IMFの世界経済見通し引下げについて
国際通貨基金(IMF)の経済見通しが示され、1月に比べて2019年の成長率の予想が下がっていることで一部の人が失望しています。しかし、プラス成長予想であることに変わりはないですし、これまで下がってきたからもっと下がるだろうと現時点で予想する必要もないでしょう。市場では欧州中央銀行(ECB)の見通し引き下げ以来、IMFの引き下げも予想していた人が多かったので、今後株式市場やドル円の低下がさらに進む理由になるとは考えていません。
まずIMFは世界の成長率予想を2019年について3.5%から3.3%に引き下げました。このところの経済データの上昇率が緩んでいることから引き下げは適切に見えます。大事なことは、これはプラス成長の率の引き下げであって、マイナス成長や景気後退の予想ではないことです。いまのマーケットは、後退ではなく減速の程度を気にしています。0.2%の見通し引き下げは、波乗り(投機的)スタイルであれば、また見通しが下がるかもと考えて、売りにつながるかもしれませんが、世界に分散された長期投資のリスク資産を売る、または減らすことにはつながらないと思います。
IMFは先進国経済が2020年も減速が続くと予想しています。しかし新興国は2019年に減速はあってもわずかで、2020年はまた加速すると予想しています。中国は2019年の成長率が上方修正されています。