グリードフレーションとグリーンフレーション、どちらもインフレの原因ではない
最近、「グリードフレーション」や「グリーンフレーション」という聞きなれない言葉が出てきました。どちらもまるでインフレの原因であるかのように説明されますが、どちらも現象であって原因ではないと思います。
まず、グリードフレーション(Greedflation)は、強欲インフレという意味で、企業の便乗値上げによるインフレという意味のようです。
アメリカでは、最近のインフレ環境下で企業の利益率が高まっています。コスト上昇を値上げの言い訳にしているのに利益が溜まってきたとすれば、欲張った企業の金もうけこそが真のインフレの原因だ、という批判です。
しかし、くれぐれも高い価格で買う人がいるから値上がりするのです。アメリカでは、コロナ禍対策で多額の現金給付を行ったことから、家計に貯蓄としておカネが溜まっていて、今は企業が高い価格を上乗せできます。
しかし、余剰の貯蓄はいつまでも残っているわけではありませんし、独占企業ならまだしも、平均的な企業は価格の上乗せを続けられず、インフレを引き起こすまでには至らないでしょう。つまり利益率上昇は結果であって、インフレの原因ではないでしょう。
一方、グリーンフレーション(Greenflation)は、グリーン、つまり脱炭素のために石油や石炭を生産が減り、エネルギー価格が上がりインフレになるという趣旨です。
しかし、グリードと同じで、人々におカネがなければ、石油や石炭が高くなって光熱費が上がっても、他の商品を買わずに我慢するので他の商品の価格が上がらずインフレは続きません。
インフレについて、一部で起こることが全体に広がるとは限らないことと、原因と結果を混乱しやすいことに気を付けましょう。
〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
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