見出し画像

トランプ次期米大統領でいいとこ取りの市場

トランプ氏が次期米大統領に決まり、「トランプ・ラリー」という言葉通り、株式市場、金利、ドルがいずれも上昇しています。

しかし、これはトランプ氏の主張のうち良い方だけを取り上げた結果であって、バランスが悪いです。トランプ氏の主張の中には、アメリカ経済にとって不透明な要素があります。

まず、市場が期待している政策は、景気刺激的財政拡大です。典型的なものとしては所得税減税の継続や追加、企業減税、規制緩和による活動活発化が期待されています。

減税は企業には利益がある場合に、個人には所得がある場合に有効で、利益の出ていない新興産業にはメリットが少なく、また、個人の格差が拡大しやすくなります。インフレ・リスクが高まり、米連邦準備理事会(FRB)は金利を下げにくくなります。減税はとりあえず株式市場にはメリットがありそうです。金利とドルは高止まりとなりそうです。

しかし、いま十分話題になっていないか、あるいは後回しになることが期待されているのは、中国からの輸入品に対する関税の大幅引き上げとその他の国への関税などの保護主義的政策です。

国内産業を守ろうとすると、資材や生活費の上昇で企業のコスト高、消費者の消費減退につながり、減税効果が薄まります。また、移民制限は労働供給を減らし成長のボトルネックとなる他、短期的な人手不足や消費低下につながる恐れがあります。

新政権の政策の詳細は来年1月に明確になるので、良い方であれ悪い方であれ何が後回しにされるかわかってくるでしょう。それまでは話題先行で市場は上下に揺れるとみています。現時点で市場は主にメリットに目が向いていることに注意しましょう。

〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
■KAMIYAMA Reports https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-reports
■KAMIYAMA Seconds! ~90秒でマーケットニュースをズバリ解説 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-seconds
■「投資ってなんだ!?」 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-investment
■神山解説 https://www.nikkoam.com/products/etf/we-love-etf/#1:category:113 

いいなと思ったら応援しよう!