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やりきれない話。

今回は誰にも相談できず、葛藤している真っ最中の小話。

吐き出す場所がどこにも無いので、ここでありのままに書き綴らせて下さい。

決して、特定の「誰か」に向けてではありません。

ただ、このやりきれない感情をどうにか消化したいので書かせて頂きます。










私には、つい数ヶ月前まで同居していた祖父が居ます。

小さい頃から父親代わりだったのですが、年相応に衰えてきて、私も母もとうとう介護疲れが出てきたため、去年から施設入所しています。



そんな祖父は、現在顎の骨折で入院しています。



事の経緯は数日前。急に施設から電話があり、「昨日転倒して顎を打ったようで、内出血と腫れがひどいので病院を受診しています」と言われました。

年齢も年齢なのでそれなりの認知症があり、落ち着かないことも多々あったと聞いていたので、「あぁ…また自分で勝手に歩いたりしたんだな…」と思い、おたふく風邪にかかったくらいの腫れを想定しながら急いで病院に向かいました。

でも、いざそこで目にしたのは、下顎から首にかけての広範囲な内出血と、口の中まで赤黒く腫れ上がってしまっていた祖父の姿でした。

言葉を失いました。

祖父は私を見るなり喋りにくい口で必死に話そうとしましたが、口の腫れで舌が上手動かないのか呂律がイマイチだし、血混じりの唾液が今にも溢れそうな状態でした。

付き添っていた施設の方に「一体何が…」と尋ねても、その人は夜勤者ではないので詳細は分からず、夜勤者も転んだ時にその場に居合わせた訳では無いので、どういう状況で、どう打ったのか誰も分からないとのことでした。

唖然としながらも診察になり、検査の結果、顎の骨を2箇所骨折してしまっていると言われました。

そうこうしているうちに母も到着し、同じように言葉を失い、そのまま一番近場の口腔外科を受診。しかしそこでの治療は難しく、結局大学病院を紹介受診することになりました。

その間にも祖父の顎の内出血や腫れはゆっくり拡大していて、大学病院に着いて先生もまぁビックリ。一体何があったの状態でした。

急いで全身をくまなく検査した結果、骨折や外傷は顎だけ。他は特別大きな問題はないとのことでしたが、早急に手術をしないといけないと言われ、その日の真夜中に手術が始まり、終わる頃には日付をとうに跨いでいました。

私がずっと付き添っていて、その間に施設やケアマネージャーに連絡を入れたりと、慌ただしく目まぐるしい時間を過ごしていたわけですが、手術が終わった帰り際、運転しながら少し冷静になって考えたことはただ1つ。





何で転んだの?






施設の方から聞いた話では、当初祖父は車椅子に乗っていて、夜勤のスタッフが他の入居者のケアに入っている間に自分で部屋に戻ろうと動いたらしく、次にスタッフがその場に戻ってきた時には車椅子だけが残っている状態だったそうです。

どこに行ったのかと見てみたら、部屋で倒れている祖父を発見。上唇から少し出血している程度だったので、そのまま様子を見ていたが、だんだん青アザが出てきて、朝にはあの状態だったとのことでした。

私も医療者なので、すぐに状況は想像できたし、仕方ないと割り切ろうとしました。






でもね、





割り切れないんです。どうしても。





病院でも、落ち着かずにそわそわしている患者さんはたくさんいます。予想できないような突発的な行動に出ることだって多々ありますし、防ぎ得ない事故だって起こるんです。

それに、夜勤というのはスタッフ数が少ない中でやりくりしないといけないので、どうしても完全に目が行き届くというわけにはいきません。





わかってます。

だって、自分がいつもそうだから。





でも、こう思っちゃうんです。







何で目を離したのかな。






何ですぐ病院に行ってくれなかったのかな。






何ですぐ、連絡くれなかったのかな。






私自身、落ち着かない人は目を離さないよう行動を共にするし、どうしても目が離れそうな時はトイレに行きたいとか寝たいとか、落ち着かなくなる原因を予め取り除いた上で、離れても大丈夫な状態にしてから対応するように心がけています。

祖父も、何かしたかったのかもしれない。

トイレに行きたかったかもしれないし、消灯が近かったから横になって休みたかったのかもしれない。

その場を離れるなら、それなりの対応をした上で動くことも必要だと思います。

現に、こういう事故が起こってるんだから。



連絡や受診だって、もっと早くくれればここまで大事にはならなかったかもしれない。

じわじわ出血していたことで貧血が進んでたし、時間経過で顎周りの浮腫が悪化していて、気道が圧迫される可能性があって、術後は気管切開と人工呼吸をする状態になってしまいました。

それに、今後どこまで食事が食べられるように回復できるか分からず、誤嚥リスクも高くなるとも説明されました。

最近、せっかくご飯がちゃんと全部食べられるようになって良かったねって言ってたのに。

施設の環境にも慣れて、楽しく過ごせてるって喜んでたのに。

何でこんな…。





誰かを責めることはできません。

施設の方もいつも良くして下さっていて、今回のことも「こちらのミス」と言ってくれて、私が勤務で付き添えないかもしれないと話した時には施設長が「私が行くからいつでも言って」と連絡をくれたりしていて。

だから、しんどい部分もあって。

医療者側の忙しさや大変さを知っているからこそ、誰も責められないと割り切りたいのに、祖父のあの悲惨な姿や、どこまで食べられるようになるか分からず今後の見通しが立たない現状を考える度に「どうして…」と思ってしまうんです。




この葛藤は、いつまで続くんでしょう。








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