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【追記あり】第5期 ゲンロン ひらめき☆マンガ教室 最終課題 提出作の感想【詳細】

ゲンロン ひらめき☆マンガ教室とは

念の為。わざわざこれを読んでくださる人には説明不要かと思いますが、以下リンクを参照です。もうすぐ6期がはじまります!

はじめに説明しておきたいこと

この感想は一応僕なりに書き方の方針を決めて書いています。
それについての説明は長くなると思うのでこの記事ではしません。ですが、一応説明しておいた方がいいこととして、以下の感想では作品の”微妙に思った点”について正直に書いており、さらにその点について単に微妙とかつまんないといった風には書かず、「僕はこうした方がいい気がする」というような説明込みで書いています。なので、素人読者の戯言だと思って受け流してもらって全然構いません。
あと、どうしても作品に対しての僕の熱量の差みたいなものは出てしまっています。微妙に思った点を書いていない感想もあれば具体的に説明している感想もあり、僕としてはその差をなくす書き方をしたいとは思いましたが、あらかじめ決めた方針的にも無理でした。
とにかく真面目に、正直に、感想を伝えたいと思ったらこうなってしまいました。書きながら試行錯誤もしたので、感想自体が上手くまとまっていない感じもあると思います。
あと漫画の描き方を全くわかってない素人なので、用語の混乱等々もあると思います。
(語彙が貧弱なので「リズム」とか「緩急」とか「読後感」とか、同じ言葉ばっかです)
よくよく読むと感想のパターンがわりと一緒ですし。
諸々の点を承知で、それでもお読みいただけるのであれば、それだけでとても嬉しく思います。

感想

nonaka「またたき」

キャラクターの肉体が描けないという制約の中で、読者になんとかキャラを認識させること、コマ割りを工夫してすらすらっと読めるようにすることにかなり工夫しているなという印象がまずありました。
キャラクターの肉体が描けないので、キャラを表現するのに必然的にそれ以外の何を描くかが重要になってきますが、キャラの位置やコマの構図で上手くキャラのポーズを想起させようとしたり、感情が表れているかのように見せてたりしてるのが、面白いなと感じました。
あと、全体的に淡々とした作品ではありますが、この人はこの顔をしてたのか!的な驚きが少しあっても作風のバランスは崩れずむしろ面白くなるかもな、と思ったりしました。

大久保どんぶり「MyNameIs...」

無機質だけど愛らしいロボット(ドローン)きゅー太が、自身を犠牲にして主人公を助けてくれるという話で、後半のきゅー太が犠牲になってしまうところに向かって物語が盛り上がっていく作品となります。
前半部分は物語の舞台説明とキャラクターの説明の場面となっていて、ここできゅー太がいろんな動きで主人公と絡み、愛らしさを全面出していてとても良い。きゅー太可愛いやんけ。と素直に思いました。
後半の展開に入る6ページ目からはコマ割りが複雑になっていきます。前半に比べ大きいコマが多くなり、8ページ以降の緊迫感溢れるシーンではコマが斜めに割られている。これが物語の緩急を演出しており、おっ何か大変なことが起きたっぽいぞ、と読者に認識させるようにできています。ここが上手いなと感じました。プロットがしっかりしてる作品ですがコマの演出によってとてもわかりやすい形で面白くなっていると思いました。
ここからこの作品に対してちょっと微妙だなと思っている点の話になります。前半できゅー太の愛らしさが際立っているぶん、きゅー太との別れの場面がちょっと淡白だなと思いました。もっとキャラクターの感情が表に出るような演出(例えばわかりやすく悲しい表情とか)があった方が最後のページでのきゅー太が新たな出会いをする展開も際立ちますし、読者も主人公に感情移入しやすいのかなと。家族同然の存在が離れ離れになるって結構悲しいですし。


