見出し画像

人生で大切にしたい「氏神神社」と「産土神社」のお話

あなたの心の中にも、きっといくつかの「馴染みの神社」や「大好きな神社」があるのではないでしょうか。
その中に、「氏神(うじがみ)神社」と「産土(うぶすな)神社」はありますか?

今回は、皆様にもぜひ「人生の中で大切にしていただきたい神様と神社」として、「氏神様・氏神神社」「産土神様・産土神社」についてのご説明をさせていただきます。

これらの神社には、あなたの人生において、とてもご縁の深い神様がいらっしゃいます。
そのことをしっかりと理解して、折に触れて想いを馳せたり、参拝に出かけていただけたなら――きっと、神様がより身近な場所からあなたを見守ってくださっていると、気が付くことができるはずです!


氏神神社とは、どのような存在?

画像3

現代において「氏神様・氏神神社」とは、「あなたの暮らしている地域を守ってくださっている神様・その神様のお鎮まりになっている神社」のことを指します。
土地を守り鎮めてくださっているという意味から、「鎮守様」と呼ばれることもあります。

日本の神道的な価値観では、土地も自然も、この世のあらゆるものは「人間の所有物」ではなく、いずれも「神様の治めるもの」もしくは「神様そのもの」であるという考え方が根づいています。
つまり、あなたが住まう家のある場所も、あくまでも神様の土地をお借りし、そこに住まわせていただいている、ということ……。

だからこそ、その土地を丸ごと守り治めてくださっている氏神神社の神様には特に、私たちが「いつもお世話になっております。平和に暮らせることに感謝いたします。これからも見守っていてください」と祈ることが大切なのですね。


昔と今の「氏神様」の捉え方

画像4

ちなみに、先ほど「現代において」と前置きしたのは、昔の日本は今以上に「血縁」というものの繋がりが重要視されていたためです。
かつては同じ氏姓を持つ血縁集団で、祖神(おやがみ=先祖にあたる神様)やご縁の深い神様やを大切に崇敬していく文化があり、それを「氏神様・氏神神社」として指していました。

たとえば、「八幡神社」の「八幡神」が源氏の氏神として手厚くお祀りされていたことは有名ですが、その影響もあって全国各地に多くの八幡神社が誕生することにもなりました。
戦いの多い氏族にとっては特に、氏神様がその一族にとっての「守護神」であり、特別な存在だったのですね。

もっとも、平和な現代においては「自宅のある地域を治めてくださっている神様がお祀りされている神社」という意味合いが強いです。
そして「氏神神社・氏神様」に対して、ご縁をいただきその土地で暮らしを営む人々のことを「氏子(うじこ)」と呼びます。

ご自身の氏神神社がどこなのか(自分はどの神社の氏子にあたるのか)、ぜひお近くの神社を調べてみてくださいね!
調べ方は、神社庁に電話で問い合わせをしていただくか、ご自宅近くの神社に足を運んで氏子管轄地域を直接確認する方法があります。


企業にも「氏神神社」はある?

画像1

ちなみに、個人だけでなく企業にとっても、会社のある土地を治める神社は「氏神神社」と言えるでしょう。
会社や店舗の中に神棚があるのを見かけることもありますが、年始の仕事始めには職場の仲間と一緒に、その年の更なる飛躍や発展を願い、会社の氏神神社で参拝や団体祈祷(企業祈祷)を受けられる方も少なくありません。

企業単位での「氏神様」についても、会社のお近くの神社を調べてみてはいかがでしょうか?
仕事においても、日々の苦労や不安はつきものですよね。
思い悩んだときや、勇気がほしいときなどは、ぜひ職場の近くの神社にも足を運んでみられることをおすすめいたします。

たとえば就業前やお昼休みなどに訪れ、折に触れて参拝していただければ、気持ちがスッキリしたり、悩んでいたことの答えがふと見つかったりするかもしれません。
なによりきっと神様も、がんばるあなたを見守り、応援してくださることでしょう!


