ペイシェントボイスカフェ(慢性骨髄性白血病)
日時
2024.9.1
ゲスト
新宮 知歩さん
【イベント紹介】
患者と医療を繋ぐ活動の一環である。
薬剤師他、医療関係者が患者さんの実際のお話しを聴くことで、患者視点や想いを知り、臨床における薬剤師の発想を広げてコミュニケーション能力向上へ繋げていただくことを目的にしている。
また、参加者同士の交流の場としても機能している。
慢性骨髄性白血病(CML)
>Change My Lifeと捉えて生きている
【自己紹介】
慢性骨髄性白血病、急性転化
元競泳選手
趣味、芸術鑑賞、映画、水族館巡り
【診断~闘病生活】
2015年6月罹患
高校2年生
体育祭で熱中症を発症し倒れ、熱がなかなか下がらず
1週間程度風邪の様な症状が続いた
▽
病院で採血
>白血球の数があまりに多く、測りきれない
>大きな病院を受診してください、と
▼
慢性骨髄性白血病との診断がその場であり
緊急入院
>私そんなにやばいの?という認識
Q病期は?
Aよく分からなかった
>慢性期、移行期、急性期
>当時よく分からなかったが、最終的には慢性期という診断だった
▽
分子標的薬と定期通院
移植も視野にドナー探しながら治療を進めていた
なぜ疾患の発見が遅れた?
元々競泳自体は4歳から始めていた
小中学生のときから数m泳いだだけで息が上がることがあった
>スランプだと感じていた、練習量が足りないからかも
>まさか自分が病気とは思っていなかった
▼
高校に入学するとき、どんどん調子が悪くなり競泳は止めた
競泳を止めたから疲れやすくなった?
>熱中症になるまで病気だとは思わなかった
▼
とりあえず慢性期という診断だった
2016年6月高校3年生、急性転化
Q最終的な診断は?
A慢性骨髄性白血病の急性転化
定期検査で、芽球が増え始めていることが判明
急性転化となれば、抗がん剤などを含めた末梢血造血幹細胞移植しか選択肢がないと伝えられた
【治療内容】
移植前
1クール:Hyper-CVAD
2クール:HAM療法
放射線照射:1日2回朝・夕
>透明な箱の中で、仰向けで入る。ビーズの入った袋を敷き詰められ、横から放射線を当てられる
>30分くらい一人きりで当てられる
移植着
末梢血造血幹細胞移植
移植後
免疫抑制剤療法
【入院中の悩み】
ランキング3位
将来性
>大学受験を含めた進路
>急性転化もあり、余命宣告(20歳までは生きられないのでは?とやんわり伝えられた)
>ざっくり大丈夫じゃね?くらいに考えていた
ランキング2位
>痛み
ランキング1位
>嘔吐
>嘔吐だけでも体力がいる。抗がん剤でも体力がいる。
>副作用で消化管障害(口から肛門まで繋がっているのを実感するくらい、あらゆる粘膜が荒れていた)
>食道粘膜がベリっと剥がれるため痛かった
Q入院中の薬剤師とのエピソード
私は高校生だったが、小児病棟が小さい子しかだめな病棟だったので一般病棟に入っていた
>薬剤師と深い繋がりは微妙だったが
>抗がん剤の投与スケジュールを分かりやすく表にまとめてくれたこと
>だいたいいつどのような症状が起こりやすいのか、天気予報の様に視覚的に分かりやすく予測が立てられた。動じることなく、治療を乗り切ることができた。
【退院~現在】
2021年8月 寛解
現在は移植後5年間再発することなく経過
寛解後の悩み
ランキング3位
将来性
>これから社会人として働く中で再発してしまったら?(再発リスクはある方と言われている)
>親の介護を見られる?(自分とそれ以外の人達のことを考えないといけない)
妊容性の問題
>自分は振り切っていても、パートナーやそのご家族は?(子どもの問題とかを受け入れてもらえるのか悩み)
