破魔矢・鏑矢・絵馬・おみくじ…初詣でおなじみの授与品とは?
皆様、明けましておめでとうございます!
2021年は、いつもとは少し様子の違ったお正月を迎えられた方も多いことでしょうが、どのようにお過ごしでしたでしょうか?
神社の様子も、例年とは異なる状況や対応が数多く、それでも元気に年を越せたことにありがたさを感じるお正月でした。
さて、今年は新型コロナウイルス感染症対策の一環で、神社から皆様に「初詣」の分散参拝をお願いすることになったわけですが、それに伴ってこれからゆっくりと神社に足を運ばれるという方もいらっしゃることでしょう。
そこで、すでに初詣を済まされたという方も、これからご参拝くださる方も、お正月の参拝で見かけるであろう特に馴染み深い「授与品」についてご紹介したいと思います。
破魔矢・鏑矢(はまや・かぶらや)
お正月に道行く人を見ていると、細長い矢を持って歩いている方を見かけることがありますよね。
すぐに「あの人はきっと、どこかの神社かお寺に初詣の帰りなんだな」と気づいて微笑ましい気持ちになりますが、それくらい初詣と言えば破魔矢や鏑矢のイメージが強い気がします。
破魔矢とは、その名前に使われている漢字からも解るように「魔を破る矢」――つまり災厄や不幸などの善くないものを打ち破って、福(善いチャンス)を射止める矢という意味が込められています。
破魔矢の先が鋭くないのも、あくまでも「魔」を祓うための神様の武器であるため。
この由来は、古くから各地で行われてきた破魔打(はまうち)と呼ばれるお正月の占い神事で、それに使われていた弓と矢が「破魔弓・破魔矢」として残り、寺社で家庭を災いから守るものとして授与されるようになりました。
また、鏑矢は「一番矢」とも呼ばれ、破魔矢とはまた違った意味を持っています。
これは戦国時代に戦の開始の合図として用いられていた矢で、破魔矢とは違って矢の先が丸くなっており、射ると音が鳴るのが特徴。
これから何かを始めたいと思っている方や、引っ越し・新築・入学など「スタート」となる節目を迎える方におすすめです。
破魔矢と鏑矢は福を掻き集める熊手などと同じく「縁起物」の一種であり、御札(神札)や御守りとは違って、そのものに神様の御霊(みたま)が込められているわけではありません。
その存在が、魔を祓ったり福をもたらしてくれるとされているのです。
飾る場所については、神棚がある場合は神棚のそばや、家族の集うリビングや床の間、外から魔が入り込まないように玄関や窓の付近がよいでしょう。
飾り方に厳密な決まりはありませんが、矢の先が神棚に飾る場合は神様のいらっしゃる方向、また天井の方向(矢の先を上)に向けることも避けて、目線よりも高い場所を綺麗に清めて置きましょう。
方角については、その年ごとに変化する凶方位(善くないとされている方角)や、鬼門・裏鬼門(北東と南西)などに向けるとよいとされています。このあたりは、それぞれの住宅事情に応じて、無理のない範囲で守ればよろしいと思います。
絵馬(えま)
神社に足を運ぶ方は、たいていその胸に「願い」を持って、それを神様に向かってお祈りをされることでしょう。
お正月は特に、今年一年で達成したい目標や叶えたい想いについて、心の中でお話しされる方が多いはず。
神社で見かける絵馬は、五角形の木の板で作られたものが一般的ですが、昨今はそれぞれの神社によって異なる形や絵柄が書かれているなど、個性豊かな絵馬が増えていますね。
この由来は、神様の乗り物であるとされていた馬が、昔は「神馬」として神社に奉納されていたことが始まりと伝えられています。
次第に、木に馬を描いて奉納する今の形の「絵馬」が広まり、その裏側に人々が神様への身近なお願い事を書くようになったのだそうです。
つまり「絵馬」というのは、私たち人間が胸に抱く想いを文字に書いて神様にお伝えする、いわゆる「お手紙」のようなものだと言えるでしょう。
そのため、絵馬を書かれる際にはお願い事と一緒に、名前・背年月日・住所なども記載するのが本来のならわしでした。
昨今はプライバシーの問題などもありますので、どこの誰からのお願いか、ということに関しては差支えない範囲での記入でよろしいと思います。
境内には絵馬かけ所があり、おみくじなどと同じく願いを書いたそれを、かけて(結んで)くるのが通例です。
もしくは、持ち帰って自宅で神様にお祀りするということもできますので、ご自宅で一年間(もしくは願いが叶うまでの間)大切に飾ってみてもよいでしょう。
そしてお願い事をしたあかつきには、それが叶ったときやお導きをいただけたと感じた際に、ぜひ神様にお礼を言いに、改めて神社に足を運ばれてみてくださいね!