はねむら「極貧女子と見習い女神さま」

どんちゃん騒ぎのコメディってわかりやすいキャラクターと定番の展開があるとめっちゃ面白く読めると思うんですけど、この作品はまさにそれをやっていて、この話の続きいくらでも描けるじゃん!読みたい!と素直に思いました。特に、ネームからオチを変更しているのがとても良いです。
女の子の服が破けるってベタベタのベタですけど、一点突破でそれだけをとことん描いていくのも逆にありというか、普通に読みたい。この後、いろんな手段でお金を稼ごうとするも、女神の邪魔が毎回入って最後には服が破けるっていう。こち亀みたいな話でオチで服が破けるみたいなのもいいですね。というか、いつの間にか続きが描かれる前提の感想になってますね。
この作品を読んでいて、ひとつ引っ掛かった点があるとすれば、ギャンブル狂い設定が発動するのが少し唐突な気がしたことです。まさにそこがネームから話を変えている箇所ですが、事前に設定のフリがあってもいいのかなと。例えば4ページ目のパチンコや競馬が当たらないと説明してるコマでハイになってる表情があったとしたら、あとで「そういえばコイツ、ギャンブル狂いだったわ」と読者が思えるようになるかなと思いました。
マジで作品の揚げ足取りな感じがしてきてますが、本当に面白く読んだので、ちょっと気になった部分も正直に書きました。

泉ころろん「グッドコミュニケーション」

初読の印象は「ええ、何この話……」です。
これは面白くなかったという意味ではなく、ただそう思ったという話であって、それがこの作品の狙いであり、僕はまんまとそう思わされている、ということを認識した上での「ええ、何この話……」です。
「ええ、何この話……」と思わせるには、話の最後に主人公の困惑と読者の困惑がシンクロしていなきゃならないのですが、11ページまでまともなストーリーのふりをして普通に話が展開されており、ちゃんとページをめくるごとに展開が変わるのもめっちゃオーソドックスな漫画でまんまと騙されるように演出されているなと思います。
最後の3ページはコマ割りの仕方を変えており、急展開な感じをコマのリズムでも演出している。そこが良かったです。
とは言いつつも、最後の展開を暗示させる伏線は正直ほしいなと思いました。単純に「ええ、何この話……」って思うのと同時に「そういうことだったのか!」っていう驚きがあったほうが読者としてお得だなと僕は思うからです。

森紗はるき「試されるデート」

この作品はヒロインの表情の変化をみていくのが面白味となっています。ほぼ毎ページ変化があり、表情にも起承転結があって良かったです。5ページ目の変化とかも良いですし、6ページ目の上中段のコマもベタな感じで良いですよね。キスのシーンがさり気なく場面転換の前に挿入されてるのもよい。
で、これは本当個人的願望なんですが、一番の見せ場となる8ページ目の指を噛むシーンはもっとガッツリいった方がインパクトあっていいというか、読者が若干引くかも…くらいやってもよかった気がします。(想定媒体的にもいけるのではないかと)次のページで血が出てますし。もっと咥えてくれたほうがいいというか……ただの僕の性癖かもですけど。
あと、最初のコマと最後のコマの表情の対比は良いんですが、話の中で一番キツい表情を最後に持ってきた方がカタルシス的なものがあるかなと思いました。いや、見方によっては最後が一番キツいと言えるかもしれないので、これも僕の性癖からくる願望かもしれませんが。

いとしろたかや「きみを想う」

12ページ目までのギャグ展開もリズムよく読めて気持ちいいんですが、そのあとの告白展開が大ゴマでバシバシっと二人の表情がキマっていってるのが読んでて気持ちいいですね。
後半は前半がギャグ展開だから緩急が効いてるというか、14ページ目にページめくって急に顔が近くなって読者もドキッとできる演出がよかったです。正直言うと、僕は少女漫画に疎いので、感想を上手く言語化できてない気がするのですが、全体的にリズムがよくて気持ちよいしキュンとするしで、楽しい気持ちになるのは間違いないかと思います。
欲を言えば、この二人は実はもっとやべえやつというか、すごくキャラ立ちするポテンシャルがあるキャラクターだと思うので(バカなところとか鈍感なところとか)その掘り下げがもっと読みたかったなとは思います。

