なぜ「デフレ懸念」から「インフレ懸念」なの?
長らくデフレが悪いと懸念され、日銀もデフレと戦ってきたのに、なぜ急に「インフレも懸念だ」となどメディアなどで言われるようになったのでしょうか?
どちらも駄目なのでしょうか? デフレで物価が下がり続けるのは企業が投資したくなくなるのでよくないですが、インフレは一部の新興国で起こったように国に信頼がなくなるようなときだけが問題で、主要国ではそれほど問題にならないでしょう。
近年、日本では、デフレのために企業が設備投資をせずに、現金を積み上げてきました。しかし、昨年来のコロナ禍で米国が大型財政支出を行ったことなどもあって、最近では輸出が伸びています。生産を増やさないといけなくなれば設備投資も増えます。石油価格が上がるそもそもの理由は需要が強いからです。財政支出による需要増で企業の活動が活発になっており、その結果こうして物価が上がったとしても、それはそれで良いのです。逆に需要が一巡して石油が高すぎるとなれば、買われなくなって価格が下がり、インフレも解消されるでしょう。
一方で、いまインフレが懸念されているのは、その原因の一つにコロナ禍による供給不足があり、「モノ不足」が怖いからでしょう。しかし、ワクチン接種や医療体制強化で経済が正常化すると想定すれば、モノ不足によるインフレがさらに1年以上長引くとは考えにくいです。
設備投資が先行するインフレであるとすれば、長期金利が日本では3%、米国では5%程度まで上昇した時に株価指数のPERは高く市場心理が良かったという経験則に照らせば、まだまだ“良いインフレ”となるはずです。
インフレを心配しすぎる必要はありませんので、需要の伸びが続いていくかどうかに注目しましょう。
〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
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