★東京弾丸旅行①〜藝祭に行きたくて〜
「青春18切符あと1回残ってるなぁ、どっか行きたいなぁ」
これは、夏休みが終わったにも関わらず消費目的で鳥取にでも(なぜ…)行こうかと考えていた矢先の会話。
親「東京藝大で文化祭やってるらしいね」
私「(勉強せずtwitter見てたから知ってて)らしいね〜。まぁでも東京遠いし学校あるし…」
親「休んだらいいじゃん(笑顔)」
私「!?…行くか(この間0.5秒)。」
月曜日は家庭科で、 きゅうりを切る💢テスト💢とかいう💢理不尽な💢授業 があったこともあり、即断。
※もちろん別日にちゃんとテストやります。
p.s.きゅうりのテスト、次回であったことが判明。→to be continued.
藝祭最終日に新幹線に乗って東京に向かい(約一ヶ月ぶり二回目)、翌日18切符で帰宅するという弾丸旅行を刊行することになった。
ごめんな、鳥取。
文理選択の予備調査が休む日に提出締め切り(私は現在未提出)らしいが郵送してしまおう。
私は進路とか悩みまくるタイプの人なので、文理選択も迷う体制に入っていたわけだ。
だが、広範囲で活躍し、輝く高校生の話を聞いたり、海外での制度を調べたりするほど悩むのがちっぽけに思えてきてしまった。
やっぱり慎重に決めるべきなのかもしれないが、どれだけ悩んでも後悔はするだろうし。
高一の時点では理系教科がかなり平易であることは百も承知。そして私は算数も数学もそこまで得意ではない。
しかし、海外大経由で研究者を目指すことを見据えれば日本の高校の理系教育を履修しておくと役立つこともあるのではないかと考えたのでまずは理系にした。
p.s.「平易」←これ「へいえき」じゃないの!?
なんか打っても変換出てこないんだが💢
「へいい」でした。昨日「へいえき」って言ってしまった。恥ずかし。
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はい。というわけで新大阪始発の新幹線で席を確保した今、藝祭のHPとtwitterを一通り眺め終わりました。
私が東京藝大を知ったのは多分中2の時。
ブルーピリオドというYOASOBIの「群青」の原作となった漫画がありまして(周知∩既知)。
絵に突然目覚めた私は安直にもこのアニメを家族で見まくっていて、その後もなんやかんやで興味は絶えなかった。
藝大といえば、先日美術の授業で先生が「後ろにあるのは私がげいだいの工芸で作ったやつなんだけどね〜」と発言。
だいたいの美術系大学は〇〇美術大学という名称故に(例外あり)、「げいだい」は慣用的に「東京藝大」唯一つを示すことがあるそうだ。
結局どうなのかはわからないが、藝大卒(中退かも)の先生にしてはまともすぎるような…?
なんの話だっけ。そうだ、藝大のHPとかの話だった。
全く内容がわからんグループや屋台の名。
かっこいいキービジュアル。
画面越しに映る祭りの断片。
とにかくワクワクする。
ところで、これ買えるらしい。
いやいや、かっこいいけど流石に着る機会ないやろと思う自分とかっこいいから買うべきだと強く主張する自分が頭の中でコンフリクト。
誰か止めてくれええええええ!!
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上野東京ラインに乗って帰宅(横浜の祖母の家へ)中。
藝大、やっぱりすごかった。
東大の駒場キャンパスと本郷キャンパスを間違えた(失敬)ことのある私は、念入りに藝祭の会場が上野キャンパスであることを確認していた。
最寄り駅の上野駅から藝大までの間にある上野公園を歩いていると、
こんなかんじで藝大生及び藝大卒業生のマーケットがたくさん並んでいた。
HPから藝祭はキャンパス外も会場になることは知っていたが、まさかここまで藝大勢力が拡大しているとは。
風邪気味で歩くのがしんどかった私は行けなかったが、どうやら藝大生が一夏をかけて作り上げた神輿が上野の街を練り歩くイベントもあったそうだ。
ちょっと早くから開いている店を覗きながらキャンパスに向けて歩いた。
骨格、生態、スケールと様々なものが描き込まれているから見ていて飽きない。
設定画好きの私のような人が見たら悶絶すること必至である。
こちらはさっきのお店の向い合せにあったお店。
twitterで見たことがあったが、藝大なのは知らなかった。
「トリケラトプスくん」は大人気で、早朝すぐに売り切れていた模様。
白の磁気みたいな素材に金がここまで映えるのか。
私はそんなにお金がないので何も買わなかったが、二皿ぐらい購入のおじさんは敬礼してから去っていった。
藝大は本当にリスペクトの対象になる。
東京藝大パワーかはわからないが、上野の公共施設は妙におしゃれである。
遂にキャンパスに到着。
入口付近で四つの芸大神輿のうちの一つである「朱雀」に遭遇。
後で知ったが4チームの神輿は学長賞を始めとする様々なコンテストにかけられるそうだ。
藝祭と協力体制をとっている上野商店街:通称「六商会(かっこいい!!)」賞をとったのがこの「朱雀」。
この日上野の街を回ると言われていたのはこいつだったのか。
色彩美・造形美・機能美(発泡なのに上に2人ぐらい乗れるらしい)を兼ね備えた姿に感動。
朝はあんまりやることがなかったので(そんなことなかったと後で知る)食堂を偵察しておいた。
おしゃれなメニュー(当社比)が並んでいるが価格は学食にしては若干値段がお高いような気がする。
これは美校(美術系の科が集まってる校舎)の方だが、音校の食堂のほうがおいしいらしい。
流石に何か作品見たいな〜と思って彫刻科の有志展示コーナーへ。
作品に使われている、いや、作品によって支えられているのは実際の鳥の骨である。
多分サイゼリヤの辛味チキンのやつだと思う(絶対違う)。
じっくり見ていると作品の内側に「左太もも」の文字が。
…一羽丸ごと解剖したのだろうか?