たにかわつかさ「シュークリームとブラックコーヒー」

喧嘩→家出(散歩?)→仲直りという綺麗な三幕構成になっており、展開が物語内の寒暖差とリンクしていて面白いですし、読者もホカホカと暖かくなる良い作品だなと思いました。
これが最初に思った感想ですが、「寒暖差とリンクしていて面白い」ってどういうことだ、物語の最初と最後は暖かく、真ん中は寒い、ってどうしてそう思ったのか、と考えてみたので以下に書いてみます。(もちろん雪とか湯気が描かれてるのも理由ではあるのですが)
まず、喧嘩までの場面と仲直り場面では一コマの中にキャラクター二人が描かれえているコマが多く「プンプン」や「ずずず…」といった人物から発せられる擬音も多い。また、人物にフォーカスが当たっており、背景はあまり描かれていない。つまり、コマ内におけるキャラの情報量の密度の高さこそが暖かさ正体ではないかと思いました。
対して、物語真ん中の外を歩く場面では、背景(景色)が描かれており主人公も少し遠景に描かれています。まるで主人公がその景色の一部に溶け込んでるような感じがします。擬音なども含めてコマ内には景色としての情報量の方が多いです。つまり、真ん中の場面はキャラの情報量が薄い。
話が込み入ってますが、僕が言いたかったのは、この作品はコマ内の情報量の差を物語の展開に合わせコントロールしており、それがホカホカした読後感に影響を与えているのではないか、ということです。直感に従って分析めいたことをして、めちゃくちゃ的外れなこと言ってるかもしれませんし、逆に自明すぎることを言ってるかもしれません。このホカホカする読後感を上手く説明できないかと思って書いてみました。失礼しました。

よこうただ「つれづれ日暮しパスタ」

めっちゃエッセイ漫画だ!そして面白すぎ!とまず思いました。
淡々と語られるパスタの工程に途中挿入される「何もねえな」「いま遭難したらパスタ食えない走馬灯みるな」「瞬間、食べてしまった」といった言葉、3段組みのコマ割り、パスタを待ってる場面やゲームしてるコマが挿まれることによる緩急、そしてクスっと笑えるオチ、さくっと読めて楽しめるエッセイ漫画のリズムとして完璧では、と思いました。
登場人物の二人の見た目にわかりやすい個性があれば今どきのエッセイ漫画っぽくなるのかなあ…でもそれは野暮というかこれはこれで完成されてるし…とか面白くて好きな作品だけにいろいろ余計な事も考えちゃいました。

吉田屋敷「荒川さん家の家族写真」

https://school.genron.co.jp/works/manga/2022/students/yoshida444/28346/

大手漫画雑誌に載る読み切り読んじゃったよ~、そしてめっちゃ面白~、って感じの満足感がありました。スピリッツとかでそのまんま読めそうじゃんって思ったら想定媒体がスペリオールで、おお!と。
家族がそれぞれ物語上の役割があってそれぞれのキャラにしっかり目くばせした描き方やコマ割りの演出、巧みだなと思いました。物語の山場については言わずもがな。漫画的な演出と、リズムの開放により、超インパクトある展開になっていて舌を巻きました。あっぱれ。
で、ここからがこの作品の気になるところなんですけど、父の影の薄さがどうも気になりました。母、娘(主人公)、弟、は物語内ですごく活躍してるんですけど、父は冒頭で示されるキャラの濃さの割には活躍しない。父が起点
となっている話なだけに母娘の対決のあとに父が活躍してほしかったなと思います。それも冒頭やタイトルで示されている捏造の「家族写真」を用いつつ。この点、どうしても気になるので正直に書きました。

