錦秋ミルキーウェイ/いろは短編
まだ肌寒い朝は温かな飲み物で目覚めるに限る。私は左手を伸ばし、サイドテーブルの上にあるハンドドリップタイプの電子ケトルの蓋を開けて水の残量を確認する。昨晩、大好きな吉本ばななの新作に手を出して一気読みしたので、大きなマグで三杯もハーブティーを飲んだ。中身はすっからかんだった。おかげで明け方に尿意をもよおし、こんなに早起きをする羽目になったけれど、吉本ばななの新作を一気に読めた嬉しさでむしろ清々しい気持ちさえしていた。今日は休日だ。シフト制の仕事をしている私には久しぶりの連休初日なので、こんな気持ちで目覚めることができて満足だった。
少し多めに水を入れたケトルのレバーを下げて暫くすると、コぷりコぷりと音が鳴り、その後ろからシュウシュウと蒸気の上がる音がしてくる。このシュウシュウという音はいつも私を不安にさせる。理由は分からないのだが、思わず耳を塞ぎたくなるので、レバーがカチッと鳴るまではブランケットで頭の先まで覆って携帯で今日の天気を確認することにした。この日の天気は一日中晴れる見込みだが気温は低いとのことだった。
白湯を飲みながら町の音がしない時間の中に暫く浸っていたら、やっぱり夜に本を読むのはやめようかしらと何となく思った。普段は仕事のために早起きしてお弁当も作っているのだから、休みの日くらい朝寝坊したほうが幸せなような気もした。さっきまで嬉しい気持ちでいっぱいだったのに、この不安定なオンナゴコロには困ったものだとつくづく思う。
けれども、夜中にひとりで三人掛けのソファに贅沢に寝ころび、柔らかな読書灯だけを頼りに闇と溶け合って本をめくる音だけが響いて本の著者と対話しているような不思議な感じが大好きだし、唯一この時間が世界から切り離された感じになって自由になれる。本当に一人になるのは怖いくせに、一人の時間がないと窮屈で仕方ない性分なのだ。
そうして眠ると夢も決まって美しい空を泳いでしまう。昨日みた夢は本当に美しくて、まるで星空のオートクチュールに朝焼けのベールと憧れの月の光のエンゲージリングという感じだった。
そういえば、あの貯金箱いくら貯まったのかしら。お金がたくさんあったら何しようかしら。携帯で『お金持ち 趣味』と調べたら、一位に仕事とあってげんなりしたので、携帯電話を何となくベッドの下に隠した。
一人が苦手なのに一人でやってみたい事は沢山ある朝の5時12分。今更だが世界一の朝食を食べに行きたい。一人じゃなくても「ひとり」同士で並んで歩いてくれる彼は、隣で眠そうにかすれた声で「何それ最高やん、6時半になったら出発するし寝坊するなよ。」と言いながらまた眠るのでコーヒーを飲むか聞いてみると「え、ありがとう。いやア待てよ、俺が淹れるコーヒーのがうまいし早いやろ!」と勢いよくベッドから降りると、得意げに寝ぐせだらけの頭を揺らしてキッチンへ向かった。定期的にやってくる、私の『ティファニーで朝食をごっこ』に彼はいつだって丁寧に付き合ってくれる。今回は2か月ぶりのオードリーヘップバーンだ。
手際よくガッゴシュッとコーヒーを挽く音が心地いい。その間に私はベッドを整え、枕カバーを洗濯機へ入れて掃除機をかける。キッチンを通る時に目線の高さにある彼の首筋へ口づけをすると、彼は「阿保ォ、真面目に掃除しろ」と言いながら、少し強引にコーヒーの香りがする手で私の前髪を左へかき分け、デコピンをした。
付き合って六年目、一緒に暮らし始めてから三年が経った。何度も衝突しながら、私たちは同じことに感動できるようになった。朝のコーヒーは必ずバルコニーで二人並んで飲むこと。私がベンチの左側で彼は右側に座ると決まっている。どれだけ酷く喧嘩をしてもこの朝のためにその日のうちに仲直りすること。そして、コーヒーの後に彼が煙草を吸う間は、隣でその日の空をカメラで写したり絵に描いたりした。時々彼の頬や手の甲や首筋にキスもした。煙草の味がする唇にも「美味しくない」と文句を言いながら。
