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河田小龍先生の琵琶湖疏水工事に関する絵図について

琵琶湖疏水工事の記録のため、北垣知事は前赴任地の高知県から、日本画家河田小龍を呼び寄せました。

人物描写がかなり”ゆるかわ”な感じで、ぱっと見くわしく描写しているように見えませんが、細部を見ていくとかなり正確に描写している事が分かります。

「琵琶湖疏水図誌」京の記憶アーカイブ

上は竪坑内のエレベーターの絵ですが、田辺朔郎の「琵琶湖疏水工事図譜」では下のように設計図があり、忠実に再現されている事が分かります。

カンテラも忠実に再現されています。
琵琶湖疏水工事での“日本初” | エピソード | 日本遺産 琵琶湖疏水(びわこそすい)

シャフト小屋内部

すごい観察力です。
人物はこんな↓なのに・・・

カワウソ!?
藤尾の疏水事務所の様子 這いつくばるようにして製図している事務員が印象的です。外で加工している細い棒は丁張り用の杭と思われます。左奥に見える人物は・・・

学生時代とは面持ちが異なりますが、田辺朔郎と思われます。右は嶋田道生でしょうか。何やら議論中の様子。

大学卒業時は幼さの残っていた田辺博士も疎水工事が終わる頃には、すっかり威厳を備えています。あれだけの難工事をやり遂げたのだから さもありなんという所ですね。
その後の博士 写真は「田辺朔郎博士60年史」より

河田小龍の絵は特徴を良く捉えています。
他の人物はこんな なのに、

真ん中の小山に丁張りの杭が残っている所にも確かな観察眼がうかがえます。
人物は かわいいのに、

河田小龍は、土佐藩時代ジョン万次郎の尋問を担当して仲良くなり、聞き取った西洋事情を「漂巽紀畧 ひょうそんきりゃく」に挿絵付きでまとめたりしており、技術的な物に関する知見も有していたのでしょう。(ジョン万次郎はアメリカの大学で測量・航海術・造船技術などを学び首席にもなったそうです。)上の丁張りの杭も、それが何を意味するか理解した上で絵にしているのでしょう。

第一トンネル西口?
シャフト小屋内の諸機械

眺めていると色々と発見があって面白いです。
京の記憶アーカイブで公開してくれていますので、皆さんも是非
資料詳細


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田辺朔郎について小説にまとめています。2~3時間で読める小品ですので、お暇な時にでもどーぞ。
【小説】「朔に穿つ」田辺朔郎の琵琶湖疏水記|鴨東|note 
※果たしてこれが小説なのかどうなのかは自分でも良く分からないです。

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