作品になりはじめている
実験ラボの稽古をしています。
宮崎作品のことと加茂作品のこと、両方書きます。
加茂は宮崎作品に出演もしますし、自分の作品に宮崎さんに出てももらいます。ダブルビル公演というかそういう感じの、いやダブルビル実験か、それぞれだいぶ別の趣旨の実験をしています。宮崎さんは「加茂の手のひらの上であそばされてたまるか」(本人談)という感じで、とてもありがたいですね、別にバトってません。
宮崎作品の方では、まず戯曲があります。こちらで公開されています。
宮崎作品での取り組みは2つ。
①新しい文体の獲得
②演出の検討
ので、おそらく、4/10の実験本番では、①全体のリーディング、②冒頭部分の上演と、2つに分けてこれに触れるのではないかと思います。
いまは、冒頭部分のセリフを覚えつつ、演出を議論しながらクリエイションしています。宮崎さん「あー楽しい」と昨日5回は言ってました。嬉しいです。僕も楽しい。かなりたいへんですが。まだまだ先は長い。
加茂作品の方は、そっちと比べるともっとだいぶ手前というか、より根源的な実験です。
宮崎作品は既に戯曲が、実験ラボで扱う部分については出来上がっているので、言ってみれば”作”は済んでいる段階になりますが、加茂の方はその”作”をしていくところというか、実験ラボ本番でも”作”をする感じというか。
「笑顔で立っている(意訳)」の発展として、現段階では、
①俳優(A)登場、舞台に立つ。もう一人、タイム計測をする人間(B)がいる。
②30秒後、Bが合図を出し、Aは笑顔になる。
③1分後、Bが合図を出し、Aは笑顔をやめる
④30秒後、再びBの合図でAは笑顔になる。
②-③を繰り返す
というシークエンスが一つ生まれています。仮にこれを「部活」と名付けておきます。ものすごく、自分の中高の水泳部時代が思い起こされたからです。もちろん、そういったことを彷彿とさせるために作っているわけではないです。
この「部活」シークエンスの面白さは、本当になんでもないというところです。立つAは、笑顔をつくる筋肉の運動をします。インターバルを挟んで何度もやります。それを時計を持ってみているBは、時間を伝えます。
純粋に分解すると、ただそれだけ。
この空虚さが”リアリティ”のなさに通じている気が(する)
両者間に、目標の共有はありません。これが重要なのだと感じます。
このシークエンスを見ていると、自分には部活のように見えましたが、というのも、やはり様式がとてもトレーニングで、それが強くて、たとえばAが笑顔になりたくて自発的にそれをしているとか、あるいはBがコーチで、それを目指させているとか、そんなふうに感じたりします。あるいはワークショップ。
でも、それっていうのは、それでないとそうでなくて(とても日本語がヘタ)、つまりこのシークエンスがどのように始まるか、最中どんな言葉が交わされるか、両者は何を共有しているのかという情報がそれを信じるに足りてしまったとき、そうなってしまう。
試していて、途中から、インターバル中に、Aはフィードバックをしたりしてみました。「だんだん背中の筋肉を使うようになってきた」とか、「音楽をかけてほしい」とか。これはこれでとても面白いと思うのだけれど、Aの自発性が強いように見えてくる可能性もあるな、と。
今回取り組んでいる「真にリアルでない演劇」、前回言い換えたところによると「見える」をデザインした「見せる」をしない演劇ですが、むしろ大枠でめちゃめちゃ「見える」をデザインしていく必要があるのかもしれない。というかその必要がある。(もしかしてそれが演出…?)
行為をベースとして、「見える」との距離を細かにコントロールしながら、情報を整理する。
ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜言語化する能力が乏しい、あんまり面白そうに伝える能力がないのだがやろうとしていることはそんなことだ。
きわめてナンセンス、空虚、シュール?不条理?
いまシークエンスは一つあるけれど、これを演劇にしないといけない。
いまのままだとまだ演劇じゃないようにも感じている。十分フィクションは生じているとは思うのだけれど。
実は加茂、こないだまでけっこう焦っていて、なぜなら、なかなか先に進めなかったからで、というのも、「笑顔で立っている」からどうにもならない気がしていました。
リアリティを削っていく、として、つまりは何を行えばいいのかまったく分からず。笑顔で立ってる人を見ても手立てもなかなか思いつかなかった。
宮崎さんにも「10分くらい立ってみようか」と提案いただいて、長めに立ってもらってる間に、音楽とかかけてみたりしているうちに、時間で区切ろうと一つ思いつきました。
「真にリアルでない演劇」という命題からスタートしつつ、結果的にひとつの事例側から帰納的にそれに辿り着こうとしているというか。ほんとは演繹的にいきたかったけど、難しかったな。
最終的になにか掴めそうではある。引き続き探訪します。
宮崎さんからは、Aにはある種の「一所懸命さ」が必要で、誰でもできるものではないのではないか、という指摘をもらっているので、それも探求していきたいと思います。
先の作品『一等地』でも、冒頭は落としたハンカチを代理で演じ擬似的に会話するある種のワークショップ的なシーンから上演を始めていました。
今回もちょっとそのテイストがある。
僕の一つの創作スタイルに、そういう、ワークショップの開発的な面があるのかな、とも思い始めています。役を演じる/演技することとはだいぶ違って、とても行為なのでそうなっているのかも。
実験ラボ本番では、宮崎作品と加茂作品どちらもやります。
トータルで50〜60分の予定です。
ただそれぞれ上演するだけでなく、「いまからやるのは、こういう趣旨・意図で取り組んでいる◯◯です」という感じで、キャプションじゃないけど、リードを話したりしてから、「それではご覧ください」と上演する感じになるんじゃないかと思います。
会場のSTスポットは、特に装飾したりせずそのまま使います。照明とかも常設の蛍光灯のみでやる予定です。
早いものでもう来週(の水曜日)。
こういう機会が作れて嬉しいな、と改めて。宮崎さんにも大感謝です。
ご来場予定の方はできれば予約いただけますと安心できて嬉しいです。
10:00〜21:30のオープン時間中いつでも会場に居られて、お話しなんかもしていただける居放題チケットのほうが割合多く予約いただいていて、嬉しいです。いっぱいおしゃべりしましょう。
加茂慶太郎・宮崎玲奈
『実験ラボ2024年4月10日』
●日時・会場
2024年4月10日(水)
会場オープン:10:00〜21:30
上演:14:00/19:30
上演時間 2作品合計 約50分
[鑑賞チケット]受付開始は各上演の20分前
会場:STスポット
(横浜市西区北幸1-11-15横浜STビルB1)
●チケット
1日居放題チケット:¥2,000
会場オープン時間中、自由に出入りできるチケットです。
上演を2回観ることができます
前後におしゃべりもしましょう!
鑑賞チケット:¥1,000
上演を1回鑑賞できるチケットです
全席自由・当日精算(現金のみ)
[予約フォーム]
https://forms.gle/gKCs8hBCpfYhfe6J7