3月ごろまで落ち着かないアメリカ市場
2月2日の米連邦準備理事会(FRB)の政策金利引き上げは予想通り0.25パーセントにとどまりました。翌3日に発表されたアメリカの賃金上昇率は前年同月比で4.4パーセントと落ち着いており、インフレも落ち着きそうに見えます。
ところが、雇用者の数は50万人以上増加し、インフレ再燃のリスクが高まったように見えます。雇用者数の増加をみて、アメリカ市場では金利高、ドル高傾向となりました。雇用者数が増え人手不足に見えるのに賃金上昇率が低下した理由は、新しく雇われた人たちの時給が安いからとみられます。
今後しばらく、インフレに関わるデータは、市場に良いものと悪いものが交互に出て、方向性が定まらないでしょう。このように人々が情報を理解しにくい場合、市場はブレが大きくなりがちです。雇用、賃金、物価などは、それぞれ別々のサイクルを持っています。ですから市場は、方向感を失うような情報が乱れ飛びやすくなります。
さて、このような状況は3月以降徐々に解消するとみています。まず、人手不足はそろそろ一巡する可能性が高いという見方に変わりありません。賃金上昇率がさらに低下し、増えすぎた雇用は緩やかになり、インフレ率も低下するとみています。
今後、FOMCの政策決定は3月21日、5月3日と続きます。3月に0.25パーセント利上げし、その後インフレ率が低下し、5月に利上げはないと予想します。債券市場参加者は、いつから利下げとなるかに注目し、株式市場は金利から企業収益に注目を移していくでしょう。
〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
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