御神籤(おみくじ)
おみくじは、今や神社やお寺において、私たちにとってとても一般的な存在になっています。
神社によってもその種類は大変多く、趣向を凝らした個性溢れるものを楽しむことができますね。
番号の書かれた棒が入った筒を振って、穴から出てきた棒の数字に書いてあった番号のおみくじを授かったり、くるくると巻かれた紙のおみくじを箱の中からひとつ選んで引くもの、動物などの置物をひとつ選び、その中に入っているおみくじを引っ張り出すようなタイプまで……。
神社ではぜひ、ご参拝の後に、おみくじも引いてみられることをおすすめします。
「絵馬」が私たちから神様へのお手紙(メッセージを伝える手段のひとつ)だとすれば、「おみくじ」は神様から私たちへのお手紙だと表現できると思います。
生きる中で思い悩むことの私たちが、神様からのお導きや「御神意(ごしんい=神様のお考え)」を知るためには、私たちの心ができるだけ「純粋」であり、それらを受け止める心の器が必要だったりします。
おみくじは私たちにとって理解しやすい「言葉」で書かれていますから、神様からのメッセージを受け止める手段として、非常にありがたい手段のひとつなのではないでしょうか。
おみくじの多くは「大吉」や「凶」といった吉凶が書いてあることが多いので、そのインパクトで一喜一憂してしまい、細かな文字で書かれた内容までよく読まれていない方がたくさんいらっしゃいます。
皆様にお伝えしたいのは、できるだけ吉凶の部分だけに心を揺らすことなく、その中に書かれた「神様からのアドバイス」を感じ取ってみていただきたいということ……。
あなたの手元にやってきたおみくじは、神様があなたになにか大切なことを教えてくださっている、貴重なチャンスなのですから。
ぜひ、その「御神意」を受け止める心を持って、じっくりおみくじを読まれてみてくださいね!
おみくじは、境内にある指定の場所に結んで帰ることもできますが、できればお財布やパスケースなどに入れてお持ち帰りいただき、折に触れて読んでみることをおすすめします。
後から見たときに、また新たな発見があったり、改めて大切なことを思い出したりするきっかけになることがありますよ。
授与品を通じて神様と交流を
お正月は、一年の始まりということで多くの方がその年の幸福を願い、神様との繋がりを深めようと神社に足を運ばれることでしょう。
まずは心を込めてご参拝いただき、さらにその神縁を固く結ぶためにも、さまざまな授与品を通じて、神様と交流を楽しんでいただければ幸いです。
そして、初詣ばかりではなく、あなたにとっての人生の節目や思い悩むとき、神社で神様と向かい合ってみる瞬間を増やしてみませんか?
神社に足を運ぶタイミングは、なにもお正月の「初詣」ばかりでなくていいのです。
あえて人の少ない時期や時間帯を選んで、心静かに祈る時間を持つのも素晴らしいことですよ!
今年は、あなたと神様とのご縁が、さらに深まる素敵な年になりますように……。
文/巫女ライター・紺野うみ
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