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かもがわ出版メルマガ2024年Vo.154
地球温暖化に起因する異常気象、拡大する経済活動に伴う環境汚染…。国連によるSDGs目標や温室効果ガス排出量の規制など、地球環境にようやく目が向けられ始めていますが、いまだ抜本的解決の道が見えない現状において、未来でその被害を引き受けるのはいまの子どもたちです。
11月初旬に弊社より刊行される『山里の生活実験 サステナブルな暮らしを見つける』の著者である丸山啓史さんは、京都教育大学准教授の職にあり、子どもの権利条約市民・NGOの会の共同代表も務めており、子どもたちの未来を明るいものにするために何かしなくては、という思いを人一倍強く抱いています。
そこで著者は、持続可能な暮らしとはどのようなものか、真剣に考えるようになりました。それも一人山で世捨て人のように暮らすというのではなく、職業をもち、子どもを含めた家族が営む暮らしとして。そして京都の大原の山里に移住して実際にそれを試してみることにしました。本書はその生活の様子、考えたことなどをまとめたものです。
本書は大きく2部に分かれています。
第1部では、山里に暮らすようになってからの様子が綴られています。
テレビ、冷蔵庫、洗濯機を含む多くの電化製品と決別し、薪を使い、ニワトリを飼い、畑を耕す。サステナブルな暮らしをするためにどれだけのものをそぎ落とせるか、その結果暮らしがどのようになったのか、まさに生活実験と呼ぶにふさわしい内容になっています。
第2部は、なぜこうした生活実験をおこなっているのかについての解説と持続可能な社会の実現に向けた考察です。ただ自然に囲まれてのんびり暮らしたいから田舎に移住するというわけではない、研究者らしいロジカルで明確な動機がその生活のベースになっていることがよくわかります。
とはいえストイックなだけの内容ではありません。その中には確かな喜びや地域住民との交流などがあり、里山暮らしに憧れる人にも楽しく読んでいただける内容になっています。
また、いまの世界の状況に危機感をおぼえ、持続可能な生活をどう実現していけばいいのか、と考えている人に解決の糸口を提示する内容にもなっています。
現代においては、どこまで突き詰めても自給自足の暮らしは不可能です。畑を耕す鍬も薪をつくる鉈も車の代わりとなる自転車も自分ひとりで作ることはできません。出来る事と出来ない事、その境目で逡巡しながら構築する生活は、結局は昔ながらの懐かしい暮らしとシンクロしていくのだ、ということが本書を読むと見えてきます。著者はそれを「懐かしく新しい未来」と言います。
あとがきの最後で著者はこう言っています。
『真に持続可能な「懐かしい未来」に向けて、同志が増え、同志の交流が広がることを願っています。』 同志になられる方いらっしゃいませんか?
なお12月8日には、京都の京エコロジーセンターにて、本書刊行記念イベントとして著者と紀南の山里で農園を営みつつサステナブルな生活を実践している春原麻子さんによるトークセッションがございます。オンラインでの参加も可能なので、ご興味のある方は、詳細をご参照ください。
【新刊案内】
●京都の山あいで家族とともに挑戦する
『山里の生活実験』
丸山 啓史 本体価格2,000円
電気やプラスチック製品を極力使わない暮らしとは。いち研究者が家族とともに挑む「本当のサステナビリティ」を追求する生活実験。
●安倍・菅・岸田内閣の問題点を、憲法の視点から解説
『改訂版 檻を壊すライオン』
楾 大樹 本体価格1,800円
憲法の制約を無視して暴走する政治を時事問題で解説し、憲法の役割を学ぶ。岸田政権下の事例を大幅加筆した改訂版。
●医療から診断する驚きの警世エッセイ集
『地域をつむぐ、いのちの連鎖』
色平 哲郎 本体価格1,800円
世界放浪後、農村医療一筋の異色の医師による、医療から診断する警世エッセイ集。生命と地球環境、人道と民主主義、戦争と平和まで。
●次世代へ手渡したい「本の楽しさ」について綴ります
『海外児童文学をめぐる冒険』
越高 綾乃 本体価格1,600円
英米文学研究者・吉田新一の横顔をご紹介するとともに、次世代へ手渡したい「本の楽しさ」について綴ります。エッセイ第3弾。
●ツリーハウスの魅力を伝えるエッセイ
『我がシゴト、ツリーハウスビルダー』
木村 勝一 本体価格1,800円
まわり道の末に辿り着いたツリーハウスビルダーというシゴト。好きなことを見つけるまでの足跡とツリーハウスの魅力を伝えるエッセイ。
●新しい歴史観で歴史を捉え直す
『日本通史』
小路田 泰直 本体価格2,000円
網野善彦以来34年ぶりに日本史学者が一人で通史を著した。『記紀』を否定した津田史学も超克する歴史観にあふれた久々の著作である。
●あなたの園の保育計画、見直してみませんか?
