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トランプ新政権で財務長官が気になる理由

トランプ新政権の人事において、マーケットや経済の観点から注目されるのは財務長官で、投資ファンド経営者のスコット・ベッセント氏が指名されました。

ベッセント氏は、公的債務の拡大を批判しており、債券市場では金利上昇の歯止めとなると期待されています。ベッセント氏は、関税引き上げはインフレにつながらないと主張しており、関税の悪影響である消費減退を避ける財政措置が期待できます。

しかし、高金利が続くことで痛みが目立つ商業用不動産業界とそこに融資する地方銀行、さらにプライベート・デットなどいわゆるファンドへの監督については発言が見当たりません。

イエレン米財務長官は、米連邦準備理事会(FRB)の元議長だったこともあり、シリコンバレーバンクなどいくつかの銀行破綻にも機敏に対応し、銀行監督に信頼がおけました。FRBが金利を引き下げ始めたので倒産件数増加リスクは低下したとはいえ、仮にファンドの融資が困難に陥った時に、ファンドの経営者であるベッセント氏が適切に対応するのか気になります。規制緩和を進めたいトランプ政権は監督の強化を好まないかもしれません。

ところで、新政権の人事について閣僚の人柄に疑問を持つ論調が多いですが、「良い子」だが何もしてくれなかった民主党政権よりも「悪ガキ」風だが何かしてくれそうな共和党政権を選んだのはアメリカ国民です。トランプ政権メンバーが問題を起こす原因というより、国民が変化を望んだ結果と見るべきでしょう。

政権人事がどうであれ、アメリカがイノベーションの中心であり重要な投資先であることは変わりません。

〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
■KAMIYAMA Reports https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-reports
■KAMIYAMA Seconds! ~90秒でマーケットニュースをズバリ解説 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-seconds
■「投資ってなんだ!?」 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-investment
■神山解説 https://www.nikkoam.com/products/etf/we-love-etf/#1:category:113

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