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婦人科に行ったら流れで子宮体がん検査をした話

 今年の頭から月経後の不正出血が続いておりました。
 で、まあ、己の肉体には大して頓着もしていない鬱屈ジメジメ人間やめたいウーメンゆえ、当然のように放置していたんです。
 そもそもお外に出るのも知らない人に会うのも怖いですし、お金もかかりますし。これ以上病院を増やしたら間違いなく破産する。不健康のコスパの悪さときたら!
 が、その体調不良が母にバレましてね。母は婦人科系の疾病にまるで無縁な健康ウーメンなので、生理じゃないのに血が!? だめ! 病院行って! と慌てに慌て。
 愛されているのか過保護なのかなんなのか。とにもかくにも私はこうして、婦人科に行かねばならない状況に陥ってしまったわけです。

 二年前にメンクリ経由で行った婦人科でいいかと考え調べたところ、なんと当時診てもらった先生が今はもういないことが発覚。
 しかも医師の中に女性は一人! おまけに産科の先生なので婦人科は診てもらえなさそう! という驚愕の事実が。
 いい歳して女性の先生がいいと言うと笑われてしまいそうですが、いかんせん見知らぬ男性に触られるのが苦手でして。
 件の小学校時代の担任と高校の時に出くわした変質者+αのせいで本当に無理でして。パニック発作を起こして迷惑をかけるのもアレだなと、別の病院を検索。
 いやあ、わかっていたものの、希望に合いそうな病院が見つからない。
 十数年前にどえらい目に遭った、職業訓練校の授業中に倒れて担ぎ込まれた婦人科もあるにはあるのですが、

先生「はいいくよー」
私(……なにがだ?)
先生「(エコー棒ズドッ)」
私「おぐふ」

 というトラウマが。
 普通経膣かお腹か尻か選ばせてくれるんじゃないの!? 昔(二十三年前、別の病院)では選ばせてくれたのに!!!
 しかもめちゃくちゃお説教されて泣きながら帰りましたからね。
 前も書いた気がしますが、メンクリの元主治医も、現かかりつけの先生も、あそこの先生怖いからね……と苦笑い。
 口コミは軒並み怖い優しくない怒ると。評価は安定の☆☆☆☆★。
 いや、悪い先生ではないんだ……それはわかる……ただただ怖い……寄り添ってくれぬ……。その分看護師さんは優しさの塊だった……。
 で、また泣かされては堪らんと別の病院を探す探す探す。タップタップスワイプ。スッシュッスッ。

 そうして見つけたのが隣の市の病院。ホームページに掲げられた『女性医師の診療をご希望の方はお気軽にお申し付けください』の言葉。なんと心強い……。
 入院食のディナーメニューを選べます! 家族皆さんで入院するためのお部屋もあります! ホテルのようなラグジュアリー! みたいな病院で、は、ハードルが高い……! と尻込みしつつも、ここしかない! ここしか! ない! と勢い任せにネット予約。電話しなくていいなんて、科学の力ってすげー!
 時間毎の予約枠が少ないので十日後と少々先になってしまったものの、無事に予約完了。事前問診票も印刷して記入。完璧。パーペキ。あとは当日を待つだけ。

 十日後。
 嫌だー、行きたくないー、これ以上通院する病院増やしたくないー、しかも徒歩二時間以上かかる山の麓の病院だしー!
 などと喚きつつ、車に押し込まれて病院へ。
 だいたいの約束や予定において、当日が差し迫ると嫌になってくるこの心理はなんなんだろう。自分で選んだくせにね。
 産婦人科なので、当たり前に妊婦さんがいるだろうことを考えると、地味に心がチクチクと痛むのも腰が重い原因。子供が欲しいけど作れていない人間なので。だがこればかりは相手がいないとどうにもこうにも。にっちもさっちも。ブルドッグ。
 しかし車は止まりません。
 こりゃ熊が出るな(実際熊出没のニュースは時々ある)というような道を進み、畑を越え、やって来ました産婦人科。入院できる病院なので、なかなか大きな建物です。
 来てしまったものは仕方ないと、開き直って玄関のドアを潜ります。諦めが早い。
 足を踏み入れると、そこはまるでホテルのロビー……セレブ御用達の雰囲気。帰りたい。この時点で予約時間の二十分前。
 しかし入ってすぐUターンなんて不審極まりないため、受付へ直行。
「おはようございます、十時に予約をしていたかなちかと申します、初めてかかるのですが」と及第点は取れる程度の声掛け。そして事前問診票と保険証の提示。忘れずに女性の先生でお願いしたいのですが、と付け加えることも忘れない。
 無事に受付を終えると、呼ばれるまで、柔らかくて大きいソファに腰掛けて待機。その間周りを窺って、この病院のシステムに探りを入れます。システムを知っているのと知らないのとでは、心の余裕がまるで違いますからね。
 どうやらテレビの上にあるモニターに呼び出しの番号と指示が出るらしい(この後、表示とともにメールでも診察呼び出しが来たのでハイテク)。
 フリーWi-Fiが飛んでいるのを知るも、壁に貼られたパスワードが小さすぎて読めない……。
 初診じゃない場合はあの機械で受付をするっぽい。
 トイレは向こう。男女でかなり場所が離れている。なにかしらの配慮か。
 あの奥が中待合室ってことは、そこに呼ばれてから診察とか問診とか検査があるんだろうな。ということは呼ばれた後は中待合室が拠点になるのか。
 うわ、このクッションふわふわだ。
 そういやマイナ保険証使うの忘れたな、次は使おう。
 などなど、自分が呼ばれた際に戸惑わない程度の情報収集とシミュレーションをしていると、事務員さんがやって来て、紙を一枚手渡し説明をしてくれました。
 なんと診察券は使用せず、個々の患者にQRコードを発行しているとのこと。は、ハイテク~!

