IMFの経済予想:減速か後退か
先日、国際通貨基金(IMF)が2019年の世界経済成長見通しを発表し、下方修正となりました。このこと自体は織り込み済みで、特に市場を動かしたわけではないのですが、景気見通しが悪いということそのものについて説明します。まず2019年の世界の成長率予想は7月時点の3.2%から3.0%に引き下げられました。この予想はプラス成長ですから、景気後退ではなく景気減速予想、減速の程度が増したという意味です。マイナス成長予想ではありません。米国の成長率予想は2.4%で、雇用や賃金の推移が健全に推移してきたことが確認されたということでしょう。今回の予想引き下げの理由として、IMFは米中貿易摩擦による貿易量の低下をあげています。確かに3ヶ月前よりも勢いはなくなり、時期の取り方によってはマイナスの部分が出てきました。ただ、米国の小売売上げ、世界の貿易量などが2016年ごろよりも高い水準にあって、横ばいになっているという言い方もできます。くれぐれも予想ですから今後どうなるかが問題ですが、米国は中国とのさらなる対立を避け、部分的には合意もできており、株式市場などはどちらかといえば合意に良い反応をしました。 結論を言うと、貿易摩擦に弱気の景気見通しでも、マイナス成長を予想しているわけではないということ、減速や鈍化はある程度織り込まれているということです。
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