そして、少し離れてこの角度から見ると人間の下半身っぽいような…?
怖いけどなぜか見てしまう。そんな作品だった。
また、「作品に隠し要素を入れるべきなのか?」という論題について考える機会にもなった。
作品の内部=見えにくいところに細工をしておく。
これは言わばゲームにおける隠し通路・スポットのようなものである。
じっくりと眺める鑑賞者にのみ楽しめる味。
もちろん、見る側の私たちはこういうのを見つけると嬉しくなる。
ゼルダでストーリーと関係ない場所を探索していて宝箱を見つけた時とかも同様に嬉しい。
だが、一方で美術館で見るような作品では”露骨な”隠し要素はあまりないような気がする。
やはり隠し要素があると、それを見つけるのが鑑賞における到達点となってしまい、そこで思考が停止してしまうような気がする。
もちろんそんなレベルの高い鑑賞は難しいし、隠し要素は表現の一環ともなるのだが…
考えさせられるテーマだ。
作品の中にはキャプションの横にQRコードがついている場合も多い。
twitterとInstagramどっちもか、Instagramのみの人が多かった気がする。twitterのみ派はいなかった…
Instagramアンチやめようかな(迎合)。
近くにある絵画科の棟へ移動する。
ここであの20倍(油画。化物。)とか12倍(日本画。行きたい。)の入試を突破した生徒たちが学んでいるということで。
実際の校舎にどんどん入っていけるのも藝祭の大きな魅力だ。
残りの神輿も見るために音校へ移動。
京大的なデコレーション()かと思ったがちゃんと動いた。見たところいじられてる像などはなかったのでリスペクトが現存しているようだ。
どれも超ディテールが細かく、藝大生の技術力とデザイン力を思い知らされる。
今年の4基(数助詞あってるかわかんない)の中では、「バク」が一番気にいった。
シワが入った顔の躍動感がすごい。
一方で、後ろの建物的な部分に本物のちょうちんを使ったり、夢がテーマだからシャボン玉のような素材も使ったりで発想が全部形になっている感じがする。
ちなみに学長賞は奥にある閻魔大王だったらしい。全部かっこいい。
お腹が空いてきたが、藝大グッズに加えて露店で何かを買うとなると出費が恐ろしいことになる。
断念してコンビニに行こうと思ったが…
一旦キャンパスを出て、賑やかになってきたアートマーケットを見ながら上野駅のコンビニに向かった。
途中で寄った生協っぽいお店で、
もしかしたら芸大受験を決意するかもしれない
未来の自分のためにクリアファイルを購入(意味不明)。
これ持って出店エリア歩いたら受験生詐欺できます。
藝大でもスーパーボールすくいやるのか〜
と思っていたが、これロウなんです!!
