子宮頸がんのおはなし
子宮頸がんってどれぐらいの人がなるのか。
子宮頸がんは、一生のうちに74人に1人が診断される。
日本において、年間一万人が子宮頸がんに罹患し、約2900人の命を奪う。
子宮頸がんは、初期にはほぼ症状がなく気づけない。早めに気づくためには、定期的に検診に行くことが大切。不正出血や帯下の増加に気付いたときは進行している可能性もある。
原因は。
HPV(ヒトパピローマウイルス)の持続感染が発症の誘因となりやすい。このウイルスは150種以上の型があり、そのうち15種類程度が高リスク型と言われるが、ほとんどの感染は自然に軽快する。しかし排除がうまくいかず、子宮頸部にウイルスが残り続けると、がん細胞へ進行する可能性がある。HPVは、性交渉の経験がある女性の80%以上が、50歳までに感染を経験するといわれており、若い世代の感染率が高いと言われている。
若いうちから、検診やワクチンが推奨されるのはそのため。
HPVワクチンの接種が積極的に推奨されなくなった理由。
2013年に子宮頸がんワクチンは定期接種(国と地方公共団体が費用負担)になった。しかし、副反応を訴える人たちが出てきたことから、積極的な推奨(接種年齢の人がいる世帯にワクチン接種の予防票等書類が送付され、接種を促すこと)は中止に。
積極的な推奨をやめるということは、国が積極的におすすめしていないということ。しかし、病気の重大さを考えて、小児科医や産婦人科医からは「受けてくださいね」と勧められる。
極端に解釈すれば、
「今は接種を受けるよう努力する義務は止めています。しっかりとご家族で判断されて、受けたくなければ、受けなくても構いません。それであなたのお子さんが子宮頸がんにかかりやすくなっても、自己責任ですから納得してくださいね。国に責任はありませんから。」さらには「受けたい人は今まで通り受けてください。原則無料ですし、万が一、予防接種によって健康被害が起こっても、手厚い救済措置もそのままにしていますから、安心してください。」ということ。
積極的な接種の推奨は、国からはされていないが…
2016年4月には日本小児科学会や日本産婦人科学会からワクチンの積極的な接種が推奨されている。これは、子宮頸がんへの有用性が示されたこと、有害事象(副作用等)に関して、ワクチン接種者と、一般集団で差がみられないことが示されたこと、有害事象の発生時も含めた社会としての十分な接種体制が整ってきたから。
国から、ワクチンの積極的な推奨はなくなったけど、専門医たちからは積極的な接種が推奨されている!でも、世間的にはワクチンによる副反応のイメージが強くて、そんな話が出ることもない…
そのほかの問題点…
○値段的な問題として、1回に15000円程度(自費接種)かかり、3回打つ必要がある。公費助成が受けられる年齢でなければ、とりあえず打っておこうとはならない。(助成の範囲は市町村で少し異なります。)
○HPVの既感染者に対する治療的効果はなく、前がん病変の発生予防効果は約90-100%から約30-60%まで低下してしまう。対象年齢としては45歳までの年齢層でワクチンの有効性が証明されているため、予防効果はあるだろう。46歳以上の女性は接種は推奨されない。
○ワクチン接種中に妊娠してしまったら?
自然流産や新生児死亡、先天奇形などの発生率ハプラセボ群との間で差がないとされており、米国ガイドラインでは、ワクチン接種後に妊娠が判明した場合でも人工妊娠中絶の必要はないとされている。最初のワクチン接種後に妊娠が判明した場合は、それ以降のワクチン接種は分娩後に行うこと。
臨床の現場でも若くしてstageⅣで癌の進行が早く、亡くなられる方もいる。
自分のことを心配してくれる配偶者でさえ、予防や、検診のことまでは把握できず、話す機会も少ないだろう、特にこの病気に関しては。ワクチンの接種については、値段的な問題や、予防効果の低下についても考えることはあるだろうが、まずは検診に行くことから初めてみてはどうでしょうか。
2015 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター
日本医師会
日本産婦人科医会
人口動態統計2015年(厚生労働省)