日本の氏神神社「伊勢神宮」

画像4

ここまでは、それぞれの方にとっての「氏神神社」について、ご説明させていただきました。
しかし、日本に暮らす日本人である以上、忘れてはならないのが「日本の国における氏神様」の存在です。

あなたがもし、ご自宅に神棚をお祀りしたい場合は、まず「神宮大麻」と呼ばれる伊勢の「神宮」の御札を一番にお祀りすることになります。
なぜなら、皇祖(こうそ=天皇のご先祖)にあたり、日本の国における最高神である「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」様をお祀りしている伊勢神宮は、神社の中でも「別格」だからです。

すなわち、天皇陛下を象徴とする日本において、すべての日本人がもっとも大切にすべき「日本の国の氏神様」が、太陽の女神様である天照大御神様ということ……。
お祀りする正式な順序は「神宮」の神様が第一であり、次いでそれぞれの地域を治める「氏神様」の御札をお祀りします。

そのため大抵の神社では、氏神神社の御札と共に「天照皇大神宮」と書かれた御札「神宮大麻」もおいてあります。
お正月を迎える際には、この神宮大麻と氏神神社の御札を、ご一緒に受けられるとよろしいですね。
もちろん、あなたが他にも大切にされている神社があれば、その御札も次いで「崇敬神社」として神棚にお祀りすることができます。


産土神社とは、どのような存在?

画像5

さまざまな角度から「氏神神社」についてのお話をしてきましたが、今度は「産土神社」について触れましょう。
「産土神様・産土神社」とは、「あなたの生まれた土地を守ってくださっている神様・その神様のお鎮まりになっている神社」のことを指します。

つまり「氏神神社」は暮らしの場所に応じて変化があるものですが、「産土神社」はあなたの人生そのものを見守ってくださる神様のいらっしゃる神社――。生活の拠点がどこに移ったとしても変わることのない、心の故郷とも言うべき存在なのです。

現代では「里帰り出産」が増えたこともあり、自分の「生まれた土地」を意識する機会があまりないかもしれません。
でも、ぜひ生まれた場所を思い出し、その近くにある神社や初宮詣(お宮参り=人生で初めての神社参拝)に連れて行ってもらった神社にも、足を運んでみてください。

そこは、あなたにとって特別なご縁が結ばれた「産土神社」であり「産土神様」なのです。
神様もきっと、小さかったあなたが大きくなって、再びお詣りに来てくれたことをよろこんでくださるに違いありません!


人生における神様とのご縁

画像6

「氏神神社」や「産土神社」について考えていただくと、きっとそのすべてが、あなたにとって神様との繋がりを感じられる大切な場所なのだと気が付くはず……。


人の一生には、さまざまなことがあります。
毎日の中で楽しいこと、うれしいことがあるように――哀しいこと、悔しいこと、不安なことにもたくさん出会うでしょう。
くじけそうになったとき心の支えとなり、また前を向いて歩き出すことができるように背中を押してくださるのが、あなたの信じる神様の存在です。

日々の暮らしや、長い人生をともに歩んでくださる「氏神様」や「産土神様」たち。
忘れることなく感謝を伝え、心を込めてお祈りしてみてくださいね。
きっと、さまざまな形であなたを支え、そばで見守ってくださっていますよ!


文/巫女ライター・紺野うみ


※神主や巫女が監修・執筆を手掛ける、くらしに役立つ神道や神社の情報を届けるWebメディア「神様が宿るくらし」のコンセプトは、こちらの記事をご覧ください。

※よろしければ、「神様が宿るくらし」アカウント、マガジンのフォローで、応援をよろしくお願いいたします!



「神様の宿るくらし」は、心を込めて神様と向き合いながら、神社神道に関する情報を伝えていくことを使命としています! いただきましたご支援はすべて、そのための発信活動に役立ててまいります。心から御礼申し上げます。