「滅多に朝焼けを見ないしもう少し空を眺めていたい」といつになく感傷的な彼をバルコニーに残して、私は洗面台へ向かった。彼の後ろ姿を窓越しに見つめる飼い猫の姿が愛おしくて、カメラのシャッターを切る。この後は、いつものように鼻歌交じりでシャワーを浴びて、洋服に悩んで、大好きなバイクの点検をして、お揃いのヘルメットを磨くであろう彼を想像しながら、スキンケアをしていく。
クローゼットから鶯色のタイトスカートと、少し青みのかかった白い厚手のトレーナーを選び、鏡の前で合わせて、我ながらセンスが良いなと思ってしまった。どちらも下北沢で買ったお気に入りだ。メイクにあまりこだわりのない私だがリップカラーにだけは凝っていて、今日は何にしようか悩んで5分くらいかかったが、綺麗に色をのせられて嬉しくなった。そして腰まで伸びた細く長い髪に少しだけオイルを馴染ませたら、指先の残りを膝に擦りつける。時々それでも余ったときは踵に分けてあげている。
生まれた時からゆるくウェーブのかかった髪は太陽にあたると染めたように見えるので、学生時代は教師や先輩からの心無い言動に悩んだこともあったが、今となっては美容室要らずで「儲け」と思っているし、彼に初めて声をかけられた時の第一声は「その髪ィ太陽にあたると色が変わって…俺の持ってるマグもお湯を注ぐと色が変わるんやけど、同じ原理なんかなァ。一緒にそこの喫茶店で考えてくれへん?」だった。この辺では珍しい関西訛りと変わった口説き文句に「え、普段どんな本読んでるの。」と返事したことは、今でも私たちだけでなく当時の仲間内でも王道のネタだ。
ああ、さすがに寒いわ。と肩をすくめて脱衣所に向かう彼の後ろを、待っていましたとばかりに猫が一生懸命についていく朝の6時3分。少し寒いかしらと不安になったので、厚手の靴下を選んで、ブーツを磨いていると猫が右ひじに頭をコツンとしたので、空腹の合図だ。可愛い陶の器に良い値段のするカリカリを32グラム。2年前の風の強い冬の夕方に、海辺でカラスにいじめられていたこの子を拾った日から毎日良い値段のご飯を選んでいる。今では立派に下僕として働く彼だが、当時は大の猫嫌いだった。それなのに、死にそうな子猫を見た瞬間に迷わずお気に入りの革のジャケットで汚れたこの子を包み込み両手で抱きかかえた姿に、私はもう一度恋をした。こんな風に行動のできる彼だったら私の人生を預けても良いと思えた。別れ話をしようと考えていた散歩道での出来事だった。だから猫には御礼として良いご飯を献上している。
シャワーを終えた彼はすこし屈んで私の唇にそっとキスをすると、私のスカートの色を見ながら「俺は同じ色のパンツスタイルにしよかなァ。」と呟いてクローゼットへ向かった。思わず「スカートスタイルでもいいよ!」と答えると「俺の方が美脚やし嫉妬するやろ!!」と返ってきた。
昔は風を切る音に逆らって一生懸命に話し続けたこの時間も今では言葉のない時間となってしまった代わりに、彼の腰に回した両手から一生懸命に愛を送っているつもりだが、彼に伝わっているかしら。黄色と青色のヘルメットが海風をヒュウと駆け抜けて混ざり合い、緑色にも見えたと思う。
バイクを停めた駐車場から少し歩いて朝7時5分。コンクリート造りの短い階段を昇ると、朝オープンしたてのカフェからは明るく幸せな声が聞こえてきた。もう満席かしらと不安になった私たちだったが運よく空いていたソファの席に案内されて、顔を見合わせてニヤリと笑い合った。残念ながら少し海辺が見えにくいので、二人して着席した瞬間に「もっと早起きしてリベンジしよう」と言った。「予約できますよ。」と隣の親切なご夫婦の笑顔の素敵なご婦人が教えてくれたが、彼が耳打ちで「予約したら負けや!早起きして来ることにまず価値がある。」と言ったので、私も同じことを思ったという気持ちで笑って頷いた。