 そうこうしていると、予約時間まであと五分。驚くことに中待合室への呼び出しがかかります。は、速い!
 朝の五時半に並んで受付をしてお昼過ぎに呼ばれるメンクリ(現在は予約制に変わり改善)とは大違い。
 緊張するなーと年甲斐もなくそわそわしつつ、すぐに問診室へ呼ばれたのでレッツゴー。
 ここで発生するのが、挨拶は「おはようございます」と「こんにちは」のどちらがいいのか問題。
 時刻はまだ十時前(嘘だろこんなにスムーズに行く病院があるの!?)。ならば……おはようだ! と思った矢先に先生から「こんにちは~」と声をかけられたので、私も慌ててこんにちはに修正。あるある。
 椅子に腰掛け、受付で渡した問診票を片手に症状の確認と検査についての打ち合わせが始まります。
 んでね、もうね、先生がとっても優しくて話しやすくて親しみがあって、この時点で内心ガッツポーズですよ。
 だいたいこの歳になると問答無用で経膣エコーで進められるのですが(性経験がない場合は年齢関係なく聞くはず(いつぞやのおっかない先生は聞いてくれなかったけど))、ちゃんと希望を聞いてくれる。たったそれだけのことがとても嬉しい……。
 まあ私はギャランドゥの処理を忘れたし、イボと切れのハイブリッド痔主なので、選択肢を与えられたところで意味のないことなのですが。

 そうそう、婦人科に行く時にいつも悩むのがVIOの処理。なにが正解なんでしょうね。
 最近では介護が必要になった時に備えてなどと言葉巧みに勧めてきますが、昔介護実習に行ったときは、Vの毛でソープを泡立てるとか、どのみち毛は自ずと抜けてなくなっていきますとか、そんなお話を聞いたので、まあ介護のためにツルツルは取ってつけた口実だな、という印象。
 とはいえパンツからボッサァもテンションが下がる。難しい問題でございます。しかしながらサロンに通うお金もない。
 まあ、適度に毟って刈り取るのがベターでしょうか。自分が快適ならそれでいいんです。お好みで毟り取りましょう。
 なんて、引きこもりだろうとこういう悩みも持つわけです。だって女の子だもん!

 さてさて。
 以前別の病院でやったエコーは結構痛かったと話したところ、「じゃあ出来るだけ痛くないように!」と先生。ありがてえー! その心意気がありがてえー!
 あとなんか、クスコも一番小さいサイズにしときますねって……や、優しい~!!!
 病院大好き(治療費は別)な理由の一つがこれですよ。優しさに触れられる……最高……。ワクチン接種の時も親切にしてもらえてウッキウキのワックワクになったもんな。
 いそいそと検査室へ入ると、おなじみの内診台。よく見れば今回の病院、なんとモニターが設置してあります。エコーの画像がリアルタイムで診られます。は、ハイテク~!
 ところであの画像、説明されないとどの角度から見た子宮なのかよくわからないと思いません?? 私だけ? もしかして学校で習うもの?
 今日初めて横からの断層だって知りました。鶴のボディーランゲージをした時の顔部分みたいな形。
 痛みもさほどなく(今までで一番楽だった! 先生の経験と優しさありがとう)エコー開始。そして即座に見つかる子宮内膜ポリープ。
 子宮、お前もか! 大腸に続いてお前もか!
 黄体期だったので白っぽくて見えにくいものの、約1センチのポリープちゃんです。
 ちなみに三十歳以上だと四人に一人くらいの割合で見つかるらしいです。サイズは数ミリから数センチ。極稀に十センチを超えるものも。
 お腹の中に十センチ……それはもうポリープとは呼べない代物では……子宮よりでかいのでは……。
 小さいといえば、どうやら私の子宮は少しサイズが大きめなようです。腺筋症が原因か。大は小を兼ねるということで、まあ良しとしましょう!
 ポリープと腺筋症、どちらも今すぐどうこうという病気でもなし、ポリープは不正出血があるものの貧血に至るまででもなく、喫緊で妊娠する予定もなければ再発率もそこそこ高いので、しばらくは経過観察でもよいのではないかということに。ちなみに次は一年後らしい。
 もう少し大きくなるか生活に支障が出たら切除するのがいいかも、とのこと。

