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ひろがるスカイ!プリキュアショー!【前編】
年少の長女は、プリキュアに魂を捧げている。毎週のアニメや歴代の映画などプリキュアと名のつくものは見まくり、セリフは暗記、主題歌を歌い踊り狂い、大きくなったらプリキュアになるのだと不退転の決意。出かけ先では「プリキュア・アンテナ」びんびんに、菓子だガチャポンだと目を光らせているのでわたしは気が気では無い。
8月最後の週末、近場のハウジングセンターで「ひろがるスカイ!プリキュアショー」なるものが開催されると知り、娘2人を連れて行くことにした。明らかな客寄せパンダ目当て、新たに家を買う予定も無いわたし達なので心苦しいが、長女のプリキュアを愛する気持ちには一点の曇りもないのだから許してほしい。わたしとしては、ふはは無料で楽しませられるなんてラッキー。
恐らく混雑する。この暑さで並ぶ時間を見誤ると絶望的だ。結局、整理券配付の10分前に到着した。受付場所が分からなかったらどうしようという心配は杞憂で、既に駐車場に沿って長蛇の列が出来ていた。
娘2人とその最後尾についた。あっという間に、我々の後ろにもどんどん人が列をなしていく。同世代の女児連れが並ぶ光景は、ちょっと異様。プリキュアグッズを持ったりコスプレしたりしている子もたくさんいて、長女が自分も欲しいとごねだした。その攻撃をのらりくらりとかわしながら、時が経つのを待つ。この日の気温はまだマシな方だが、それでも暑すぎる。娘たちの背中に保冷剤を当て、ハンディファンを回す。気温が高すぎる場合はショーは中止らしいが、それは無さそう。前に並ぶ、よそのお父さんがさす日傘の影に、娘たちをこっそり入れさせてもらった。
2人は多少ちょろちょろするものの、待っててくれるので本当に助かる。真横の駐車場には、アルファード・ヴォクシー・ノア、揃って漆黒の3台が、「TOYOTA子育て三英傑」といった佇まいで並んでいる。ここにベルファイアがあれば四天王だな。汗で全身はドロドロ、こういう時、夫婦で参加できればどんなに楽か。片方が並び、もう片方は子どもと車内待機、後ほど合流すれば良い。わたし達の前後に並ぶ人もそのような作戦らしく、前は例の日傘お父さん、後ろはお母さんひとりでそれぞれ並んでいる。
日傘お父さんがスマホを取り出した。
「もしもしあのさ、早く来てくんない?ひとりで並ぶの恥ずかしいんだよぉ。誰かに見られて写真でも撮られたらさぁ、ねぇ何やってんすか、てなるじゃん。うん、だから早く来てよ」
いや自意識!見たらだいたい察するわ!んでどれだけ自分が人気者だと思ってんだ。お父さんの繊細ぶりに耳を疑った。
待つ事およそ30分、ようやく受付の順番がきた。結局、日傘自意識お父さんの家族は最後まで現れなかった。
受付で個人情報を記入していると、我々の後ろにいた【ひとりで並ぶお母さん】が、スタッフからこう言われている。
「こちら小学生以下のお子さん連れのイベントでして、おひとりさまは受付できないんです…」
なんと!お母さんがひとりで並んでいる、と思っていたあの方は【大きいお友だち】だったのである。ひとりで推し活に来ていたのだ…。まさかそんなガチ勢も来ているとは。このハウジングセンターの無料イベントの目的は明らかであり、運営側としても大きいお友だちは【招かれざる客】、お呼びでないのだ。
そうですか、と言葉少なに去っていく彼女、炎天下に30分も並んだのに門前払いは気の毒だが、確かに広告にも【小学生以下優先】と記載されていたし仕方ないのか。奥深きプリキュアの世界よ、夢中になるのはなにも女児だけではないのだ。
47番の整理券を受け取り、そのままショーの行われるスペースへ。ステージは無く、ショーを行う箇所と観客席側に分かれている。日除けテントとレジャーシートのある客席は既に埋まっているので、我々は日当たり抜群、サイドのベンチゾーンへ。ここも満席だが、ご親切なお母様がご自身の席を譲ってくださった。その娘さんは、先代「デリシャスパーティープリキュア」の「キュアヤムヤム」の全身コスプレ(髪型も忠実)をしていた。長女は【ヤムヤムちゃん】の隣に座らせてもらい、わたしは次女を抱き後ろに立つ。
さて、いよいよショーの始まりだ。
To Be Continued…