ピスタチオがお洒落なパンケーキを選んだ私に向かって、今日のラッキーカラーはミドリなんかと、サーモンが美味しそうなサンドイッチを頬張って笑いながら尋ねる彼の足元は宣言通りにわたしのスカートと同じような色をしているのが本当におかしく感じて、しばらく笑いが止まらなかった。その間にパンケーキの半分くらいを彼に食べられてしまったので、帰り道に海でアイスを食べたいとわがままを言った。彼は一旦家に帰ってから近所の美味しいアイス屋さんにしようよと何度も私を説得したが、私はなんだかこのまま帰るのが勿体ないと思ってしまった。今思えば、彼の言うとおりに近所のアイス屋さんにすべきだったと思う。
コンビニを出て朝の8時38分。まだ夏の太陽が残っている季節なのに溶けやすいソフトクリームを買って、七里ガ浜にある私たちのお気に入りスポットまで歩いた。途中で溶けてきたソフトクリームに我慢できず頬張りながら歩いていた私は、左前を歩く彼を横目で確認して進んだり止まったりした。彼が「阿保やなア!」と笑いながら、私につられてカップに入ったアイスを食べ始めたので二人とも到着する前に食べきってしまい、大笑いしたし幸せだなと思った。彼もきっとそう思ったのだと思う。
角を曲がった先にあるゴミ箱へ食べ終わったアイスの容器を捨てて、スキップしながらあと五つは食べられる!と言った私の方へ彼はふわりと振り返って、バイクで彼の後ろに乗っていた時からずっと気になっていた左胸のポケットに右手を滑らせた。私とは違って真っ黒で真っすぐな髪なのに、お揃いにしたいと言ってパーマをあてた少し長い髪の毛が、海風に揺れていた。
何だか美しかったので、首にかけていたカメラのシャッターをきった。大好きな彼と大好きないつもの場所でいつもよりも美しい太陽の光が波に合わせて輝いていて、涙が出そうな景色だった。
「俺なァ、歳とってなんもできんくなった時は今みたいに隣にいて欲しいなあと思った。いや別に老後のお世話してくださいよオって意味やないです。隣にいてあげてもええですよって事でありまして。あれ、これ嫌な奴やんな!あかん笑う。もうええわ!これからも毎朝美味しいコーヒー淹れるので俺の隣死ぬまでずっといてください!」なんてロマンの欠片もない言葉を言いながら、彼は右手に握った紺色のジュエリーボックスを開けることも忘れて左手を私に差し出していた。海が波打つ度に、同じように私と彼だけの世界が広がって涙が止まらなかったし、彼を抱き締めたくて駆け出した足どりは羽根のように軽かった。あと3歩というところで我慢できずに精一杯に両手を広げて、私は本当に鳥みたいだった。
そうして、いつもは殆ど人通りもないのに、ミドリ色の艶々した大きなバイクが、シュウっと風を切って、私たちの目の前を通り過ぎて、ものすごい音をたてて、一瞬で、太陽が沈んでしまった。
彼の右手の先に転がる歪んでしまったジュエリーボックスの中には、付き合った記念日が彫られたムーンストーンの可愛らしいエンゲージリングが入っていた。
一緒に住み始めてから、こっそり貯金箱にお金を貯めていたことを私はしっていた。興味のないジュエリーの雑誌を買ってきて、「好みの宝石で性格診断できるらしいしちょっと教えて」と聞かれた日から、こっそり毎月給料日になったらその貯金箱に私もお金を入れていたことに彼は気が付いていただろうか。
彼の写った最後の写真を、五年経った今でも見ることができない。彼はどんな顔をしていたのかしら。優しい笑顔だったのかしら。
私の記憶には優しい笑顔のあなたばかりなのに、あなたのさいごに見せた顔はどんな表情をしていたのか分からないままだった。次に会った時も目の前が曇ってしまって分からないまま、その冷たい身体にただ触れて何も伝えることもできなかった。この世で最も愛していたあなたの顔を二度と見れないまま、私は黒い服の行き来する景色に溶け込んで、おでこに残る傷跡を何度もなんども撫でて時々爪をたてた。たまに血が出てきて少し痛むと、彼が感じた痛みの1%にも満たないだろうと悲しくなって仕方ないので、その日以来は触るのを止めた。
