨
雨
それでも、と一縷の望みをかけて向かった波止浜港で、思わず、息を飲んだ。
高くそびえ立つクレーン、カラフルに塗装された見たこともない大きさの船。「うわ、何ここすごっ!」と思わず口をついて出た。
湾奥に塩田があり、かつては、漁港と塩の積出港という、2つの面で栄えた波止浜港。塩田開発とともに、その周りに街が作られ、問屋や商家が立ち並び、波止浜の地にすまう富豪もいた。塩田がその役目を終え、埋め立てられてからはそこにいくつもの造船所ができ、造船関係の工場が建てられるようになった。
しかし、塩田も、造船も、全盛期は今は昔。
命を感じさせない壮大でサビのついた機械たち。住む人のいなくなった昔ながらの建物。小さな小さな寺社仏閣。雨の中訪れた波止浜という街は、ただただ静かな場所だった。
乗ろうと思っていたフェリーは14:00発。
しかし、東京から合流のメンバーの到着が遅れたため、1本フェリーを乗り逃し、次の出発は15:40。フェリーを待つあいだ、見たことのない風景にかすかに胸を躍らせながら、ひたすら写真を撮った、1時間半。
いつの間にか
雨は止んでいた。
model : 溝畑幸希( https://twitter.com/batako_yuki )
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愛媛県越智郡波止浜町
今治駅からJR予讃線で4分
〈写真撮影して楽しそうな人たち〉
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