烏龍茶を飲み干せない。
目があえって念じたら、
あなたは気付いてくれて。
それを何回も何回も、飽きずに繰り返した、あの頃。
心夏(こなつ)は、随分昔の夢を見て目を覚ました。
隣にいるのは、そんな頃から大切にしている大きなぬいぐるみ。決してぬいぐるみが特別好きとかそういうわけではない。しかし、なぜか捨てられないまま、今日もそれはそこにいる。
彼女の朝は早い。カーテンを開けてもまだ真っ暗だ。
洗面所に向かい洗顔と歯磨きを済ませ、昨日に買っておいた惣菜パンと菓子パン、そして烏龍茶を。少し大きめの黒のリュ