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チーム石丸とは何か#01 組織
社会現象となった石丸伸二とチーム石丸
東京都知事選から2か月が経った。3期目に突入した小池都知事は目立った活動はなく、一方で落選した石丸伸二は未だに観ない日はないほどに話題に上る。
選挙に際して当初300人程度だろうと推察されたボランティアは最終的に5500人を超えた。
選挙戦では1日で都内全域の選挙掲示板にポスターを張り切る、30万枚の確認団体ビラを2日で配り終える、街頭演説では通路確保などの丁寧な誘導に評価を得るなど、その統制力と実行力で効果が最大化されていた。
ネット上ではYouTubeなどの動画の総再生回数は2億回に達し、SNSなどによる声がけによって全国規模で投票の呼びかけが行われた。
日本全土を巻き込んだ石丸伸二の応援は、その後も「チーム石丸」として継続しており今日もSNSを賑わせている。
隔週で開催されるライブ配信では数万人の同時接続者数を今なお記録し、スーパーチャットは配信中に読み切れないほど贈られるのが恒例だ。昨今話題の与野党総裁選候補者のライブ配信の同時接続者数が多くても1000名前後であることからも、その異様さが分かる。
ネット番組には毎週のように登場し、その発言は安芸高田市長時代と同様かそれ以上の数量で切り抜きがされる。動画にはコメントが山のように届き、動画配信プラットフォーム上でも議論が多くかわされる。
石丸伸二が横浜に移動すれば横浜市長選に出るのではないかとニュースになり、大阪府知事との写真が投稿されれば維新の会と合流するのではないかと、一挙手一投足で世間を騒がせる政治家が他にいるだろうか。
当の本人は次の活動に関して「政治家を続ける」以外を語っておらず、それでも日々会話が絶えない。そのブームを支えているチーム石丸という集団がどこへ向かうのかを考えたい。
チームであり現象である
「チーム」とは言うものの、現在その形は固定されていない。後援会に所属しているわけでもなければ、SNS上で #チーム石丸 であると言うだけの曖昧な集団だ。
「石丸伸二」という理念のもとに集まった人々であり「チーム」と呼ぶことが自然なほどしっくりくる一体感がある。
石丸伸二の政策には疑問を持ち全てに賛同できないものの、その信念の強靭さや人柄の良さ、強力なリーダーシップ、既存政治を否定する姿勢、それらから総合的に変革の可能性があるとして「賭ける」という考えで支持するという立場もある。
他の政党を支持している人や現役議員もいるし、ボランティアだったことや個人献金したかどうかも関係なくメンバーとして認知できるような大らかな空気感がある。
石丸伸二を応援する動き、石丸伸二に端を発する既成政党にない新たな政治的現象を指すと言って良いかもしれない。
ティール組織
チーム石丸は自然発生した集団である。それぞれの熱量が高く、自発的に集まり動いたからこそ東京都知事選で2位につけるまでの力が発揮されたのだと石丸伸二はチーム自体を分析していた。
石丸伸二という旗印の元に集まり、それぞれの信念のもと自主的に動いた組織であるということが最も特徴であり、今なお自発的にSNSでの発信や各種活動が行われ政治への新たなアプローチが各所で行われている。
チーム石丸は、ティール組織の特徴に非常に酷似しており新しい組織形態が自然形成された特異な例と言える。
ティール組織とは、フレデリック・ラルー(Frederic Laloux)が著書『Reinventing Organizations(邦題:ティール組織)』で提唱した、新しい組織形態の概念である。
「ティール」は進化型の組織を指し、従来の階層的で指示命令型の組織とは異なり、自己管理や自主性、目的の共有に基づく組織運営が行われるとされる。
ティール組織の主な特徴は以下の通りである。
自己管理(Self-management)
組織のメンバーが自律的に動くことが重視される。従来の指示命令型のヒエラルキーが存在せず、メンバーが自ら判断し、チームで協力して課題解決に取り組む。これにより、柔軟で迅速な意思決定が可能。全体性(Wholeness)
個々のメンバーが個性や感情を隠さず、ありのままの姿で組織に貢献する。個人が自己を完全に表現し、相互の信頼を育むことで、コミュニケーションと協力が最大化される。進化する目的(Evolutionary Purpose)
トップダウンで設定された目的やビジョンに基づいて運営されるのではなく、環境や組織の進化に合わせて、目的が柔軟に変化し適用していくことで組織全体が成長していく。
この組織モデルは、メンバーの創造性やモチベーションを最大限に引き出すことを目指すとされ、従来の固定的な枠組みを超えた柔軟で動的な働き方を提唱するものだ。
しかし、実際の企業でこの組織を維持することはかなり難しい。ベンチャー企業などで取り入れられがちだが、企業としての利益を追求する目的があるにも関わらず自由に行動することはそれを阻害しかねないからだ。
強力なリーダーシップを持つ経営者が必要なことは勿論のこと。全員がその理念に深く共感し、目的を各自の信念に落とし込み行動に反映するという状態が理想だが、メンバーに高度な技量と熱量が必要になる。この仕組みを導入し、失敗したという事例も多く存在する。
チーム石丸においてはこの組織形態が自然発生し、かつチームとして最も最適解だった。
一般的に選挙に際しては「動員」と呼ばれる党員などに場を盛り上げたり、ビラ配りや会場運営などの業務を依頼することになるが、これは原則として無報酬である。
場合によっては好きでもない候補の応援に、党に所属しているからという同調圧力を持って臨むためモチベーションは高くない。
都知事選石丸陣営は全員が自らの意思で立ち上がったボランティアであった。ティール組織の特徴が自然に発現したこの集団が、既存の政治家に見られる動員集団とはそのモチベーションが桁違いであるだろうことは想像が容易だ。
未だ石丸伸二が話題に上り続けるのは、こうした高い熱量が今なお日本中に伝導し、社会に影響を与えているためだ。
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