 後々調べたら内膜ポリープの切除手術、結構なお値段がするようで。毎年大腸のポリープを毟ったり、爛れた胃腸の粘膜を検査に出したりしている私には無理だ……保険が下りるかもしれないが、いかがなものか……出るか……? 調べよう……。
 悪性の可能性は限りなく低いが、良性の確率を95%から100%に補う気持ちで細胞診をしてもいいかもしれない、という流れになり……子宮体がん検査……するかい? という問いかけが。
 子宮体がん検査といえば、子宮頸がん検査よりもずっと痛いと噂の! あの!! 検査!!!
 正直なところ、どんな痛みなのか興味がないと言えば嘘になる。
 もう二度とやりたくないと言う人や、具合が悪くなる人がいるというほどの痛みらしいので、一度くらいは体験しておきたい。
 そんなマゾヒスティックな気持ちとは裏腹に、痛いのは嫌だなという正常な気持ちも持ち合わせているわけで、先生に「検査って痛いですか?」と聞いてみる。もちろん痛くないとは言ってくれない。
 先生いわく「五秒くらい痛いっ! て感じかな……」らしい。
 これは……大袈裟に言っているパターンか、それとも軽く言っているパターンか、カーテンで先生の姿が遮断されているので、表情から読み取ることができない。
 でも……五秒ならいけるべ……。
 痛みに対する決心はついたものの、もうひとつの気がかりが。
「あの、おいくらくらいかかりますか……?」
 そう! 金額! 大事! めちゃくちゃ大事! 多少の恥じらいだけでお値段が聞けるほど! 私も大人になりました!
 返答は「二千円前後くらいかな」だったので、「じゃあやります!」と返事をしていたのでした。
 かかりつけの内科でも、がん検診はしなさいね、と言われていたのでいいタイミングよ。私はやるぜやるぜやるぜ。
 私の決意に先生も、「なるべく痛くないようにやります!」とやる気満々。
 おそらくはどんなやり方をしても痛いことに違いはないんだろうけど、その気概が嬉しいじゃない。これが寄り添うということか!

 間髪入れずに始まる検査。
 ひとつひとつの動作のたびに痛くないかを確認されるので、逆に怖くなってくる。
 たぶん痛みを怖がっていると思われてしまったんだろうなあ。恐怖三割、好奇心七割くらいの気持ちでした。
 検査器具に関しては頸がん検査用のブラシの方が凶悪(検査未経験でやる予定がある人は検索しないほうがいいと思う)に、体がん検査用はチョロそうに見えます。※個人の感想です。
 しかしそれが罠だ……。いくらチョロそうな形状でも、ジャギジャギした箇所のあるものを入れてウェイッとやれば痛いに決まっている。内臓だぞ。もう少し優しい検査方法はないのか?
 そしてやられるウェイッ。痛みの発生。
 例えるなら、生理痛の一番痛い瞬間が数秒続く感じ。
 熱い痛みではなく冷たい痛み。紙で指を切ってしまった痛みの本家家元みたいな。
 血が引いちゃう人はこの冷たい感じでヒュッてなっちゃうんじゃないかなあ。
 今内臓を持っていかれたな……というのがわかり、後を引く痛さ。思わず私も「おおう……いてて……」と声が出ます。
 それを聞いた先生が平気かと問いかけてくれるので、私は気丈にも大丈夫ですと答えるものの、やはり防御反応が働いて尻が逃げてしまう。
 その後、先生と看護師さんから「頑張れ頑張れ」の応援が。うう……頑張る……大人だから頑張る……。
 こうして私の子宮体がん検査は幕を閉じたのでした。

 結果は二週間以内に郵送で届くので、今はまだわからない。シュレーディンガーの検査結果。
 最後にポリープについての説明と、ロキソニン30日分処方してもらった! やったぜ! これだけロキソニンがあればしばらくは無敵。
 で、お薬代もトータルして六千円弱ってところでした。
 初診料と検査費用込みでこれならまあ、まあ、まあ……次は特段困った症状がなければ一年後だし許容範囲内。
 ちなみに担当してくれた先生が来年あたり開業するらしいので、そっちをかかりつけ婦人科にして通う予定です。家からも程よく近い! かかりつけ内科からも徒歩十五分くらい! ラッキー!
 ということで、渋っていたわりになかなか楽しい体験をし、念願のかかりつけ婦人科もゲット(予定)することができた一日でした。
 そして今、絶賛不正出血中です。これはポリープではなく検査でウェイッてされたせい。数日続くかもらしい。血が止まるまでお風呂も入らないほうがいいらしい。そんなあ。

 というわけで、子宮体がん検査のまとめ。
・痛いの怖いアピールをすると、優しく検査してもらえるかもしれない(優しかろうが厳しかろうが、痛みが減るわけではない)
・クスコは小さいサイズでやってもらうといいかも。
・刃物でグッサリ刺された瞬間ってこんな感じなのかもしれないってタイプの冷たい痛みが数秒あり、その後じくじくと性悪そうな痛みが続く(※個人の感想です)。
・道具のチョロそうな外見に騙されてはいけない。
・自分の子宮のサイズ感と位置が体感としてわかる。
・やらない人が多いの納得ゥー!
・今の技術でもっと痛くないの作れないの???????
・でも楽しかったね。

 以上!

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