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真っ白な日

前々から付き合ってきていた腱鞘炎がなかなかひどくなり、少しの間スマホからなるべく離れていました。
手を痛めた原因はおそらく製本作業だと思うのだけれど、その手でスマホを触るのもなかなかに辛いことが多く、通っている整骨院の先生も「スマホの重さはバカにならない」と言っていました。
先生曰く、ガラケーの頃は親指を動かす筋肉を痛める人が多かったそうで、「人類が誕生してから最も親指を使っていた時代」と表現していました。そして今、スマホが普及してからは、親指の時代から腕と首の時代に変わったのだそう。スマホの重さは腕にくるんだそう。
しかしまあ腕はさておき秋ですね。すっかり。ようやくすっかり。11月が始まってからもいやいやいつまで暑い日あるつもりなのっていう感じの日々が続いたけれど、ようやくすっかり、さすがにすっかり秋ですね。
秋好きな人多いですよね。秋好きなのに秋短いよっていう話をよく聞く気がしますよ。人気よね秋。いいよね秋。

秋で好きだと思うのは、曇りの日の空が白いこと。
夏の間は、晴れの日は青、雨や曇りは灰色、という感じで、なんだか明暗はっきりしすぎていて、10月くらいになって真っ白な曇りの日を迎えるとああ秋だ、うれしいなって思います。
この真っ白な曇りの日は冬にもたくさんあるのだけれど、それのはじまりの時期として秋という季節が好き。真っ白な日はどんな天気の日よりも外をたくさん歩きたくなります。見慣れた道を歩いていても、真っ白の中で見るものはひとつひとつが新鮮に映る。たとえば隣の家の青い屋根なんかも。夏の間は明るいか暗いかしていたその青色が、白の下ではなんだかしんと色が沈黙しているような感じで、ああそんな色だったのだねって思う。
そんなふうにあらゆるものが、脚色を受けず本来の姿でしんとそこにあるような感じがするので、真っ白な日は建物とか看板とか街路樹とかガードレールとか、そういう静止しているものをひとつひとつ見つめて、ああそんな色を、そんな形を、そんな姿をしていたのだねって思いながら歩くのが、僕は好きです。


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