子どもは毎回お子様ランチを食べなきゃいけないの?
食事をする店でいいところを判断するポイントって人それぞれだと思うけど、私は、「子どもに出す食事に手を抜いていないか」で判断すると結構外れない、と思っている。
店にしろ、ホテルにしろ、外食をする店で、子どもの料理に手を抜いている店は多い。そういうところは、大人の料理が一見豪華そうに見えても実は、見えないところで手を抜いているので、トータルすると「豪華そうに見えるだけ」ということが多い。
例えば、長期の休みに旅行に行くときにホテルをハシゴするときがある。そうすると、子ども向けの料理が、「え、コピーしたの?」っていうくらい同じようなメニューだったりする。
形が整いすぎたハンバーグやオムレツ、やたらデカイエビフライにタルタルソース、のびのびになったケチャップ味のスパゲッティ、コーンスープ……
子どもの指向は昭和から変わってないだろ? というくらいどこかで作られたものをレンチンして出してます、的なメニュー。そして、味も似たり寄ったり。
おいおいおい、子ども達は、旅行中、毎日同じ料理を出されるんか、と思うとうんざりする。そして、案の定、周りの子供達も食べない。
沢山の量を出しておいて、残しても子どもだから仕方ないよね、というの正直気に入らない。子どもの舌をなめるなよと思う。子どもは美味しいものを出したらちゃんと味がわかると思うんだけどな。
子どもの食事を日々作るのは大変。私は、料理するのが苦手という気持ちが強いから、時にはこだわって作ってくれるお惣菜を利用させてもらうことがある。そうすると、大人にとっては手軽で美味しいんだけど、子どもは箸をつけなくて、なんでだろうなと思ってきた。
そうしたら、最近聞いた話でなるほどなあ、と思ったことがあって、「料理って作っている時の香りからすでに料理なんだよ」と。だから、香りがしないのに、いきなり食卓にご飯がのぼっても食欲なんて生まれないんだよ、と。
そうやって振り返ってみると、ご飯が炊ける蒸気の香りや、お味噌汁の香り、おかずの香りなど、沢山の香りに誘われて、息子が「うわー美味しそうなにおいがする!」ってやってくる。
ここが大事なのだと気づいたのです。
そう言えば、私も小さい頃に母がご飯を作る香りってすごく好きだったなと思うのです。煮物を煮る香りや、焼き物の香り、香りで今日は苦手なおかずだなってわかる時のちょっと複雑な気持ち。香りだけでなく、母が食材を切るリズミカルな音。
何年経っても幼い頃の記憶って昨日のことに思い出せるもの。そして、思い出せる記憶を持っている自分はとても幸せなんだな、と思います。
さらに、聞いた話には続きがあって、色々な香りをかぎ分けるのは、立派な脳育になるよ、とのこと。カツオだし、みそ汁の香り、調味料の香りなど、小さい頃から沢山の香りをかぐのと、総菜がポンといきなり食卓にのぼるのでは脳への刺激が違うよ、と。
もちろん、働く女性が増えて、料理の時間を短縮したいのはすごくあると思うけど、せめて、お味噌汁を作ることだけでも頑張れればぜんぜん違うのかなと思う。
私は、結婚するまで出汁をとる=出汁のモトを入れるとおもっていたくらいに何もできなくて、つい最近まで出汁を取ることに前向きになれなかったけど、最近、その栄養面にも注目しているので、ようやく出汁を取れるなあって思い始めたのです。
子供達の栄養面でも、ずっと取り組むことに躊躇していた出汁といよいよ取り組むことができそうです。
そんなわけで、小さな小さな台所の一角から、冷凍のお子様ランチを出す外食産業に一石を投じたいと思うのです。