俗人ちん「思春期煩悩ボウズ」

https://school.genron.co.jp/works/manga/2022/students/fatetsan/28193/

全体的にバカのレベルが一貫しててめっちゃ良きです。くだらね~って軽く思いながらさっと読める感じ。3バカっていいですよね。因果応報的なオチも定番ですけど僧侶っていう設定だからこそ映える感じがありますし。単純に元気になれる作品です。
これは単純な僕の希望としてですが、もうちょっと長い尺で読みたいなとは思いました。僧侶に3バカって設定がよいので、もうちょっと3人でのコント的なやり取りを何周かやってオチにした方が、オチまでの溜めが長くなって最終的にくだらなさが増すような気がするんですよね。

葉野 赤「春に書く手紙」

僕はこの作品を読んで泣きました。
なぜ泣けたのか。物語がよかったとかキャラが可哀想だとか最後の場面が感動的だとか、そういうことでもありますが、そういうことだけで泣けたわけではないです。
この作品は物語の語り手となる澄川と聞き手の久留木部長による会話、そして澄川がおばあちゃんに書いた手紙、この二つの軸で話が進んでいきますが、ここでの久留木部長は澄川の家庭の事情を知らない、澄川から話を聞かされる、という点で読者と同じ立場に立っています。澄川の話にテンポよく挿んでいく部長の相槌や問いかけ、本やジュースなどの小道具を使った部長のリアクション、これらによってうまく読者を物語のリズムに乗せていて、まるで読者が部長の立場になって澄川の話を聞いているかのように感じさせるようになっています。
だからこそ後半の手紙を燃やす場面で部長が眼に涙を溜める時、読者もそれまでと同様に部長の視点に立って部長の気持ちに乗っかることができ、一緒に涙を流すことができるのです。僕は部長に感情移入して泣きました。
澄川が亡くなってしまったおばあちゃんと向き合うのを後ろから見つめる。読者がそんな立場となって物語に感動ができるようにこの作品の構造はなっていると、そう感じました。
あと、細かいところですが、途中14ページで部室のお面が描かれているのが、後半の感情が表情に表れる展開の伏線として機能しているようで上手いなあと思いました。

かわじろう「下戸のソウルフード」

"酒"も"速度"も感情の流し方としては変わらないがそれを母との繋がりであるラーメンに対する食欲に持っていくことで、主人公が母の死の乗り越えることができる、というストーリーラインが本当に良く、感動したのですが、そう思わせるための演出も光ってる作品だと思いました。
闇夜の高速道路で提灯が灯るシーンが見開きでバッチリとキメになっていますし、最後に厨房で料理する場面でコマをそれまでよりも細かく割っておいて最終ページは二コマで締める、このリズムが心地よく良い読後感に繋がっていると思いました。
気になるところがあるとすれば、やはりタイトルでしょうか。主人公が下戸でラーメンがソウルフードであるのはその通りなのですが、この物語を示すものにはなっていないと思います。例えば「母の死」を示す語をタイトルに入れた方が読者があらかじめどういう物語なのかわかるようになって、共感を誘うような作品にもっとなるような気がします。

qujin「天職」

https://school.genron.co.jp/works/manga/2022/students/qjin/28229/

キャラクターの汗や表情で切迫感を伝えようとしてるのがよかったです。もうずっと汗をかいていて、最後の最後を除いてずっと緊張感のある印象を与えられていると感じました。コマを大きくするところのタイミングも良く、ぐんぐん読めました。あとやっぱりえぐい話にはえぐい表情ですよね。人物の顔が一番目立つようにしてるのが良いなと思います。
でもやっぱり、人を食べて死体処理する展開が唐突に思えて、だからこそ驚きはもちろんあるのですが、冒頭あたりにそれを匂わせる(明らかには示さない)コマをちょっと入れておくだけでも、ショッキングな展開の納得感が上がる気がします。僕もそうだったのですが、内容が内容なだけに何の前振りもなくいきなりショッキングな絵を見せられると、読んでいる感情としてはついていけなくなってしまって、うーんと思ってしまうのではないかと思うので。

