原油価格はマイナスか?

原油価格が先物市場でマイナスとなり注目を浴びています。ただしこれは技術的な問題であり、実態として北海ブレントを含め19~20米ドル程度だと判断しています。歴史的に珍しいですがロックダウンなど緊急事態ならではのWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物の特殊な出来事だと見ています。米国の原油先物市場の仕組みとして、期限がくれば現物決済となり、原油タンクなどに貯蔵された現物の石油の取引が必要となります。しかし多くの市場参加者は金融取引として原油市場に参加していて、現物受渡しの準備ができていません。

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一方、新型コロナウイルス感染拡大防止策で行動制限が厳しい米国で、石油タンクは満杯に近づいているという特殊要因もあり、需要地が近い欧州の北海ブレントとは事情が違います。そこで、現物のもてない投資家が価格に関わらず投売りしたという特殊な事情です。時間をかければタンカー貯蔵なども進むとみられ、7月決済の先物価格は20米ドル前後です。シェール関連企業は、米国ハイイールド債の重要なセクターのひとつで、一時的な価格付けの混乱に見舞われました。株式市場でも投資資金流出を懸念する声もあります。しかし、WTIについては、新型コロナウイルス対策の影響も保管場所の逼迫もいつまでも続くとは見ていません。マイナスの原油価格は一時的で、長期投資の判断に影響しないと考えます。

〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕

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