門松・注連飾り・鏡餅…お正月飾りの由来と意味を知ろう!
毎年のことながら、この時期は時間の過ぎ去るスピードの速さに驚いてばかりいる気がします。クリスマスが終われば、あっという間に年末ですね!
皆様、年越しの準備は少しずつでも進んでいらっしゃいますか?
スーパーマーケットやショッピングモールなどでは、目立つ場所に松飾りなどのお正月準備の品々が出ています。
地域によっても形や造りが違っていたりもしますが、お正月飾りと言えば門松(かどまつ)・注連飾り(しめかざり)・鏡餅(かがみもち)の三種類が有名どころだと言えるでしょう。
でも、毎年見かけるものにしては、そのしきたりの由来や飾りに込められた意味については、知らずにいる方も多いのではないでしょうか?
今回はお正月を迎える前に、ぜひ知っておいていただきたいお話を、まとめていきたいと思います!
お正月とは「年神様」を迎える行事
そもそも「お正月」というのは、年神様(歳神様)という神様を、それぞれの家庭でお迎えするための行事です。
年神様とは、年の初めにやってきて家々に幸福を授け、豊かな実りをもたらしてくださる存在。また、一説には、祖霊(ご先祖様の霊)の集合体ともされています。
「年神様」という呼び名以外に「正月様」「恵方神」「とんどさん」などと言われることもあります。
そして、年神様は毎年変わってゆく「恵方」という吉方(よい方向)に居られるとされ、その方向を向いて物事を行うことが「吉」。
節分には、恵方巻をその年の吉方に向いて食べるとよいとされていますが、その理由もここから来ているわけです。
ちなみに、「あけましておめでとうございます」という言葉も、年神様を家にお迎えした際に述べる、お祝いの言葉なのだとか。
私も人間同士が掛け合う挨拶なのだと思っていましたが、本来はまず年神様に向けて行うご挨拶だったのですね!
福をもたらしてくださる年神様をお迎えするとなれば、大切なのは「おもてなし」の気持ち。
毎年12月13日から始める、お正月の準備「正月事始め」も、年神様を丁重にお迎えするのに必要な準備を始める日……ということなのです。
それでは、準備するとよいとされている「お正月飾り」について、ひとつずつご紹介していきましょう。
門松(かどまつ)
お正月の代表的な飾りである門松は、家の門前に左右一対で飾ります。
これは山から降りてくる年神様をお招きするための、目印のような存在になるものです。さらに、年神様が宿ることができる場所――「依り代」であるとも考えられています。
家の中に邪気を入れない役割もあるというので、とても大切なもの。
立派な門松は、松竹梅が飾られていることが多いのですが、それぞれにきちんと意味が込められているのをご存知でしょうか?
➤松……青々とした葉を一年中落とすことのない松は、「生命力」や「永遠の命」を象徴する縁起の良い植物。神様を「待つ」という意味もある。
➤竹……曲がることなく真っ直ぐに育つ竹は、「強い意志」や「早い成長」を象徴する縁起の良い植物。
➤梅……新春どの花より早く開花して、気品のある香りが広く愛される梅は、「開運」や「出世」を象徴する縁起の良い植物。
近年では、玄関先に略式の門松(松だけのもの)を括りつける家が多くなりました。
ちなみに、門松を設置する日については、12月の29日と31日だけを避けるようにしましょう。
29日は「苦」を連想させる日だからであり、31日は年神様に失礼とされる「一夜飾り」になってしまうからです。
注連飾り(しめかざり)
注連飾りとは、神社で見かける注連縄(しめなわ)と同じように「神聖な場所」を示す、わらで編まれた縄を使った飾りです。
これは「結界」として不浄なものから聖域を守る役割を果たすので、家の玄関扉にかけて、悪いものが家の中に入り込まないようにするもの。
注連飾りにはさまざまな形があり、地域ごとの特徴などもあったりします。
昔の注連飾りはわらを輪っかの形に編んだシンプルなものだったようですが、次第に縄で鶴や俵などのおめでたいものを表現したり、稲穂・水引き・扇などを組み合わせたりと、さまざまな形が生まれるようになったようです。
飾りには、下記のような物がよく用いられます。
➤扇……末広がりで、子孫繁栄や商売繫盛の願いが込められている。
➤紙垂……その内側が清浄であることを示し、穢れから聖域を守る魔除けの紙。
➤稲穂……収穫への感謝と、五穀豊穣への願いが込められている。(その土地の特産でもよい)
➤裏白……葉の裏が白いことから、夫婦がともに白髪になるまで仲良くいられる長寿の縁起物。
➤橙……柑橘の果物で実が落ちにくく、家が代々栄えるようという願いが込められている。
➤杉葉……杉は寿命が長い神聖な木で、縁起が良いとされている。
➤ゆずり葉……「譲る」ことを連想させる植物で、世代が親から子へと譲り受け継がれる願いが込められている。
注連飾りを飾るのは1月7日まで(松の内)の期間です。
外したものは、15日(小正月)前後に近くの神社などで行われることの多い「どんど焼き」や「左義長(さぎちょう)」で御焚き上げをしていただくと良いですね。
鏡餅(かがみもち)
大小の丸いお餅を重ねて飾る鏡餅は、前の年に収穫したお米を使って作り、感謝を込めて年神様にお供えする神聖な神様のお食事(御神饌)です。
名前の由来は、昔の「鏡」を模した形であることから来ています。鏡は三種の神器にも登場する、魂を表す神聖な道具。
お供えした鏡餅は、あとで家族でいただくことにより、新たな生命力を授かることができると言われています。
お餅が大小2つでセットなのは、それぞれ太陽(陽)と月(陰)を象徴していて、その陰陽の力を重ね合わせることで「福徳」が得られるという理由があるのだとか。
鏡餅にも、一緒に「橙」や「裏白」や「昆布(よろこぶ、の願い)」などの縁起物が飾られることが多いです。
鏡餅は1月11日(鏡開き)を迎えたら下げて、お雑煮やお汁粉などにしていただきましょう。
家庭に「福」を招くならわし
縁起物の形や組み合わせひとつを取っても、込められている意味と願いは奥が深いものですよね!
どのお正月飾りも、大切な福の神様を丁重にお迎えし、願いを神様に向けて表現するための工夫がされています。
人々が幸福や繁栄を願う、祈りが文化の中に深く根付いてきたことを感じますね。
もちろん見ているだけでも、お正月の「おめでたさ」も存分に味わうことができる、美しい作品のよう。
2021年のお正月はコロナ禍の真っ只中ですが、沈みがちな気持ちを明るくするためにも、このような「お正月飾り」を飾って、年神様をお迎えしてみませんか?
お気に入りのお正月飾りをすれば、きっと家で過ごす時間も、ぱっと心華やぐものになるかもしれません。
皆様の家々に、素敵なお正月がやってきますように。
文/巫女ライター・紺野うみ
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