それから先の見えない私の心に従って底のない湖にトプタプトプタプ沈んでみたいと願っても、いつの間にか薄紫色の朝焼けの綺麗な空が見えてきて、美味しそうなコーヒーの香りと一緒に口の中にピスタチオが香ばしくてうっとりするクリームたっぷりのパンケーキを感じる。「一口頂戴よ、俺のは二口食べていいから。」と、先に二口分を私の皿へ載せて自分は口を開けて待っている。あなたの可愛いズルいところ。
ままならない私が職場に無理を言って短期異動をさせてもらい猫と実家に帰っていた時に、母が突然コーヒーをインスタントではなく豆を挽くようになったことがきっかけになりようやく声を出して思い切り泣いた日は、彼のいなくなってからとっくに半年以上経っていた。母は優しい笑顔で何度も何度も私の背中を撫でながら、「よかったね。一生懸命に泣けるくらい人を愛することができてよかったね。幸せだねえ。」と言ってくれた。
彼がいなくなってからも、私はがむしゃらに写真だけは続けた。いい写真が撮れるたびに、彼の笑顔が浮かんできて傍にいる気がしたので何枚も何枚も余計に撮った。特に事故から三年後にあの場所を再び訪れた日の出来事は今でも感情的になる。
二人でよく歩いた海岸にピントを合わせていたら、突然カメラの電源が入らなくなった。一緒に見た景色に新しい思い出が増えることを、きっと彼が嫌がったのだと思う。ごめんね、と言ってその日は写真を撮らなかった。切ない気持ちになってどうしようもなかった。そうして、彼が大好きだった癖の強い煙草を、思い出のアイスクリームのコンビニで買って、慣れない手つきで火を点けた。深く深く、肺まで吸い込んだ。煙で焼けた喉も鼻の奥も涙の出る瞳も全部無視して、込み上げる咽せたい衝動も無理やり抑えた。落ちる涙で煙草は湿ってすぐに火が消えてしまうので、震える手を抑えながら何度も火を点けなおした。うまく動かせない口から吐き出した煙たちは、あのカフェの方へゆっくりと海風に溶けながら透明になり消えてしまうので、余計に涙があふれてしまった。
私は煙草の箱が空になることを願って何度も何度もそれを繰り返して、最後の一本になったときに彼の最後の言葉を思い出したら火が点けられなくてどうしようもなく悲しくなったので、陽が沈むまで浜辺に寝そべってここで生きる男女の声をただ聞いていた。
そうして、私と彼の方が何倍も愛し合っていたし愛されていたと思った。どれだけ離れてしまっても愛し合える自信があった。今でも愛していると思った。彼も私を愛してくれていると思った。手を伸ばしたら今度こそ届くような気さえして目を瞑って想像し、声を殺してワアワア泣いた。
一通り気持ちと向き合った後は、空に朱色の射す頃に最後の煙草に火を点けてただ煙が流れていく様子を眺めた。星が綺麗にみえる空気の澄んだ秋の空に白い煙が星々を撫でながら流れていく。
空腹になると右ひじにコツンと頭をぶつける猫は、今でも朝になるとバルコニーに向かって座り込んで彼の後ろ姿を探している。暫くはその姿をみる度にワアワア泣いていたが、今は微笑ましい気持ちになれる。
猫は暫くしてから脱衣所に向かって苦手な浴槽までのぞき込んでから、なあ、と短く鳴いて未だ玄関に一足だけ並ぶ彼の靴に頭を突っ込み何度か呼吸をし「ああ今日も帰らないのねウワキモノ!」みたいな表情で靴紐で少し遊ぶと、満足そうに私の足へすり寄ってくる。
あの日から一度も聞こえないコーヒー豆の削れる音と次第に広がる温かい香りの代わりに、今は嫌なシュウシュウと蒸気の上がる音と抱き寄せた愛する猫の香りが朝の定番となった。可愛い陶の器にカロカロロと良いご飯を今日も32グラム計り入れ、彼が手作りした猫用の小さな木製の食卓へそっと置く。何となくおまけに鰹節をひとつまみ添えてあげた。これで少しはウワキモノへの気持ちは晴れるだろう。
