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J-REIT不調の不思議
J-REIT(日本の不動産投資信託)の値動きはあまり芳しくありません。日銀の政策金利引き上げを心配しているようですが、悲観的に過ぎると判断します。
東証のJ-REIT指数は2021年ごろからさえない動きを続けています。コロナ禍での行動制限や在宅勤務の広がりから不動産関連は総じて嫌われてきたのは仕方がありませんでした。J-REITの分配金は実際に2020年から21年にかけて低下しています。
しかし、その後分配金そのものは回復し24年中に20年のピークを越えています。このころから在宅勤務からオフィスへの人の回帰が始まり、空室率も低下傾向にあります。また投資先もデータセンターやホテルなどに広がっています。
ところが、コロナ禍からの正常化がさらに日本経済全体の正常化、賃金上昇に進むことで、日銀の政策金利が上昇するからREITが買いにくいとの声が出てきました。
過去のデータでは金利の上下動とREITの価格の相関はほとんどありません。つまり、金利がREITの負担になるとしてもごく短期的で、結局インフレを背景に家賃を引き上げれば金利上昇による分配金支払い余力の悪化はさほどないと言えます。REITは市場心理の改善を待っているところでしょう。
例えば成長投資から取り崩し世代の投資に移ろうとするときに、長期的な利回り型の投資としてJ-REIT投資が目的にかなう人は多いと考えます。分配金利回りは固定ではないとはいえ現時点で円ベース約5パーセントは十分に高いと考えます。値上がり期待というよりも、利回り期待でJ-REIT投資を考えるタイミングです。
〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
■KAMIYAMA Reports https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-reports
■KAMIYAMA Seconds! ~90秒でマーケットニュースをズバリ解説 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-seconds
■「投資ってなんだ!?」 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-investment
■神山解説 https://www.nikkoam.com/products/etf/we-love-etf/#1:category:113