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かもがわ出版メルマガ2025年Vo.157

ロシアの軍事・安全保障政策を専門とし、ウクライナ戦争を機に世間に注目される論客となった小泉悠氏は、左翼の両親の下で日本国憲法の価値を大切なものと思って育ちますが、同時に軍事力の必要性を確信するようになり軍事研究家への道を選びます。「憲法大好き」の変わらない信念と右寄り読者の間で葛藤しつつも、憲法九条が日本の平和と安全のために果たしてきた役割を踏まえ、護憲派にも安全保障を全否定するのではなく、憲法が大事だからこそ考えるべき安全保障政策があることをロシア、ウクライナ、北朝鮮などの現状を交えて問題提起します。
こちらが2月に刊行される『小泉悠が護憲派と語り合う安全保障』の概要です。
似たような本は他にもあるかもしれませんが、この本が他と違う(と個人的に思う)のは、本書が九条の会主催の講演対話集会をもとに作られている点です。
「平和憲法は尊重するが九条第二項は改正すべき」という立場の著者が、護憲バリバリな人々との対話を通して本書は作られています。
 
押しつけVS誇り、平和一辺倒VS軍事一辺倒、お花畑VS戦争好きetc…  
平和憲法や安全保障についての対立は深刻です。でも意見が違うことと相手を憎むことは明確に切り分けなければなりません。
そもそも日本の平和を維持するという目的は同じはずで、それぞれの信念によってアプローチが違うだけです。そしてどちらのアプローチにも、一長一短があります。
安全保障政策は、その両極にあるアプローチの間のどこかに点を打つ作業です。しかし現状では、絶対的に正しい安全保障政策は存在しません。「ここ」という明確なポイントがないのに点を打たなければならないのであれば、そこには哲学と覚悟が必要になります。
「日本がどんな国でありたいのか」という哲学と「そのためにどんなリスクをどこまで受け入れるのか」という覚悟です。
 
軍事的大国というのは少なからず暴力性と独善性をもち、中国、ロシアはもとよりアメリカも全面的に信用できる国ではありません。
軍事大国でない日本はそのなかでどうしていくべきか?
不完全であれ建て前であれ、現在まで培われてきた国際秩序を維持するために努力するしかないのだと著者は言います。 
軍事研究家である著者の世界と日本の安全保障をめぐる現状分析はリアルです。幻想や、根拠のない期待は一切ありません。
そのリアリストは日本の進むべき道について本書の中でこんな風に形容しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
今ある秩序は欠陥も多いし、欺瞞も多いし、あばら家みたいなものなのだけれども、あばら家を取り払った後にもっといい家ができる見込みが今のところない。あるいは、あばら家を取り払って野原で暮らすのがいいのだと言う人もいるのだけれども、私は到底それがいいとは思えないのです。何とかあばら家がまだ建っているうちは、これを補修しながら使っていくしかない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
リアルですね…。
でも読んでみたいと思いませんか?

本書の内容について著者にインタビューした動画が、発売日である2月5日より「本チャンネル」というyoutubeチャンネルで公開されます。
ご興味ある方は、下記サイトをご参照ください。
本チャンネルを紹介

【新刊案内】

●WE LOVE CONSTITUTION OF JAPAN?
『小泉悠が護憲派と語り合う安全保障』
小泉 悠 本体価格1,400円
左翼の両親と右寄りの読者との間で日本国憲法と安全保障の矛盾を乗り越えようと努力した著者の葛藤と模索の結論がここに提示される。

●不登校の小中学生 過去最多34万人
『学校に合わない子どもと親が元気になる77の知恵』
古山 明男 本体価格1,600円
不登校に悩む保護者への励ましの言葉。「学校に行きたくない」という子どもの思いを受けとめ、カタチにとらわれない学びを提唱する。

●戦後最大の転換期に「食と農」を語る
『未来への選択』
宮本 憲一・宮本背広ゼミナール 本体価格1,400円
日本の公害・環境・都市問題の研究を切り開いてきた著者。94歳のいま、語りおく2つの講演を収録。戦後最大の転換期に「食と農」を語る。

●ティンガティンガ・アートでたのしむアフリカのむかしばなし
『なぜなぜばなし どうぶつ村の井戸』
島岡 由美子・ヤフィドゥ 本体価格1,800円
読んでもらっても、自分で読んでもたのしいよ! むかしばなしで異文化にふれよう! アフリカのなぜなぜばなし3話収録。

●なぜ日本では外交が語られないのか?
『戦争を回避する「新しい外交」を切り拓く』
新外交イニシアティブ(ND)・猿田 佐世・巖谷 陽次郎 本体価格1,800円
なぜ日本では外交が語られないのか?「台湾有事」など軍拡競争は戦争を招く。新外交イニシアティブ10年間の「新しい外交」に基づく、平和日本の指針と展望。

●「死刑制度」について考えると見えてくるものとは
『中高生から考える死刑制度』
佐藤 大介 本体価格1,800円
「死刑のある国」で暮らす私たちは「死刑制度」について、はたしてどのくらい知っているだろう? 私たちには関係のないことだろうか?