面白いなぁ。
上野駅は高低差がすごい割に通り抜けルートが少ないので、ちょっと道を間違えるとかなりの遠回りになってしまう。
これは風邪気味の体に応えた。
刺激が多すぎて慢性的に写真不足で残念だが、帰りには藝大山岳部のブースにも寄った。
藝大が70年近く保有し、創作活動の場の一つとなっている「黒沢ヒュッテ」を拠点としているらしい。
とても気さくで良い人たちだった。
黒沢ヒュッテTシャツを購入。
このあとはステージを見に行ったが、すぐに総合展示的なコーナーに移動。
勢いよく描かれた鳥が中央で目立つ一方で、目立たないやり方で細かい細工をしている…たまらない。こういうおしゃれな作品作りができるようになりたい。
この展示コーナーは他に際立ってカオスだった。
さっきの絵があったかと思えば、その奥で寝ている藝大生二人。
説明書きを読んでもわかったようなわからなかったような。
これが芸術か(思考停止)。
揺らぎとかを表現したくてベタをモチーフにした的な解説がついてた気がする。そういう順番で制作動機ができるのか…
ヒレ全体が真珠のように軽く反射していて美しい。支え方も相当考えたのではないだろうか。
人混みが増してきて、自分がどこにいるのかよくわからないまま漂流しているうちに「藝大の森」みたいなコーナーに到着。
藝大は実際に行ってみた感じ、ロケーションも最高である。
上野駅徒歩10分以内であり、近くには国立美術館や東京都美術館。上野動物園も無料で入れるし、上野公園は東京都心の貴重な緑だ。
色々な意味で最高の環境が整っていると言っていいだろう。
自然から作った絵の具や画材は何とも言えない魅力がある。人工物よりに感じるが、その最たるものが岩絵の具になるのかもしれない。あの独特の表面仕上がりは憧れる。
土はかなり異なると思うが、どんな出来になるのだろうか。
自分も自然素材から(自分で作った)絵を描いてみたい。
私も藝大は美術のトップ大学というイメージしかなかったので意外だったが、こういった企画を行う藝大生もいる。
学科で言えばどこになるのだろうか。
撮り忘れたが、古めのテレビで上映されている大作アニメもとても面白かった。
抵抗が少ない美しい曲線とかではなく、単純に窓と列車の壁の模様に注目してパターンにするとは…
私は名前に「鴨」が入っているのでかわいい鴨が見れて嬉しかった。竜は作者の方が辰年生まれだからだそう。手前のはパイナップルだろうか?
描くものが結構バラバラなのにも関わらず、この布による表現によって包みこまれている。
このコーナーを回ってるとき、おそらく展示している藝大生であろう人の解説を盗み聞きできて楽しかった。
藝祭の展示は校内倍率が意外と高く、選考があるらしい。その選考の場では良い評価で通った作品は理解しにくいものが多いのか、一般客に評判が良いのは下位入選のものが多い傾向にあるそうだ。
その人が藝大生かも不明なので定かではないが。
芸術以外の分野でもそうだろうが、やはりその分野をある程度極めた人たちと一般の人の間には趣味や感性のギャップがある。
大衆に合わせた結果自分が描きたいものが描けなくなったという話もよく聞く。
芸術において無知な大衆の意見は邪魔なものかもしれない。
しかし、現代ではそれぞれの分野が細分化した上で深められていき、潮干狩りの時期の干潟のようになっているような気がする。
勉強しないと、あるいは時間をかけないとその分野の面白さがわからないと言うことがよくあるのではないだろうか。
名声と自己満足のジレンマとも言うべきか。
これは非常に悩ましいが、裏を返せばどんな分野でも熱意があって取り組んでいたら面白さがわかるということにもなるかもしれない。
人も多くて疲れたので飲み物を確保しに一度外へ(結局売り切れで買えなかったけど)。
通ってたら飽きるだろうけど、校舎の間を歩くのも結構楽しかった。
最後の方は絵画科の展示コーナーへ。
かなり人が多くて混雑していたので朝行けばよかったなと後悔…
疲れもあり、日本画の展示を三部屋分くらいだけ見た。
今まであんまり日本画を見たことはなかったし、そこかで興味があったわけでもないが、今回の展示をきっかけに油絵よりも好きになった。
この独特の発色とざらついた感じの表面が最高。
この象は上野動物園の象なのだろうか…床をチェス板のような模様にした理由が気になる。
東京藝大の近くにある国立博物館にある、通称「黒門」を描いた作品。
東京大学の「赤門」と並び称されるらしい(あとで知った)。
黄緑の光が怪しくさす一方で全体的に紫色がかった怪しい雰囲気で惹きつけられ、妥協なく描き込まれた瓦には狂気すら感じる。
写真を見たら、黒門自体もかなりかっこ良かったもののこの作品はその魅力の一部分を突出させたような魅力があると思う。
黒門を見損ねたのが悔やまれる。
帰り際の廊下でこんなのも見かけた。
やはり藝大生ともなるとこういうメリットもあるようだ。上野動物園入り放題もちょっとうらやましい。
PIGMENT東京からもオファーが来ているのにはたまげた。すげぇ。
もっと絵画コーナー(特に油画)を回りたかったが、体力的に諦めて上野駅に戻ろうとした。
もう何も買ったりせず直進するつもりだった。
ほんとに。
おそらく訳あり+学割で3000円まで値段が下がっていたことと藝大生手作りのかっこいい法被ということが原因なのだろう。申し訳ないが着る機会も勇気もないので部屋に飾らせてもらう。これだけで部屋が100倍いかつくなったのは間違いない。
藝祭、行った甲斐あった。とても刺激的な時間を過ごさせてもらったことに感謝したい。
また、こんな長い記事を読んでくださった方も、ありがとうございました。