加茂自然農園 とくちゃんの自己紹介④

「お茶の木の声」

さて、農薬も肥料も使わないお茶づくりに切り替える事になるきっかけを書いてきましたが、もうひとつ大きなきっかけがありました。
これは何だか不思議な体験でもあるのです。

先の投稿でも書いたように、以前は農薬も使用していて、雑草を枯らせる除草剤も使っていました。
慣行農法を学び、雑草は生やしてはいけないとの教えを、割りと忠実に実践していたわけですね。
僕は結構性格が極端なもので、ダメだと分かったら徹底的にやるタイプです。
草を生やしてはいけないと徹底的にやったものですが、やればやるほど、草を除けば除くほど、土はかたく痩せていきました。

肥料についてももちろん必要なものだと教わっていました。しっかりあげていました。お茶は特に肥料をたくさんあげます。ところが、確かに肥料は効くんですが、どうも元気がないように感じます。
僕は小さい頃からお茶畑を見て育っています。あの頃に見ていたお茶の木よりも元気が無いような、しんどそうにしているような気がしていました。
今なら、必要な要素であっても、安易に与えることは長期的には自分で生きる力を奪ってしまうことは分かりますが、当時の自分には全然分かっていなかったのです。

お茶を継いでしばらくして、奇跡のリンゴという木村秋則さんの本に出会います。これはもう感銘を受けまして、すごく感動したし、やりたかった思いはあったんですが、当時の自分はなかなか行動に移せない人間で、自分には無理かなと蓋をしていたのでした。

そうしていくうちに、慢性中毒で体を壊し、トレーニングや身体操法を学び、変化して行く中で、体には自分で治す力が備わってるんだなぁと体を通して実感します。
この頃、何だか元気が無いような、しんどそうにしているような気がしていたお茶の木が「助けてくれ」と訴えかけているような気がしていました。もちろん、僕は植物の声が聴けるような能力はありませんし、はっきりと声として聞こえたわけでもありません。
でも、ずっと訴えかけられているように感じていました。しかしまだ蓋をして見えないふりをしている自分でありました。

そうして色んなきっかけが重なる頃、子どもが生まれ、自分が安全と教わり、信じてきたものがどういうものだったかを知り、環境や子どもへの影響やあらゆる事の繋がりを知った時に、もう加担するのは嫌だと強く思ったと同時に、お茶の木の「助けてくれ」と訴えかけている声も無視することが出来なくなっていました。
そこで、180度方向を転換するように、農薬も肥料も使わないお茶づくりに切り替えたのでありました。
そう。私、極端なのです。

ちなみに今はお茶の木の声は全然聞こえません。そんな特殊な能力はありません。まぁ何も便りがないのは元気な証拠なのかなと思っております。

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