『どうする?どう書く?保育計画』
九州合研常任委員会 本体価格900円
「不適切な保育」が報道される時代、子どもの思いを捉え、保育者が願う保育実践をみんなで共有するための「保育計画」作りのすすめ。
●女たちよ、黙らないでー。
『寿岳章子 女とことばと憲法と』
遠藤 織枝 本体価格2,500円
日本語のなかの女性の言葉からジェンダー問題を初めて研究した国語学者・寿岳章子。発見された若き日の日記からその素顔に迫る。
●戦地を取材したありのままを、写真100余枚を加えて綴る
『イスラエル、ウクライナ、アフガン戦地ルポ』
西谷 文和 本体価格1,600円
戦地取材のルポを写真100枚余を加えて綴る。和解には武器を捨てて話し合う以外にない。日本の平和憲法を活かす外交が求められている。
【重版案内】
●学童保育指導員のしごとってなんだろう?
『学童保育指導員になる、ということ。』
田中 一将・鈴木 瞬・中山 芳一 本体価格1,800円
辛学童保育が増えるなかで、放課後児童支援員の仕事が問われている。一人の指導員の20年のあゆみから、求められる指導員像を模索する。
●未来を生きる若者らしい人生を選択しましょう!
『高校生からわかる日本経済』
金子 勝 本体価格1,700円
日本経済衰退の原因は教科書では分からない。不連続的に変わる歴史の中で、どんな社会を創るのか、若者に分かりやすく問いかける。
●漢字が覚えられない、書けないのはなぜ?
『漢字イラストカード2年生(下)』
山田 充 本体価格2,800円
漢字の形・読み方・意味をうまく関連づけられない子どももイラストとゲーム形式で習得できる2年生の漢字160字の後半。解説書付。
【総合ランキング】
●保育・教育書 第1位
●特別支援教育のワーク教材
『SSTワークシート自己認知・コミュニケーションスキル編』
LD発達相談センターかながわ 本体価格1,500円
社会性の課題を抱える幼児から中学生くらいまでを対象にしたSSTワーク。子どもの相談からできたオリジナルな内容。コピーしてすぐ使える。
●人文・社会 第1位
●未来を生きる若者らしい人生を選択しましょう!
『高校生からわかる日本経済』
金子 勝 本体価格1,700円
日本経済衰退の原因は教科書では分からない。不連続的に変わる歴史の中で、どんな社会を創るのか、若者に分かりやすく問いかける。
【編集より】
このたび、『檻の中のライオン』シリーズの新たな一冊として、『改訂版 檻を壊すライオンー安倍・菅・岸田政権で学ぶ憲法ー』を刊行します。
2016年に刊行した『檻の中のライオン』は、憲法を「檻」、権力を「ライオン」にたとえ、親しみやすい憲法入門書としてシリーズ累計5万5000部を超え、著者の楾先生が各地で行っている講演会も1,000回以上開催されるなど、幅広い反響をいただいています。
この『改訂版 檻を壊すライオン』は、前作の内容に加え、安倍・菅・岸田各政権における時事問題も加筆した一冊です。自民党政権がいかに憲法という「檻」をかいくぐり、好き放題しているのかを、憲法と時事問題を突き合わせながら紹介する内容です。
解散総選挙を目前に緊急出版することになった本書。9月に著者から原稿をいただき、約1ヶ月で出来というスピードで完成させました。
憲法を守らない政権を正すには、国民がお灸をすえる以外に方法はありません。総選挙の結果がどうなっているのか、このメルマガを書いている現在(10月25日)はまだわかりませんが、よい方向に向かっているのを願っています。