沸騰しすぎた湯で作った美味しくないインスタントコーヒーでいっぱいのマグを、二つ両手で運んで右足でヒョイと窓を開ける。右手でもっている方を彼のサイドテーブルに置いて私はバルコニーのベンチの左側に座る。あの日から欠かさずに朝焼けの空をカメラで写している私の左手の薬指には、夢で見た、月の光が輝いていて、優しい気持ちでいっぱいになれる。「お腹空いたなア。」とひとりごとをして、スキップでキッチンへ向かうと、一昨日海辺のベーカリーで気まぐれに買ったパリジャンを雑にスライスしたら、最近お気に入りのピスタチオバターを塗って1分半トーストする。大き目のお皿に焼けたパリジャンとおまけのバナナを一本のせて、バルコニーに戻って冷めてしまった彼のコーヒーと一緒に楽しんだ。パリジャンが熱々だったので猫舌の私にはちょうどいいコンビネーションだった。
星の見える夜には決まって、今でもうまく吸えない煙草に火を点けて、空に燻る煙に両方の人差し指で真ん中に向かって橋を架ける。暫く目を瞑って静かに夜の音を聞きながら、そこに波の音が聞こえてくると未だにすこしだけ泣いてしまう。
明日は早起きして久しぶりにあのカフェに行こうかしら。今度こそ一番海に近い席に座って、あの日食べられてしまった半分も取り戻して、あなたがいない間に念願叶って窓際の席に座れましてこんな景色が見えましたよ!と自慢しながらあの場所でソフトクリームを食べよう。大丈夫。『世界は別に私のためにあるわけじゃない。だから、いやなことがめぐってくる率は決して、変わんない。自分では決められない。だから他のことはきっぱりと、むちゃくちゃ明るくしたほうがいい』。大好きな吉本ばななの著書でも、とびきり大好きな作品『キッチン』の言葉を思い出しながら、お香のように立てられた煙草の火を、クシャリと消した。
「ひさかたの天の川瀬に船浮けて今夜か君が我許来まさむ。ふふっ。」
あとがき
始めての短編小説投稿。
プロに校閲して欲しい気持ち富士山よりも高く積みあがっておりますが、最後まで読んで下さりありがとうございました!!!
そして何と言ってもお察しの方もいますでしょうが、勝手なことで大変恐縮ですが吉本ばなな先生のキッチンからお気に入りのフレーズを拝借させていただきました。ヒッッ、と呼吸が逆になりそうなくらい投稿するときに緊張しました(笑)
もう何年も、織姫と彦星は会えていないですよね、本当に心苦しくなります。私は星の神話とかそういうの、信じているので、毎年、全身全霊で晴れろと願うのですが、遠足の日に台風がくるくらいに雨女なので、私の気持ちが高まるほどに雨天になっているような気がします。天候を操る力があるのかもしれません。「ひさかたの天(あま)の川瀬に船浮(う)けて今夜(こよひ)か君が我許来(わがりき)まさむ」ですが万葉集の七夕を詠ったものです。『久方の天の川瀬に船を浮かべて今夜はあなたが私のもとに来てくださるでしょうか』という意味合いがあるそうで、いいなあと思い引用しました。
あ、私が過去、七里ガ浜の世界一美味しい朝ご飯に友人と挑戦した日、二人とも早起きできずに昼ご飯になった苦い思い出がありまして、その後一人で行ってみたのですが、緊張に美味しさとか景色の美しさとか、全く記憶に残らず、やっぱり一人で外食はとても苦手という事を再認識して、切なくて、海辺で一人、阿保みたいにトンビが人の食事を狙う姿を眺めました。そして、頑張っているのにご飯にありつけない彼らに同情し、コンビニで唐揚げを買って、少し離れた場所に置いて、彼らが気が付くまでずっと観察していましたら、唐揚げを置いた場所から私までの距離と彼らの大きさの見立てに誤りがあり、私の横で唐揚げを食べるトンビの羽が肩や頬を撫でる度に、手を胸元で組みながら海の向こうに沈む夕陽に「ありがとう」と言った思い出の七里ガ浜なのです。ああ、生きててよかったよ。
書くの楽しいなと改めて感じたので、これからも沢山書いていこうと思います。日々練習あるのみ!!
鴨いろは