幻の3六角成

2007/10/21
羽生 対 谷川   大和証券杯
先手:羽生善治  
後手:谷川浩司
戦型:(右玉対土居矢倉)

序盤は先手が右玉側の端の位を取りながら陣形を整え、後手は5二金から手堅く玉を囲うと思いきや、土居矢倉に引飛車でバランス重視の陣形に組んでいった。お互い玉の硬さより、柔軟さや懐の深さを軸に作戦を実行していった。
中盤は先手側から7五や5五地点の歩の交換をしていき、後手はどちらも丁寧に受けた。その後、桂馬の活用を重視した後手が3三桂馬や7五歩から桂馬を交換し、5五桂馬打など攻め形を求めにいった。5五桂馬で右玉要の銀取りをかけられた先手の対応が意表の端桂馬打で先手も積極的に攻め合いの姿勢を示した。しかし、1六桂馬は危険だったようで、1四歩から後手作戦勝ちの中盤に突入していった。そこからすぐ桂頭を攻めにはいかずに間合いを図り、72手目、1四歩から2四歩と開戦した。先手は桂馬を犠牲に後手を歩切れにさせながら飛車先を突破できたことを、後手は歩切れながら桂得をそれぞれ主張する形になった。
開戦し、81手目後手が2三銀と手堅く受けた手に対し先手が一番下まで飛車を引いた局面である。この時、後手谷川の駒台には歩がなくな、先手の飛車先は通りっぱなしで、1三歩成からの攻めなどが目につき桂得したものの受けにくい怖い状態であった。そこで、谷川は歩に成られる前に歩を回収して2五歩と受ける形を選択した。その後、先手は8六香車から後手の歩切れをついたカウンターから1九飛車と端攻めを敢行した。歩のない後手はどうやって端の攻めを受けるかという問題に直面したが、桂馬打から2七角打と飛車の頭を抑える方針をとった。
ここからがこの将棋のおもしろいところである。

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