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9月の短歌まとめ

9月に詠んだ短歌のまとめです。
お題は『単語で短歌』@tango_de_tanka さんからお借りしました。

9月8日  青
仰ぎ見る青の果てをも知りたくて辿り着いたは漆黒の宿

9月9日  春
雪のした温む風を待っていた肉とけおちて白となっても

9月10日  バイク  
あの峠テールランプをくねらせて走るか枯れた花束散らし

9月11日  命
横たわる胸に差し込むひだまりが染みてあなたをあたためるよう

9月12日  化粧
燃やせない一緒にいけない最期でもひいてお別れこのルージュココ

9月13日  髪
前をゆく風にたなびき頬なぞるチャンスの神も呆れる臆病

9月14日  神
「お願いですどうか神様」得意技ド忘れだってお手の物

9月15日  猫
お願いもごめんもいつもその声で仕方ないなもいつものことで

9月16日  泡
泡となり消えるもんかよ手ずからに終わらせるまで終わらないから

9月17日  ふわふわ
首絞める真綿を逃れ飛び出せば裸足に掴む石のかたさよ

9月18日  眼鏡
あなかなしあばたもえくぼ色めがね一視同仁かけ忘れては

9月19日  終電
眠りゆく途絶えたまちの片隅を眺むるは星ならず街灯

9月20日  パフェ
てっぺんのサクランボから食べるひとでしたあなたはもういないけど

9月21日  叫び
枯れて尚とどかぬ声は花になり舞う燕の背すら覆うもの

9月22日  好き
裏返るスキは嫌いに憎くなり早くなりたい無関心とも

9月23日  パスタ
真ん中で折ってレンジでつくるひと〆はこれだと言い笑うひと

9月24日  怪我
幾重にも隠した裂け目抱き歩く足跡は赤塞がりもせず

9月25日  シール
剥げたあと撫でても色は忘れても思い出だけはかすれもせずに

9月26日  推し
額縁に入れたまんまの肖像画歌って踊り笑うの忘れ

9月27日  カクテル
あの晩にのんだ名前は忘れても色と酔いだけ忘れなくても

9月28日  読書
降りしきる葉を積み沈む身の底に波紋も絶えて凪呼ぶ文字を

9月29日  戦争
血肉絶え骨砕かれて涙なくただ継げよ平和と命をと

9月30日  犬
手に残る毛並みと息の湿りけが越えられぬ夜の伴いだったか


相変わらず、直球なものだったり、対人だったりする歌ばかりだなあと感じます。もう少しひねったものや、キーワードから想起されるものをよんでみたいですね。

今月の自薦三首はこちら。

【春】 雪のした温む風を待っていた肉とけおちて白となっても
【叫び】枯れて尚とどかぬ声は花になり舞う燕の背すら覆うもの
【戦争】血肉絶え骨砕かれて涙なくただ継げよ平和と命をと

二首目は朝ドラ『虎に翼』に寄せて。三首目は1年継続してしまった2023年パレスチナ・イスラエル戦争に寄せて。STOP GENOCIDE、FREE PALESTINE!

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