琵琶湖疏水 第1トンネル工事進行表 を読み解く
琵琶湖疏水最大の難工事「長等山トンネル(第一トンネル)」の進行表は各種文献に収録されています。
試みにこれを清書して色を付けてみました。表から田辺朔郎の苦闘を読み取っていきたいと思います。
なお、用語解説から後ろは有料記事としていますが、マニアックすぎる話題になりますので、興味のある方だけ読んでください。
用語解説
長等山トンネルの掘削は、大部分ベルギー式掘削で一部オーストリア式だったという事です。
田辺朔郎の著作「とんねる」からベルギー式掘削を紹介します。
とんねる - 国立国会図書館デジタルコレクション (ndl.go.jp) P.17~
まず(上図1)が先導孔で、(上図2)は作業スペースの確保、地質が安定している場合(上図1)と(上図2)を同時に施工する事が多いそうです。(上図3)はトロッコ用スペースで、トロッコを低い位置に設置する事で(上図4)の掘削土砂の搬出がスムーズに進みます。
(上図4)まで掘削後、天井部の半円形のアーチ構造「穹窿(きゅうりゅう)」を構築します。
穹窿についてはアーチ用型枠「セントル」を利用してレンガを積み上げていきます。
第一隧道進行表では、第三堀の後に穹窿工(きゅうりゅうこう)が施工されていますので、おそらく(上図1)と(上図2)を合わせて第一堀、(上図3)を第二堀、(上図4)を第三堀と表現しているものと思われます。
上はトンネルの掘削と巻き立ての順番を表すために描かれた図です。ベルギー式掘削は以下のバリエーションがあります。
下の表の「7が常に5より先なり」とは、上部のレンガ積みを完了してから、下半分を掘削する事を表しています。
工程表からは、1~4の掘削後、7の穹窿工(レンガ巻きのアーチ構造)を構築、5番を掘削して6番の側壁を構築、最後に8番を掘削し9番の底面レンガ張りを行ったようです。
(場所によっては側壁と穹窿の順番を前後させています。)
さて、それでは進行表を見ていきましょう。(以下有料記事となります。)
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