滑川王手「さしずめあかなめ」

中盤の親父の登場良かったです。主人公のあかなめ設定が説明された後、あかなめ能力を風呂場でついに行使してしまうのか?と思いきやページめくると斜め上に裏切っていったので普通に笑いました。上手いなあ。あと、あかなめ口内炎なるんかい!と普通にツッコみました。面白い。
って感じなのですが、オチが切ない感じになってて「ええ…この感情どうすれば…?」と思ってしまいました。単に好みの問題かもしれませんが、想定していたものと違うものが出てきて困惑してしまったというのが正直な印象です。

たになすび「そのパンツ僕にください」

パンツのそれ……飲むんすか、いい具合に変態っすね。良いと思います。
黒色の使い方が印象的で、背景や木などの植物や主人公の髪色など真黒に塗ることによっていい具合に異世界っぽさが出てるというか、この女の子との二人だけの世界にいるんだという印象がすごく出てると思います。あと、パンツはベタに縞パンなんすね。そこだけ変に生々しさが出ててそれもいいですね。最後空が晴れ、異世界から抜け出したみたいな感じになったところで「もう一回飲みたい・・・」はちょっと笑いました。
最後、この女の子ともっといろいろとしたいと思わせるような絵があるといいなあと思いましたが、まあ単なる僕の欲ですかね……。

つりばし わたる「デレないネコにさわりたい」

https://school.genron.co.jp/works/manga/2022/students/turibasi3/29164/

最初は、なるほど猫が可愛い漫画なのねと理解していましたが、読んでると本当は触りたいおじさんの感情の動きや表情の方が可愛い感じになっている、あれ?と思ったら最後のページの「さっさわれたーーーーーーーーー!!」でなるほど!おじさん可愛い漫画だったのね!と納得しました。間違ってたらすみませんが、でも普通にそう読みました。
あと、作品自体の感想ではないのですが、後半、原稿の下書きが透けて見えてて、セリフ位置とか構図とかいろいろ試行錯誤したんだろうなというのが垣間見え、努力!と思いました。なんだそれって思うかもしれませんけど。

あさかたこれ太郎「さよならは夢のあとで」

https://school.genron.co.jp/works/manga/2022/students/asakata/28968/

あさかたこれ太郎さんの作品は、絵の緻密度というか情報量がすごいな、と思ったりするのですが、この作品に関しては情報量はありつつもすごく読みやすい味わいになっていて、すらすらっと読めました。おそらくフキダシからフキダシへ、キャラクターからキャラクターへ視線が滑っていくようにそれぞれ位置を工夫し考え抜いてるからなのだと思います。
設定もよくてキャラも可愛い。そして読みやすい、良い作品だと思います。
僕の願望としては夢をつくるシーンを、もっと、そこにこそダイナミックな絵が欲しかったなあと思うのと、水底くんと一旦別れがあった後に寂しそうな表情をする主人公のコマがあったりすると最後の号泣に納得感が出て良い終わり方になるかなあと思いました。

降原「眼差し」

この作品はトラックが主人公に突っ込むシーン(=物語の崩壊)が最大のインパクトになるように上手く構成されているなと感じました。そこがこの作品の素晴らしい点だと思います。
正直、トラックのシーンがくるまで何か読み味が薄いなあと感じていて、ここぞというコマで背景の余白が目立つせいなのか、漫画としてのリズムが淡々としているのか、何なのかなあと思っていたら急にバシッとした絵でトラックが突っ込んできて、ここまでの印象全部フリになってるじゃん!なるほど!と感じました。全然意図してなく的外れだったらすみませんけど。
あと、終盤の山場は緩急がわかりやすく効いてていいですし、トラックが斜めのなのが今にも突っ込んでくる感じが合っていいとか。なんかそこだけのことずっと話しちゃってますね。細かい良いところをあげたらキリないと思います。
ここから、あくまでも僕がそう思うっていう点になるのですが、最大の見せ場の一つである32ページ目が、直前までの勢いを殺してしまっていると思います。29ページ目でコマを細かくしてタメをつくる(緊張)→30ページ目でインパクトある絵と開放→31ページ目で縦に三つコマを分け白い光を放射状に左へ向かって描く(緊張)→となれば、32ページ目はもう例えば主人公描かず全面を白背景にしてフキダシだけとかのページにしてもリズム的にバッチリキマるような気がするんですよね。本当に素人意見で恐縮ですが、僕は明確にそう思ったので。実際それでどうなるのかはわかんないですけど。

