未来ある若者たち
平日の夕方、娘2人と公園に行った。
広く、整備の行き届いたこの公園は人気の遊び場だ。この日もたくさんの子ども達が思い思いに過ごしていた。近所の小学生がほとんどで、ザッと見渡しても50人以上いるようだ。鬼ごっこ、ボール遊び、芝生広場で寝転がってゲームやスマホを触る子たちも多数。
その中で、異彩を放っていたのは、4人の男子高校生グループ。
揃って細身の長身、無駄のない体つきというかひょろっとしていて優男って感じ。みんな制服姿で、1人だけ部活ジャージを羽織っている。とにかく髪型も背格好も全員似ている。
(失礼ながら)特別顔が整っているという訳ではないが、利発そうな、品のある雰囲気。そして17.8歳ならではの、あの無敵の輝きを放っていた。この例えがもう年増なのだけれど、アイドルグループみたい。ここではF4と呼ばせて頂こう。(参考文献・花より男子)
そもそも、この公園では「高校生」という存在自体が異色なのでわたしとしては見慣れぬ生物扱い、つい横目で見てしまう。
彼らは、ロープで出来たジャングルジムで申し訳程度に遊ぶと、子ども達の少ない、高齢者用ストレッチ器具の方へ。
しばらくすると、娘がそのストレッチ器具で遊びたいと言い出した。思いがけずF4と接近することに。
彼らを見ると、器具に体を任せつつ喋っている様子、1人の手元には、なんと、英単語帳が!
そしてジャージ姿の子の背中に記された高校名を見て納得、この辺で1番の進学校である!
はーなるほどね、やはり利発そうな顔つき、わたしの印象に間違いはなかった、滲み出る賢さよ、とお前どの立場で言ってんだよ的なことを考えつつ、また横目でチラチラ。背中の高校名が輝かしい。
そういえば、我が実母も、わたしの高校の卒業アルバムを見ながら「特進クラスはやっぱみんな賢そうな顔つき」などと適当な言っていたのを思い出した。どの立場で言ってんだ。(事実、皆さんとても賢いのだが。それも特進クラスに限らず、ゴロゴロと猛者がいた…)
さて、F4はというと、どうやら英単語を出題し合いながら過ごしている模様。その近くをチョロチョロ走り回る長女。5歳女児と男子高校生のコントラストはなかなか新鮮で面白い。
ふと気づいた。あれ、待てよ、わたしと夫の歳の差って、まさにこんくらいじゃん…。
つまり、「このF4の誰かと我が娘がくっつく」という未来が、今の我々夫婦なのである。おいおいまじか。同じ歳の差でも5歳と17歳では訳が違う。
加えて、夫とわたしとでは生まれ育った地域もまるで違う。それを思えば、わお、なかなか素敵な運命じゃないのわたしたち。
F4は、芝生広場の方へ移動。座り込んで、相変わらず英単語を確認中。
素晴らしいじゃないか。あんな未来ある若者たちに、日本と、我が娘たちを是非とも任せたいものだ。頼むよ、君たち!
公園遊びに辟易とする30代半ば主婦は、そんな妄想にふけり、時間を潰していた。本当は1秒でも早く帰りたかったけど、F4のおかげで心が潤った。若者たちよ、本当にありがとう。どうか娘を宜しく。