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【観光DMOの機能強化と#リジェネラティブツーリズム の融合】〜鎌倉の未来を考える〜

観光庁が進めるDMO機能強化とは?

引用記事のDMOの形成や高付加価値なインバウンド観光地づくりを担当する観光庁観光地域振興部長の長﨑敏志氏の話から、観光庁は、観光庁登録制度の創設から10年、2015年に観光庁がDMOの登録制度を設立し、これまで各DMOは組織づくりに注力してきたが、現在は「インバウンドの地方誘致」「持続可能な観光」を課題とし、 「観光地域づくり法人の機能強化に関する有識者会議」を設置し、中身の充実に向けたステップへ移行すべき段階に達しているとして、観光地の持続可能な発展を目指し、DMO(観光地域づくり法人)の役割を大きく見直しています。DMOは、地域観光の運営を統括する中核的な存在として、地域の文化、経済、自然を守り育てる責任を負っています。

具体的には下記の取り組みが進められています。

• 登録制度の見直し
DMOの基準や役割を再定義し、地域の実情に即した柔軟な運営を可能にする。
• 中長期戦略の策定
観光地経営を短期的な利益ではなく、持続可能性を基盤とした計画にシフトする。
• データ活用の推進
観光客の動向や地域資源の状況を可視化し、データに基づいた的確な意思決定を支援する。
• 「先駆的DMO」の事例普及
成功事例を全国に共有し、地域独自の観光戦略に活かす。

これらの取り組みを通じて、観光地としての価値を高めるだけでなく、地域住民の生活や環境への負荷を軽減することが目指されています。

リジェネラティブ・ツーリズムとは? 持続可能性を超えた観光の新たな潮流

「リジェネラティブ・ツーリズム(再生型観光)」は、従来の持続可能性(サステイナビリティ)を超えた観光の新しい形です。この概念では、地域が観光客の訪問を通じて、単に維持されるだけでなく、さらに豊かになることが求められます。

例えば、観光地の自然環境が整備され、地域文化が新たに発展し、住民生活が改善される――こうした「再生」が観光活動を通じて実現されることが理想です。

鎌倉においては、以下のような課題が存在します。

• オーバーツーリズムの課題
旧市街観光客の集中により、歴史的建造物や自然環境に負荷がかかり、また、住民の交通インフラ、生活環境にも影響が出ています。

• 地域資源の疲弊
観光の活性化が一部地域に偏り、持続可能な運営が困難になっている。

こうした課題を解決するために、リジェネラティブ・ツーリズムの考え方を取り入れることは不可欠です。

鎌倉におけるリジェネラティブ・ツーリズム実現のための具体策

  1. DMO戦略へのリジェネラティブ視点の統合

DMOが地域観光の中核を担う存在として、リジェネラティブ・ツーリズムを組み込んだ戦略を策定することが求められます。

・ 地域文化に根差した体験型コンテンツの作成
まだ注目をされていない地域の文化について、検証し、国内外のユーザーに対して、魅力あるコンテンツとして、構築し、発信する。

• 具体的な指標の設定
環境再生や地域活性化を目的としたKPI(重要業績評価指標)を明確にし、達成状況を定期的にレビュー

• 施策の透明性の向上
観光の効果が地域全体に還元される仕組みを整備し、住民との信頼関係を強化する

これにより、観光地経営が単なる「運営」ではなく、「地域の価値を高める活動」へと進化します。

  1. 地域文化と結びついた観光商品の開発

地域の独自性を活かした観光プログラムは、訪問者に深い感動を与えるだけでなく、地域住民にも恩恵をもたらします。鎌倉では、以下のような取り組みが考えられます。

• 禅寺での坐禅体験や空手道稽古会
円覚寺などの禅寺での坐禅体験や、禅に基づく空手道稽古を通じて、鎌倉ならではの精神文化を伝えるプログラムを提供

• 地元職人による伝統工芸のワークショップ
鎌倉彫や陶芸など、地域に根付いた伝統工芸を体験し、その魅力を知る機会を創出

• 自然環境を守る活動への参加
鎌倉の海岸や山々を守る清掃活動や、植樹イベントを観光プログラムとして企画し、訪問者が地域環境の再生に貢献できる場を提供。

これらの体験型観光は、地域の価値を高めると同時に、観光客と地域住民の交流を促進します。

  1. 観光客の時間と場所の分散化

オーバーツーリズムを解消するためには、観光客の集中を避ける工夫が不可欠です。具体的には下記が考えられます。

• まだ知られていない鎌倉のまちの観光スポットの魅力発信
鶴岡八幡宮や長谷寺に集中する観光客を、他の地域資源へ誘導

• 早朝・夕方観光プログラムの提供:混雑を避け、静かな時間帯での観光を促す

• 季節ごとのイベントの開催:桜や紅葉だけでなく、夏や冬にも楽しめる企画を提案し、訪問者の時期を分散化

  1. 地元経済を支える持続可能なビジネスモデルの構築

観光を通じて地域の経済基盤を強化することも重要です

• 地元企業やNPOとの協働:リジェネラティブ・ツーリズムに基づく観光プログラムの企画運営を、地域の中小企業や住民団体と連携して進める。
• 地域内での収益循環:観光収益を地元に還元し、観光業を通じた持続可能な地域経済を確立する。

時間と空間の分散化、体験型コンテンツの事例「#鎌倉円覚寺と禅と空手道の縁」

円覚寺龍隠庵では、オーストラリアから訪れた空手道愛好家36名を対象に、禅と空手道を融合させた体験プログラムが実施されました。このプログラムには以下が含まれています。

• 武道と禅の精神が通ずる歴史の体験
• 地元料亭で味わう精進料理
• 円覚寺龍隠庵での空手道稽古

参加者は日本文化の奥深さを体験し、地域住民や地元事業者との交流を楽しみました。このような取り組みは、観光地としての鎌倉の魅力を高めると同時に、地域経済の活性化にもつながる好例です。

鎌倉の未来を支える観光地経営

DMOの機能強化とリジェネラティブ・ツーリズムの融合は、鎌倉が直面する課題を解決し、新たな可能性を生み出す鍵となります。観光を通じて地域の文化や自然を再生し、住民と観光客が共に豊かさを感じられる未来を目指すこと――それが持続可能な観光地経営の本質だと考えます。

鎌倉の歴史や文化、自然を次世代へと引き継ぐために、地域住民、行政、観光業者が一丸となって取り組むべき時が来ています。

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