歴史の中の1人
先日母校の順天堂大学に行ってきました。
変わらんなぁと思うものも沢山あれば、『なんだあれは!』と驚くものも幾つも…そして陸上競技場の前の歴代記録掲示板にも同様の想いを感じました。サムネイルの写真がその掲示板です。
歴史に名を刻めお前ら
まるでそう言われているかの如く、校舎から陸上競技場へ向かうと否応なしに目に飛び込んでくる掲示板。そこには順大の歴史のTOP3の記録が掲示されています。
上位の記録保持者達は各種目名だたる顔ぶれであり、自分達の居るコミュニティがどのような存在であるかと認識させられます。
ただただ感嘆することもあれば、目標として目指す事もあるでしょう。そして名を連ねることが出来れば誇らしく思う事もあるでしょう。
過去の偉大な先輩達を身近に感じられる、それが掲示板の役割のように思います。
通過点じゃねーかよ
陸上競技は記録のスポーツであり、選手は記録の数字に様々な想いを馳せていきます。
だからこそ変哲もない数字を見て100m中学記録だやら円盤の世界記録だやらと色々と連想してしまいます。数字に価値があるからこそ数字に意味を見出そうとしてしまいます。
掲示板に乗る先輩達は偉大な事を成し遂げています。それは即ち、その記録に追いつけば同様の事を成し遂げられるのでは?と若き後輩達に火を焚きつけます。
当時の私で言えば一位の高平さんは言わずもがな五輪メダリストでありインカレチャンピオン、2位の仁井さんは全日本実業団チャンピオン、3位の日高さんと吉澤さんはリレーで世界陸上代表入りと400mHオリンピアン。
特に上位の2人の先輩は年齢が3つ上で実際に活躍する姿を直に見ていただけに、学生時代にこの記録を出す事が彼らの行き着いた場所への通過点になる。
ただただ凄いなぁと見上げていた掲示板は、記録が近づいてくるにつれ野望が湧き上がるモチベーターとして常にそこにありました。
順大に入って良かった…
四年生時はインカレA標準が10.50だった事もあり、A標準を破れば複数人でインカレに出れる!それは順大歴代3位にもなれる!そんなモチベーションとして焚きつけてくれました。(私は期日までに破れず、チームメイトが先に破ってくれました。)
そして個人種目でインカレを経験したからこそ出れて良かったではなく決勝へ行ってみたいという新たな欲が生まれ、競技を続行する事となりました。
そしてインカレの決勝が見えてきた時に。優勝がどんなものかを考えた時に。
歴代1位の高平さんの記録が燦然と輝いて見えました。コレを決勝で出せば優勝できるんだと。
入学当初は10秒台出たら良いなぁ…なんて思ってたのに強欲になったものです。しかしさすがは歴代1位、0.01及ばず尚且つインカレの最高順位は2位で悔しさを感じながら順大の歴代一位はインカレ優勝する奴が獲るべきなんだ!と拗らせた目で母校に帰るたびに掲示板を見ていました。
偉大な先輩達を追いかけたからこそ私はインカレに出れて、決勝に行けて、表彰台にも乗れました。偉大な先輩達の記録は先輩達の伝説エピソードと共に競技場に居なくても我々後輩を導いてくれました。
だからこそ自分が掲示板に名を残せた事を誇らしく思っていました。自分も誰かの目標になれるのではないか、常にそこに残るであろう掲示板を見ながら今後入学してくる後輩に思いを馳せました。
栄光時代はいつだよ
そして掲示板の先輩方は卒業後にも自己記録をさらに縮めていました。まさに大学は通過点であったと身を持って証明しているかのようでした。
そして私もだいぶ遅れましたが、先輩達に倣い学生時代の記録を更新して全日本実業団で優勝する事ができました。世界リレーの代表(補欠)にもなれました。
あの掲示板の住人として早12年、恥じぬようにと頑張れたかなと…
そして遂に宇野くんにより順大歴代一位を更新した上でインカレを優勝するというパーフェクトレコードが成し遂げられ、彼のランク入りによって僕が歴代3位および掲示板から弾き出される事となりました。
いつか破られるなら高平さんのようにインカレで優勝する後輩に破って欲しい。そんな想いで怨念のように掲示板を見ていた私にとって、宇野くんの快挙は『コレで成仏できる…』と満足させてくれるパフォーマンスでした。あっぱれ。
現在残るは宇野くん、犬塚くん、高平さん。彼らを見てまた新たな歴史が続いていくのだと思います。
1人のOBとして更に進化していく母校を引き続き影ながら応援したいと思います。南無。
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