千住ちはる「オレが娘で娘がオレで」

すごい面白いです。商業誌の連載第一回目でしょうか、と思う感じです。
育児マンガも突き詰めると自分が子どもになることもできるのかと。
正直、すごい感心していて続きを読みた過ぎますし、何回読んでも楽しいです。4コマが、子どもあるあるネタから意外な父の正体がわかるまで、あますことなく楽しい。8ページで終わるからというのもありますが、まったくダレてないですし、頭からケツまで面白い。擬音とかですら面白い。適当っぽい感想になってますけど、本当に面白くて言うことが逆にないみたいになってます。すみません。

晃てるお「気まぐれおやじの超能力」

超能力おやじのキャラが気になる感じですね。気まぐれ親父ってことなので、人を助けたり助けなかったりするのかなとか、性格は良いんだけどちょっと気難しかったりするのかなとか色々想像できて気になります。
大ゴマを効果的に使ってサクッとわかりやすくなってるのも良いと思いました。想定媒体的にTwitterの1ツイートで完結する物語だと思うのですが、Twitterだと4ページ目で意外性のある展開でいきなりオチがついて終わり、みたいなのもいけると思うので、おやじのキャラを生かした意外性のある終わり方が見たいなと思いました。

【追記】

good!アフタヌーン2023年5号に『うろんな男』という読み切りが掲載されました。この作品は元々ひらマン5期最終課題に富田童子さんが提出されていた作品で、商業誌掲載決定にともない最終課題ページからは削除されたものです。
元々この作品についても感想を書くつもりだったので、厳密には最終課題提出作と言えないかもしれませんが、この雑誌掲載のタイミングで他の提出作と”同じように”感想を書いてみました。
なお、私は課題提出時にひらマンのサイトで本作を読んでいないため、雑誌掲載に合わせて内容の変更があったかなどについては関知しておりません。ですので、純粋に本作を雑誌掲載時にはじめて読んだ感想となります。

富田童子「うろんな男」

うさんくさい主人公の造形が良いですよね。このハードボイルド人情話にマッチしたものであると思いました。怪しくどこかマヌケな印象は最初からありますが、後半の人情展開で主人公の見た目からいいヤツ感も自然に感じることができるようになっていて、すごく絶妙と思います。
ママの家や人形などもデザインも良いですよね。めっちゃ怪しいもん。13ページ目のママが祈っている(?)コマとか、真ん中にブラウン管モニタ9台あってそこに胎児らしきものが映っているという。わけがわからない!
あとやはりコマの枠線ですよね。ちょっと暗くて不気味さを感じる世界観はこのぼやけた枠線によるところが大きいと思います。線の区切りによって世界をつくるマンガならではの表現で素晴らしいと思いました。
マンガのリズムとしては後半の盛り上がりがある部分に縦3つ区切りの大ゴマや横3つ区切りの大ゴマがあり、主人公の心情(または物語の流れ)にちゃんと対応したものとなっていて、読後の印象に残りつつも読んでる最中は自然に読むことができる塩梅になっていて、これも良かったです。
ただ、正直普通の人情話になっていたのが少し肩透かし感があって、そこは読み味として残念に思ったりもしました。
ママの家のファンタジックで怪しげな造形や悪魔祓いの人形など、枠線による全体の印象は勿論のこと、世界観や人物設定に深みが出るようなものをコマ内に描いているだけに、実は怖い設定があったり一見普通の人情話の裏にもう一個何か真相があるのではないかと読者が自然と期待してしまうようなつくりにこの作品はなっているのではないか、と思うのです。
怪しげな泥棒が怪しい家で上手いこと老婆を騙し、結末で泥棒が怖い目に合う話かな?と思いきや人情話だったのかー!という意外性は勿論感じるんですけど、それで終わりかあという印象は拭えないなといった感じです。

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