四国とスペインの巡礼日記 <最終章の前に>
二つの巡礼道もゴールを目指す最後の日々。スペイン巡礼のカミーノは祈りの総決算、四国遍路は涅槃の道場。
ここまで来ると一歩一歩が惜しい。四国の最終章は涅槃の道場。涅槃とは悟りきって、煩悩も何もなくなること。でも、あんなにうまい讃岐うどん屋がそこら中にあって、、、悟りとは。ご他聞にもれず「うどん天国」。ありがたや~。
カミーノの最終章は、レオンからサンティアゴまで。こちらの方が四国よりも涅槃チック。サンティアゴという光源に向かって導かれているような、なんとも言えない心地よさの中で歩けた。
また対比で言うならば、最後になって「杖」の位置づけが違ってきている。四国では同行二人の教えに従って、最後の最後まで杖を弘法大師の身代わりとして扱い、語りかけている。
スペインでは心理的・精神的な意味合いは随分薄れている。これは、四国が山々を越えて歩くのに対し、スペインは歩く道が比較的平坦だという物理的な要因と共に、二つの巡礼の歴史における杖の位置付けの違いが大きく影響していると思う。
四国遍路の杖には般若心経などのお経が書かれている。それは杖がそのまま歩き遍路の墓標であるからだ。「花へんろ」という言葉があり、それは昔の貧しい農家が口ぶちを減らす為に若い女性を遍路に出したという風習。歩き遍路がもっと過酷なものだった時代、行き倒れで亡くなった場合の墓標として持っていた杖が使われたという。ちなみに白装束を着て歩く伝統も、それが死装束であった頃の名残である。
それでは、カミーノ 第四章 祈りの総決算からスタート
2003年7月20日~7月27日
第一話
「THORの道標」「飛ぶ男と呼ばれて」「牛と畑とコンピューター」
第二話
「母は強し」「地球の裏側の地震」「ぼっに~とぉ♪」
第三話
「最後の朝」「再びTHORの道標」「サンティアゴに着いてしまった」