米国市場が不安定な理由
3月10日発表の米雇用統計が総じて強めで、賃金上昇率の低下も見られず、金利の高止まりを示唆しました。
その上、米シリコンバレー銀行(SVB)の破綻が報じられて株式市場は下落しました。ただし、市場では雇用統計よりもSVBの破綻による金融システム不安が注目され、米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースが鈍るとの思惑から長期金利は低下しました。
このように、市場は、材料が複雑に交錯し消化難に陥ったようです。
SVB破綻は局所的でリーマンショックのような連鎖につながるとは考えません。スタートアップ企業は負債よりもSVBへの預金が多いのですが、シリコンバレー企業の給与未払いなどへの連鎖を止めるために、今回の預金保護は既存のルールを超えて政府が介入すると報じられています。
また、FRBの利上げの影響で金利の逆ざや、いわゆる長短金利の逆転が続きましたが、それで地銀の経営に不安があるとしてもごく一部で、リーマンショックの経験からFRBが臨時検査を行うなど適切に対応もしており、大きな問題になるとは予想していません。
スタートアップ企業や地銀への不安が株式市場を揺さぶるのは、政府などの対応が出揃うまでの心理的なものでしょう。また、インフレの落ち着きどころが見えてくることでいずれグロース銘柄への心理も好転すると見ています。
3月ごろにインフレがピークを打つと考えますが、それを市場が確信できるまでには2~3カ月かかると見ています。年後半に市場に安心感が戻るとの見方を変えていません。
〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
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