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結髪師になりたい方へ

最近、どうやったら結髪師になれますか?
とのお問い合わせが立て続けにありました。それもとくに高校生の女子たち。美容学校へ通うつもりでもあるのだけれど、日本髪にとても興味があり将来はそちらの道に進みたい。どうすればよいのかが皆目わからないとのことで、私のTwitterやInstagramをご覧になって連絡してみたとのことでした。

そのお話を聞いて、このニッチな職業に興味をもって勇気を出して聞きにきてくださることにとても嬉しい気持ちになりました。
私は、もともとは幼稚園ぐらいの頃から時代劇を観ていた子供でしたが、実際に具体的な動機となったのが成人式に新日本髪を結ってもらったのがきっかけでした。
地元には新日本髪さえ結える美容師さんが少なくて、現在本格的な日本髪が結える方はどこ?そうだ、京都いこう!になったわけです。私が結髪師になった経緯はまたお話するとしまして。彼女たちも動機は着物や日本髪が好きでその道に進みたい、ということでした。

これから結髪師を目指す方にまず申し上げたのは、技術を磨くのには時間がかかること、あと心苦しいのですが正直にお伝えしておかねばと思ったことは、それだけを専門としてしまうと、食べていくことは難しいかもしれないということです。これは大事なことですので伝ておかねばと思っています。

昭和初期ぐらいまでは多くの一般女性たちが日本髪を結っていましたが、ご存知のとおり地髪で結うのはごく一部の花嫁さんや限られた花街ぐらいです。しかも花街であってもかつらをかぶる街も多い…。花街が少なくなったり、かつらで事足りれば結髪師の需要は無くなり消えていきました。私のように、本場の髪結いさんで修行できたとしても、跡継ぎになれなければその道だけで食べていくのは難しい可能性が高いのです。
技術は残していきたいけれども、残念ながら受け継ぐ人たちの面倒までもは保証されていないというのが、伝統産業全般的に言える現状なのです。Twitterで、西陣織の職人さんや鍛冶職人さんが、技術は教えるけど報酬はないよ。で何度か炎上してしまいましたね。まさにそれなのです。

大変厳しいことなのですが、このことを目指す若い方たちにはまず覚悟をとお伝えしなければならないと思っています。

ですので、美容師免許をとって一般美容業務を行いながら日本髪の先生を見つけて技術を磨いたり、時代劇関係、舞台関係、歌舞伎関係、婚礼関係など「日本髪」のいろいろな面にも視野を広げて欲しいと思うのです。
ニッチではありますが「一般需要は少ないが無くなりまではしない技術職」としてかろうじて残ってきています。

今、私も心が折れそうになりながら日本髪の美意識を原動力に奮闘しています。今まで経験してきたことをなんとか次の世代に引き継いでもらうために頑張らねばと思いながら。



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