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家庭菜園の愉しみ

公社が所有している小さな畑を借りれることになった。放浪生活の途中で農作業はたくさん経験したけれど、ゼロから自分でやるのは初めての経験。捻くれもの精神を発揮して、どうせならちょっとレアな野菜を作ってみよう!と意気込みつつ、まずは書籍でお勉強。

いろんな色のミニトマト、タイなす、イスラエルのダビデ星オクラ、カラーいんげん、バジル数種、レモングラス、白ゴーヤ……。毎日少しづつ畑づくりをした。土日のお休みに作業をしていると、近所のおばさんが「頑張ってるね」と声をかけてくれるのがちょっとうれしかった。

もちろん、無化学肥料・無農薬でやることは決めていたので、ニームやら米ぬかやら唐辛子スプレーなどを活用して、蛾に食い荒らされたミニトマト以外はとっても順調に育ってくれた。時々、近所の道の駅に置かせてもらったりして、すっかり畑仕事の楽しさにのめりこんでいった1年目の夏。

私が「農」に目覚めたのは、東京で経験した東日本大震災がきっかけだった。スーパーから食べ物が消え、原発事故も重なったことから、いったい何処で作られた何を食べたら安全なのか全くわからなくなった。現金があっても食べ物が買えないという経験はあまりに衝撃的で、今でも忘れられない。

ちょっと畑に行けば自分で作った野菜がある暮らしって、やっぱりいい。

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