雲Nubes_2016.3.21
noteで雲の写真集『雲Nubes』をつくっています。
ソフトクリームをさかさにしたような、イギリスの人形劇『サンダーバード』の「ジェットモグラ号」(こんな名前だったかどうか分からなかったので、ネットで検索)のドリル部分のような、ちょっと変わった雲だった。『サンダーバード』、大好きだったなぁ。幼稚園の頃から、サンダーバード1号、2号、4号とプラモデルをつくった。
▼古代中国では、赤く染まった雲は瑞兆(ずいちょう)とされていた。赤と黄は特別な色で、生け贄を奉じた盛り土には色づいた雲が降りてくる。実際、中国の神話伝説時代の治者といわれる黄帝(こうてい)は「雲のおかげで万物を統治した」と考えられている。
——ギャヴィン・プレイター=ピニー『「雲」の楽しみ方』桃井緑美子(るみこ)訳、河出文庫、2017年1月20日 初版発行
「雲のおかげで万物を統治した」とは、どういうことだろうか?
ネットで「黄帝 雲」と検索したところ、『篆隷文体(てんれいぶんたい)』という本が出てきた。漢字を様々に意匠化した装飾文字を集録する書体帳で、軒轅(けんえん:中国三皇五帝時代の黄帝) が雲を見て書いた「雲書」という書体が掲載されている。この本は中国では伝存せず、京都山科の毘沙門堂蔵写本(国指定重要文化財)が唯一の伝本とされ、国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧できる。雲のようなもこもことした輪郭線で、「皇・帝・龍・興」の四文字が書かれている。「皇帝龍興」とは「皇帝が飛龍となって昇天する」という意味か? 「万物を統治」できたのは、こうした「雲書」のお陰だろうか?