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四国とスペインの巡礼日記 <四国四章> ① 優しい道
四国遍路 第四章 涅槃の道場
2002年3月6日~3月11日
第一話
「暗雲」「五重の塔」「優しい道」
第二話
「蜘蛛の糸がクルクル」「生きているということ」「ぽかぽか陽気の迷子」
第三話
「回想」「結願」「感謝」
第四章 四国遍路 涅槃の道場
第一話 「暗雲」「五重の塔」「優しい道」
いつの頃からだろう、参拝中に自分のことを祈らなくなったのは、祈らなくても良くなったのは。四国遍路にもしも功徳というものがあるとすれば、それは遍路を終えた後にあるのではなく、かけがえの無い「今」のこの満ち足りた気持ちそのものなんだと思う。一つ一つのお参り、一歩一歩の歩みを大切にしていこうと思った。
3月6日
暗雲立ち込めるという言葉がぴったりくる天気。風もものすごく強い。
でも黒い雲の合間に青空と白い雲がちらりと覗いていた。そして遠くの山々はどっしりとそびえ巡礼者を見下ろして微笑んでいるよう。
弥谷寺の山門前の俳句茶屋に立ち寄る。何年も何十年も前からお遍路さん達が書き残していった俳句が天井びっしりに掛けられている。
なんと僕のしょうもない句を入り口付近に掛けさせてくれた。もっといいのなかったか~?とは思うが、実は結構お気に入り。自分なりに一如の概念(全ての存在は一つのもの)を詠ったつもり。
「しょんべんの ゆげの向こうに お地蔵さん」
3月7日
四国四県の地名の意味が書いてあった。
讃岐 = 食物を司る人
阿波 = 讃岐の女性形
土佐 = 猛々しい男性
愛媛 = 愛すべき美女
善根宿「まんだら」に宿泊。自転車を借りて、弘法大師の母親の生まれたと言われる、海岸寺へと向かった。夕日の中にシルエットで浮かび上がる五重の塔はとってもきれいだったな~ぁ。
善根宿のまんだらにはいろんな人が泊まっていて、床についてからも様々なことを話しながらいつの間にか眠りについた。
3月8日
まんだらに数日間滞在したという二人も再出発を決意した。一緒に出発したYさんという女性は四国遍路に来る前、なんども自殺しようとしたという。とてもそんな風には見えない、元気な女性に変わっていた。四国遍路に出ようとした時に、Yさんは葛藤を半分克服していたのだと思う。そして新たに生まれ変わっていく心を四国の道は大きく、優しく、時に厳しく包み込んでくれたのだろう。
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