#15 村上龍がKindleに
大半の作品がKindle入りして読めるようになった。
「W村上」なんて言い方はもう今の10-20代の人には通じないだろうけれど、自分は高校生の頃に両者の作品を一通り読んだときからずっと、春樹よりも断然、村上龍派である。
「だから何?」と読後に言いたくなるような村上春樹の小説に比べて、村上龍は身も蓋もない端的な絶望とか希望とか怒りとか熱狂を描いている。
「空港にて」という短編集が大好きなのだが、他にも多くの人に読んでもらいたいのは次の3冊だ。
・69 →高校生が「楽しいことが正義」と宣言する小説
・昭和歌謡大全集→主婦とフリーターが殺し合いながら「誰にも自分たちをバカにさせないぞ」と勝ち誇る小説
・テニスボーイの憂鬱→調子に乗ってる経営者が「何があっても自分が悪いなんて思わないぞ」と開き直る小説
以前村上龍が爆笑問題のラジオに出て太田光に村上春樹との違いを聞かれたときに次のような答えをしていた(うろ覚え)。
「たとえば中央線のホームに暗い顔をしたおじさんがいてその原因は何だろうと考えるときに、『10年前のトラウマが・・』といった個人的な悩みを抱えている可能性もあるけれど、失業や不況といった要素が原因である可能性もある。どちらが正解かは分からないけれど、自分は後者が原因なんじゃないかと考えるタイプだ。」
これ、村上春樹と村上龍の違いをすごく分かりやすく表現した話だと思う。