>卵子凍結はしなかった(お金もかかる、高校生にとっては莫大な金額に見えて、やりたいと言えなかった)
ケモブレイン:
抗がん剤やステロイドで言われるのが、一時的に記憶力・理解力・集中力の低下
>だいぶ元に戻ってきたものの、講義を受けていると戻り切れていない感じがする
>すべてがそのせい、という訳ではないが自分の脳みそが少しおかしいのでは?と感じるくらいの症状があった
ランキング2位
薬多過ぎ問題
>朝食後の錠剤数が多い、正直朝弱いと服用するのがしんどい(空腹がだめなのは承知しているが、結構きつい)
>体調悪くても服用しないといけない
>私は体調崩すと、胃が荒れる。吐いてしまう。薬を飲めなくて吐いていた
>薬に合わせた生活リズム、縛られている生活は足枷の様に感じてしまう
ランキング1位
移植片対宿主病:GVHD
私は抗がん剤の影響で皮膚が薄くもろい
>全身に蕁麻疹ができ、その後が残っている(人よりも日焼け対策をしっかりしないといけない)
>長期的に続くGVHD、口内炎(イメージより酷い、全面的に口腔内が荒れる)
>ステロイドをなかなか減量できない(8年にもなる、結構な量を服用している)
>骨粗鬆症(祖母と同じくらいの骨量)、自分ではステロイドを作れていない!?くらいの検査値(分泌障害)、満月様顔貌、視力低下など
【免疫抑制剤療法】
シクロスポリン、メトトレキサート
>副作用で口内炎が起きている
▽
しかし!
やっと薬を減量中
造血幹細胞移植後のGVHDへのステロイドの効果不十分について
ヤヌスキナーゼ阻害薬の保険適用が追加承認へ
▽
ステロイド服用量が5mg→1mgまで減らせた
口内炎を悪化させることなく減量中
【薬剤師に求めること】
ご近所さんのような薬剤師さんになって欲しい
*患者目線として
ご近所のお姉さんのような薬剤師
日常会話や薬以外の話し、薬に関する素朴な疑問や、副作用を気に掛けてくれる
>根拠に基づいた説明をしてくれる人
>どうでもいい雑談を覚えてくれている薬剤師だと嬉しい
それって当たり前なんじゃない?と思ったかもしれません
▽
その感覚めちゃくちゃ大事です!
全員の患者さんにそれぞれ向き合っていますか?
▼
・いつもより片足引きずっている?
・処方数多くない?
・大きい薬飲めている?
・趣味を始めていたけれど、この疾患では注意では?
・似たような訴えをしていた患者さんからのアドバイスを伝えられるのでは?
対人業務に力を入れましょう!と言われていると思います
コミュニケーション
>雑談力が一番大事だと思う
>他愛のない会話に助けられている
▽
CML>Change My Life
自分の人生も変わったが、他の人にも何か影響を与えられたら
【質疑応答】
○余命宣告をされたときの状況は?投与スケジュールについて、患者さんの性格に合わせてどのくらい説明をされた?
▽
余命宣告は、私と母親に対して、看護師さんと主治医から言われた。ここからの治療方針や副作用の説明があった中で行われた。20%の人が亡くなる。急性転化の人は多くが亡くなる。20歳までは厳しいと親にはしっかり言われたようです。
最初に必ず副作用は起きることが断言された。副作用に対して、みんなでサポートしていくから大丈夫ですって言ってくれたことが、嬉しかった。
○投与スケジュールの薬剤師からの伝え方は?
▽
近所のお姉さん的な人だった。フランクに説明をしてくれた。私の病気は結構軽いのかと錯覚するくらいの感じだった。けれど、それくらいの感覚でのお話しがすごく良かった。
○ケモブレインの対処法は?
▽
とにかく人と話して、頭を使う。浪人時代見ず知らずの人に声を掛けて、一緒に勉強したりした。