【小説】不完全燃焼12
昨日は最高の一日だった。
平日終わりの金曜日、仕事もそこそこ予定通りの進捗を見せた。急いで自宅に帰り、そこそこにご飯を食べて出発した。仕事というよりも年始めのサッカーで起こった事件がずっとひきづっているストレスを解消するために10年ぶりにはじめた「釣り」。なぜか罪悪感を感じながらもその時間だけは「夢中」になれるし頭がすっきりする。別に釣れなくてもいいとさえ感じる。いつも早朝から行くのだが親友といくので久しぶりに夜出発となった。
そして不振の釣りを終えて軽く昼食し、先週行けなかったサウナにいった。サウナもコロナ禍で覚えたものだ。ホーム(サウナ)は自宅近くにあり、車が多かったが風呂場は人が少なかった。8分、6分、6分、の合計20分、これぐらいがいいらしい。「サウナ」「水風呂」「外気浴」の繰り返しだが、1回目よりも2回目、2回目よりも3回目がだんだんと頭が「スキッ」とする。この場所が好きな理由がもうひとつある。それはうまく言葉にできないが「上品な紫色」の匂いがするからだ。妖艶な「紫色」ではなく、上品な「紫色」の香りが気持ちを落ち着かせるのと癒やしを感じる。そしてその「紫色の匂い」が風呂場全体に広がっている。
そして昨日は自分の好きな雨の日だった。雨の日が好きすぎて学生時代は雨が降るたびに先輩から譲ってもらった車に入り、フロントガラスに流れる雨をずっと眺めていたことも。なんとも落ち着くのだ。その雨が昨日は降っていたので外気浴と露天風呂は最高の俺のシチュエーションになった。雨に振られながらというのがトッピングされ最高の気分になった。
その「最高の気分」を自宅に帰って、昼間のうたた寝で拍車をかけた。最高の土曜日の夕方になった。仕上げは夕食。
今晩は奥さんと外食の予定を立てていた。もうどれぐらいなるだろうか。月1回のペースで二人で食事にいくようになって、1年ぐらいたつと思う。そして自分が最初に友人と行って美味かった店を次の日に奥さんを連れていき、やはり「美味しい」といってくれた店だ。ジャンルは和食だけど毎回違う「うまい」を出してくれる。本当に誰にも教えたくないがだんだんと広がっており、週末はなかなか予約ができない。
昨日も「うまい」のが連続され、満足しすぎてかなり飲みすぎたようだ。普段「これしたい」というのが昨日の一日にぎっしり詰まった日だった。まさに「なんて日だっ」の最高バージョンであった。その日は娘はバイト、息子は留守番でもう親とつるむ年頃ではなくなっている。自分が中2の時はどうだっただろう。とにかくサッカーの毎日でサッカー以外に関心がなく、女子にもいい意味で興味がなかった。とにかくサッカーの試合で勝つことを義務付けられたチームであったので公式戦では毎週神棚を拝み祈って試合会場に行っていたことは覚えている。何回拝んだだろうか。でもその年代でその県では拝む回数は一番多かったと思うが上には上がいるということをあとから痛感した。
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