●住民は避難さえ不可能だ
『能登と原発』
児玉 一八 本体価格2,200円
志賀原発計画時点から金沢に在住し原発の危険性と事故防止措置等を指摘してきた著者が震災で露わになった問題を解明し対策を提言する。

●共生について考える物語絵本
『キリムの魔法のティーカップ』
桐山 エツコ・ながわよしこ 本体価格1,900円
共生について考える物語絵本。インターナショナルスクールの生徒たちが各々のティーカップに書かれたキリム柄の意味に想いを馳せていく。

●小学生がはじめて地学にふれるきっかけづくりに
『どうやってできたの?日本の変な地形』
松本 穂高 本体価格3,000円
阿蘇カルデラ、北海道の野付半島、富山県の称名滝など、日本の「変」な地形を成り立ちとともに紹介。その土地の産業、文化もわかる!

●本の刊行を理由に共産党から除名され東京地裁に提訴した
『共産党除名撤回裁判の記録Ⅱ』
松竹 伸幸 本体価格1,800円
本の刊行を理由に共産党から除名され東京地裁に提訴した著者が、最高裁で勝利するまで毎週、記録として配信しているメルマガの第2集。

●特集・放課後世界の変容と現代の学童保育
『学童保育研究 第25号』
一般社団法人日本学童保育士協会 本体価格1,500円
ネット、ゲーム、塾や習い事など、変化する子どもの放課後世界。多様な支援の現場とともに学童保育と子どもの関係性を探ります。

●日本初!専門職として学童保育にかかわる人のためのダイアリー
『放課後児童支援員手帳2025』
学童保育ラボ 本体価格900円
日本の子育てに不可欠の存在となった学童保育(放課後児童クラブ)。15万人を超える職員の仕事に役立つ4月始まりのダイアリー。


【総合ランキング】

保育・教育書 第1位
●特別支援教育のワーク教材
『SSTワークシート自己認知・コミュニケーションスキル編』
LD発達相談センターかながわ 本体価格1,500円
社会性の課題を抱える幼児から中学生くらいまでを対象にしたSSTワーク。子どもの相談からできたオリジナルな内容。コピーしてすぐ使える。

人文・社会 第1位
●安倍・菅・岸田内閣の問題点を、憲法の視点から解説
『改訂版 檻を壊すライオン』
楾 大樹 本体価格1,800円
憲法の制約を無視して暴走する政治を時事問題で解説し、憲法の役割を学ぶ。岸田政権下の事例を大幅加筆した改訂版。

【編集より】

わが子の不登校に悩む親御さんへ―
古山明男さんが語る「子どもも、親も、楽になる言葉」77選
『学校に合わない子どもと親が元気になる77の知恵』
 
昨年10月、不登校の小中学生が過去最多となる34万人と発表されました。この現実を前に、「親としてどうすればいいのか?」「無理にでも登校させたほうがいいのか?」と、悩みを抱える保護者やご家族は少なくありません。
本書の著者・古山明男さんは、長年にわたり、不登校の子どもたちを支えるフリースクールを主催してきました。2024年放送のNHKスペシャル「“学校”のみらい 不登校30万人から考える」では、古山さんが主催するフリースクールが取り上げられ、子どもたちの立場によりそった貴重なコメントが注目を集めました。
本書は、古山さんが信濃毎日新聞で20年以上にわたり連載して好評を博したコラムを1冊にまとめたものです(第1章は、不登校が増加している状況を背景に、最新の情報を加えた書き下ろし)。もくじには、保護者とともに悩み考え続けてきた中で生まれた「子どもも、親も、楽になる言葉」77フレーズが並びました。結論を急ぐのではなく、心のあり方を優しく説く内容に、安心感を得る読者は多いでしょう。
本書は持ち運びやすい小型版サイズで、日常生活の中でも手軽に読み進められるのが特徴です。さらに、かもがわ出版公式サイトでご購入いただいた方には、著者からのメッセージカード&ノベルティシールをプレゼント!送料無料で、カード決済も可能です。先着50名様限定となっておりますので、ぜひお早めにお申し込みください。

『刊行記念オンラインイベントのお知らせ』
本書の刊行を記念して、ホームスクーラーのお子さんたちを育てる塚崎かおりさんを聞き手にお迎えし、トークイベントを開催いたします。子どもたちの未来をご一緒に考えましょう。
日時:3月15日(土)14:00~16:00